誕生日企画
Birthday story 4
リーダーと他愛もない話をしながら運転する事2時間半。
滅多に長距離を運転することなんて無いからめちゃめちゃ疲れるかと思ったけど、これが全然疲れなんて感じない。
自分でも気付かないくらい気持ちが高揚してたのかもしれない。
O「何かゴメンね。ニノに運転させちゃって。」
N「全然構いませんよ。どうせあなたは免許持ってないの分かってたし。」
O「侑李とは電車で行こうって言ってたんだけど・・・」
N「それも普通に考えたら有りだけど、何処でファンの人に見つかるかも分かんないからね。折角のプライベートなんだから世間騒がせちゃったらマズいでしょ。」
O「うん・・・でもさ、2時間以上も運転して腰とか辛いんじゃないの?」
N「いや・・・それがどうしてか今日は全然そういうの平気みたいなの。」
O「そう?ま、ゆっくり風呂に浸かって疲れも吹き飛ぶと良いけど。」
N「フフッ・・・お爺ちゃんじゃないんだから。」
そして温泉地に辿り着いた俺達は、とりあえずちょっと見た目も高級感漂う温泉旅館をネットで探してからそこへ向かった。
あんまり大衆風呂っぽい所だと、素性がバレて騒ぎになるのも面倒だと思った。
フロントで日帰りのプランを伝えると、個室の鍵を貰って部屋へ案内された。
部屋に入って、先ず俺達の目に飛び込んで来たのが休憩用のベッド。
まあ、仕事の遠征とかで昔はよく一緒の部屋で寝てたからあまり違和感は無いんだけど、最近じゃ個々に部屋を用意して貰う事が殆どだからこの狭い空間に二人っきりってなかなかの緊張感だったりする。
俺はなるべくそこに触れない様にと中庭の家族用の露天風呂を見ようと外に出た。
N「ねえ・・・リーダー?」
O「ん?」
N「あなたさ、本気でこういう所にアイツ連れて来るつもりだったの?」
O「えっ・・・」
N「だってさ、ここは確かに良い所だよ。でも・・・これってさ、いわゆるカップルとか夫婦で来るような所じゃん。」
O「う、うん・・・」
N「えっ?何?まさかそれも分かっててあの子の事誘ったの?」
O「あ・・・いや・・・そういうわけじゃ・・・」
N「へえ。それじゃ何だか悪かったね、俺なんかで。」
O「またそういうこと言う・・・そんなんじゃ無いって。」
N「はぁ・・・まぁイイですけど。」
何か無性にむかつく。
だって、これってアイツがわざと俺にそれを知らしめるために企てて自分の方が俺なんかより気に入られてるって意味では数段上だっていうことのアピールだろ?
やることがいちいちせこいというか・・・ホントむかつく。
っていうか、俺は本当は知念の事が羨ましいのかもしんない。好きな人を目の前にしてグイグイとアピール出来るって、やっぱ若さなんだよな。
俺だって若い時は今より全然甘えたり出来てたもの。年取るうちに何となくそういうのが恥ずかしくなってしまって自分から甘える事は控え目になってしまった。
O「ニノ、昼飯食ってから風呂入る?」
N「えっ?あ・・・時間的にはそろそろ昼食だよね。」
O「この中からコース頼めるみたいだよ。どれがいい?」
N「何でもいいよ。あなたと同じので・・・」
リーダーはフロントに電話して昼食のコースを注文してくれた。
俺は何しに来たんだ?これじゃアイツが言ってたみたいにただの温泉のお供の代理だよな。
違うんだよ。俺はアイツの代理なんかでここまで来たんじゃないんだ。
完全に権利を譲り受けたんだから、今日の主役はアイツじゃなくこの俺。
若い知念なんかに負けてらんない。
そう考えたら、1分1秒でもこうしてる時間が勿体なく思えてきて
俺はフロントに電話してるリーダーの背後からお腹に両腕を回して思いっきり抱き付いた。
つづく