真夜中の虹 59

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真夜中の虹 59

 

「遠藤さんの事、俺も色々と調べたんだけど、早苗さんが亡くなった直後に結婚してるみたいなんだけど、奥さんがどうやら身体が弱くて子供を一度流産してるらしいんだ。」

「ホントに?」

「子供に恵まれなくて真琴くんを引き取りたいって言い出した可能性は高いと思う。」

「だけど、その奥さんは流石に嫌じゃない?亡くなったとはいえ、旦那と元カノの子供だよ。」

「それは俺にも分からないけど・・・もしかすると、その事は隠して引き取るつもりじゃないかな。」

「そんなのいつかバレるでしょ。」

「奥さん、そんなに悪い人じゃなさそうだし、やっぱり本当の父親のところに返してあげるのが真琴くんの為なんじゃないかと俺は思うけどね。」

「でも・・・智は・・・大野さんはそれで納得するか・・・」

「そんなに可愛がってたのなら、既に情が芽生えちゃってるだろうからね。大野さんから真琴くんを引き離すのは簡単な話じゃないとは思うけど。」

「相葉さん、ゴメン。俺さ・・・一度、遠藤夫妻に逢ってもいいかな?」

「え?あ、うん、俺もそうした方が良いと思ってた。」

「何か・・・これってルール違反だよね。俺はやっぱり探偵には向いてないな・・・」

「うふふふ。何言ってんの?ルール違反も何もないよ。忘れたの?俺はニノを正式に採用した覚えはないよ。」

「あ、相葉さん・・・」

相葉さんは、最初からこうなる事も想定内だったのかもしれない。だから、わざと俺のことを一つ返事で雇うと言わなかったんだ。それが彼らしいというか、相葉さんの良い所なんだけど。

「え?泣いてるの?」

「そんなこと・・・でも、今優しくされると辛いかも・・・」

「この件片付けたら、とっとと大野さんの所に帰りなよ。」

「えっ?ば、バカ、そんなんじゃないよ!」

「うふふふ。ハイハイ。」

相葉さんに冷やかされて耳まで真っ赤になる俺。智の家を飛び出してからまだ1週間も経たないのに、頭の中はあの人の事ばかり考えてて・・・自分でも馬鹿じゃないの?って呆れるけど、やっぱり一緒に居ないとこんなにも落ち着かないものなんだと、改めて思い知らされた。本当は今直ぐ飛んで帰りたい。でも、全てを綺麗に解決するまでは帰れない。あの人も・・・少しは俺に会いたいと思ってくれてるだろうか。俺はその翌日、弁護士の三浦さんに電話をした。先ずは三浦さんを通した方が話が早いからだ。

「あの、僕、二宮といいます。覚えてますか?」

「あ、大野さんのお宅にいらした方ですよね?」

「はい。真琴くんの事で、ちょっとお話が有ってお電話しました。直接お会いしたいんですが・・・」

「あっ、いいですよ。今日は午後からで良ければお時間作れますが。」

「あの、出来れば遠藤さんご夫妻にも直接お会い出来ないかと・・・」

「ん?それはどのような件でですか?私が一度お話をお伺いしますが・・・」

「あのさ、何言ってるの?真琴の人生が掛かってるんですよ?弁護士さんがこれから真琴を引き取って育てるんじゃないですよね?真琴の両親がどんな人なのか、こっちには知る権利が有ります。智も俺も、血のつながりが無いにせよ、めちゃくちゃ大事にお子さんの事を育ててきたんです。色んな事を犠牲にしながらね・・・あなたにその大変さが分かるの?!」

俺としたことがかなり感情溢れちゃって、ちょっと普段よりも興奮気味に訴えてしまった。

「わ、分かりました。では、ご夫妻の都合をお聞きしてからご連絡差し上げます。」

それから、午後になって約束通り三浦さんから連絡が入り、その日の夕方5時に俺は待ち合わせ場所へと向かった。

 

 

 

 

 

つづく

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投稿者: 蒼ミモザ

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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