ラブソングは君と,  第1章

君との再会②

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君との再会②

 

 

最寄りの地下鉄の駅に着いたら、何やら事故か何かで列車に遅れが出てるらしくて

ホームに人が溢れかえってた。

参ったな。どうしよ・・・表でタクシー拾うか?

そう言っても、タクシー乗り場も凄い行列で、当然ながら皆考える事は一緒。

だけど、かと言ってとても歩いて帰れる距離じゃない。

俺は仕方なくタクシー乗り場の列の最後尾に並んだ。

30分くらい並んでようやくあと4,5人ってところまで来たその時、誰かが背後から俺に話し掛けてきた。

「あの・・・」

「はっ、え?」

疲れてたのもあったけど、ちょっと30分も並んでボーっとしてたから、不意に声を掛けられて

思わずビックリして変に甲高い声が出てしまった。

「あなた、どっち方向に行くの?」

「えっ・・・」

肩にはギターケースらしきものを抱え、ぬいぐるみの形した可愛らしいリュックを背負い、

スマホを左手に握った、俺と背格好が同じくらいの青年だ。

そいつは、俺が驚いた顔して振り返ったから、クスクスと口元を片手で覆って笑ってる。

「ど、どっちって・・・自宅に帰るんだけど・・・」

「うん、それはそうだろうけど。だから、自宅ってどっち方面?」

「み、三鷹駅方面だけど・・・」

「マジで?ね、一緒の方向だから便乗させてくんない?」

「ええっ?び、便乗?」

「人を待たせてるの。時間なくてさ。お願い、助けて。」

両手を顔の前で合わせて、必死にお願いされると、何だか断り辛くなる。

ふつうなら初対面でそんなこと言われても絶対に断るところだろうけど、事情が事情だけに

見た目にも不審な点は無かったし、料金は支払うと言ってるし、俺は戸惑いながらも承諾した。

「べつにいいけど・・・」

「ホント?あぁ、助かるよ。有難う。」

そう言って、彼は俺の隣に並んでずっとスマホを弄ってた。

それから10分程度待って、ようやくタクシーに乗れた。

「お待たせしましたー。」

「えっと、あなた先に乗って。俺が先に降りるんで・・・」

「あ、ああ。」

タクシーのトランクにギターケースを積み込んで、後部座席に並んで座ると、

自分が降りる場所の行き先を告げた。

「三鷹に住んでるの?」

「え?・・・そうだけど。」

「ふうん。仕事がこの辺とか?」

「いいや・・・」

「ああ、結婚式?」

俺の引き出物の手提げを見てそう思ったのだろう。

「うん。」

「結婚かぁ・・・ねえ?ちなみにあなたも妻帯者?」

「え・・・ど、独身だけど。」

「面倒だよね。結婚って・・・」

「えっ?」

「あ、何でもないです。こっちのことなんで・・・」

それにしても、初対面だってのに、よく喋る。というか、俺に対する一方的質問ばかりだけど。

人懐こい性格なのか。俺に対する警戒心が全くといっていいほど無い。

「あ、運転手さん、ここで俺だけ降ります!」

彼は、目的地に着くと、そう言って俺にタクシー代を手渡した。

「えっ?多いし・・・」

「いいよ。助けて貰った御礼です。ホント、ありがとう。」

「いや、それは困るよ。こんなに貰えない。」

「あ、それじゃ、また何処かで逢ったらコーヒーでもご馳走してください。」

いやいや。絶対会わないだろう。

「こんなに貰ったんじゃ、君が助かった事にはならないでしょ?」

「真面目だな。」

彼はそう言って笑った。

 

結局、彼は俺の断りも受け入れずに、タクシーを降りてしまった。

そして結局は掛かった料金の倍以上のお金を、御礼として受け取ってしまったのだった。

 

 

つづく

 

 

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蒼ミモザ

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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