誕生日企画
Birthday story 2
その翌日、俺は仕事でリーダーとは同じ現場に居た。
楽屋でメイクしていたリーダーの横に俺は腰掛けて、知念の話が本当なのかどうかを確かめてみる事にした。
N「最近どうですか?」
O「えっ?どうって、何が?」
N「聞きましたよ。知念から・・・」
O「えっ・・・あっ、そうなの?」
鏡越しに会話してたリーダーが、一瞬驚いた顔して真横に座ってる俺の方に視線を向けた。
N「意外だったなぁ。あなた約束とかそういうの苦手だと思ってたけど。」
O「苦手なのは苦手だよ・・・」
ちょっと口を尖らせて再び鏡の方を向いた。
N「はーん。ドタキャンする気でしょ?」
O「それはしないけどさ・・・」
N「ん?しないけど、何?」
O「どうしてニノに喋るかな・・・」
N「あれっ?あっ・・・もしかしてそれって私も聞かない方が良かったとかですか?」
O「・・・」
N「へええ。そうなんだあ?あなたもとうとう年貢の納め時ってやつですか?」
俺はリーダーの耳元に片手を当てて小声で内緒話するみたいに囁いた。
O「はあ?何だよ?年貢の納め時って・・・」
N「だって、温泉だよ?一緒に入るんでしょ?」
O「えっ・・・」
N「知念って昔からあなたの事好きなんだよ。だったらそれがどういう意味かあなたも分からないことないでしょ。」
O「何だよ!変な言い方すんなよ。」
N「あれっ?真剣に交際考えてるんじゃないんですか?」
O「だから、何でそうなるんだよ?」
N「あーあ・・・折角俺だけの大野さんだと思ってたのになぁ(笑)」
O「ニノ・・・」
そう言ったらリーダーが本気にしたのか?めっちゃ深刻な表情で俺の方を見た。その顔が面白くて、更に俺は冗談を続けた。
N「俺って人が居ながら、他のヤツとコソコソ温泉デートだなんて信じられないよ。」
O「おいら・・・やっぱり断るよ!」
N「はっ?」
リーダーは目の前に置いてたスマホを手に取り、恐らくその場で知念に連絡を取ろうとしてる。
俺は慌ててリーダーからそのスマホを奪った。
O「えっ?返してよ?」
N「あっ、いや、断んなくていいんじゃない?」
O「えっ・・・だって・・・」
N「だって、それって知念への誕生日のプレゼントなんだろ?」
O「う、うん・・・そりゃそうだけど。」
N「それは幾らなんでも可哀想だよ?ここに来てキャンセルだなんて、俺だったら身投げするレベルだよ。」
O「みっ、み、身投げ??」
N「そ、そうだよ。一度誘っておいて、あんなに喜んでるのに直前で断るなんて・・・」
キャンセルにされるのはマズい。俺は知念から代行を引き受けてる訳だし、しかも何でか知らないけど知念は俺と交代すると言う事を当日まで内緒にしておきたいと言うんだ。
勿論今ここでネタ晴らししちゃう事も出来るんだけど、万が一俺が一緒なら行かないとか言われたりしたら正直それはそれで気分が悪い。俺にだって一応プライドは有るからね。
O「こんなおいらの事憧れだって言ってくれるじゃん。それも長年ブレないでだよ?凄くない?」
N「凄いよね・・・」
O「有難いよ。もっとカッコイイ人、他に幾らでも居るのに。」
N「だからその気持ちに応える気になったってこと?」
O「変な意味じゃないよ。一つくらいお願い聞いてあげなきゃ悪いかなって思って。」
N「いいんじゃない。だけど・・・」
O「ん?」
N「だけど、それってさ、そのお願いって何でもOKだったの?」
O「ええっ?」
N「例えばさ、抱いてくれって言ったらあなた抱く気なの?」
O「はっ?」
N「知念はマジだよ?」
O「んふふふ・・・何言ってんの?そんなこと言う訳ないじゃん。」
N「甘いですね。・・・まあ良いけど。とにかく温泉楽しんで来ると良いよ。」
O「やっぱ断るよ。」
N「何で?」
O「だってニノに悪いし。」
N「別に私はあなたの嫁でも恋人でも有りませんからね。止める権利だって何処にも無いですし。」
O「でも・・・」
N「断ったら彼、本当に何しでかすか分かんないよ?」
O「えええ?マジかぁ・・・」
俺は意地悪だったかもしれない。だけど、俺が探りを入れた事で知念に対して何の恋心も抱いて無いってことはハッキリ分かった。
A「ねえねえ?何楽しそうに二人で話してたのぉ?」
N「あっ、相葉さん・・・何でもないよ。ね、リーダー。」
O「う、うん・・・」
N「相葉さん、こないだ借りてた漫画持ってきたよ。」
A「ああ、あれどうだった?面白かったでしょ?」
N「うん、続きって持ってるの?」
A「ああー今マツに貸してる。」
N「そうなんだ?」
何とか相葉さんにも怪しまれないようにその場を上手く誤魔化した。
その後も、リーダーは何度かスマホとにらめっこしてて、時々深いため息をついて悩んでる様子だった。
つづく