第11章
初めての危機①
そして数日が過ぎ
俺達の新生活にもだいぶ慣れて来た頃
二人にちょっとした事件が起きた。
和 『今日、ちょっと遅くなるかもぉ』
智 『飯は一緒には無理だな。ロケって何処なの?』
和 『金沢だって』
智 『気をつけろよ』
和 『大丈夫だってば。俺の事信じてるんでしょ?』
智 『泊まりでなかっただけ安心だよ』
和 『泊まりなわけないでしょ(笑)
それじゃ、行ってくるね。』
智 『待って、ニノ』
マネージャーを待たせてるから
バタバタと慌てて出て行こうとしてる
ニノを呼び止めた。
和 『えっ?何?急いでるんだけど。』
智 『何か忘れてる・・・』
俺は人差し指で自分の唇をトントンって指して
キスを要求する。
和 『んもぉー・・・』
面倒臭そうに俺の前に立って
両手で俺の頬を包んで唇を重ねた。
和 『はいっ、じゃお利口に待ってて下さいよ(笑)』
智 『やだっ。そんな適当なの。ちゃんともう一回・・・』
和 『もう、時間無いんだって。朝からふざけないでよ。』
ニノは拗ねた俺を残して
足早に家を出て行った。
そう・・・
今日はニノと松潤が番組の旅レポという企画で
ロケに出掛ける日だったんだ。
関東地方は朝から雨・・・。
ちょっと何時もより気温が低くて寒い。
俺も今日は仕事だけど
半日掛からない仕事だから
暫くご無沙汰していたジークンドーでも帰りに寄るかな。
ニノと松潤の事は確かに気掛かりでは有るけど
まぁ、撮影のスタッフが総勢15人位は着いて行くらしいんで
皆の前で下手にニノに手出しも出来ないだろうし。
これは仕事なんだって
心の中で何百回と言い聞かせたことか。
俺はレギュラー番組の新企画の打ち合わせで
昼過ぎ頃にテレビ局のミーティングルームに居た。
スタッフと2時間程打ち合わせして
雑誌の撮影の為の次の現場へ向かう。
マネージャーの車に乗り込んだら
マネージャーから予期せぬ言葉を聞くことに。
マ 『大野さん、今夜から東京も大雪らしいですよ。』
智 『えっ、マジか・・・。』
マ 『今日はこのお仕事終わったら真っ直ぐ帰宅なさって下さい。』
智 『ええ?おいらジークンドー行こうと思ってたのに。』
マ 『交通規制になると身動き取れないんで、明日の移動の件で
私達も緊急に打ち合わせが入ってるんですよ。』
智 『ええ?そんなに?』
マ 『あっ・・それでニ宮さんと松本さんも恐らく今夜は
お帰りになるのは無理じゃないかと・・・』
智 『えええっ?なんで?』
マ 『北陸の方は、もう既に大雪らしくて交通機関に影響が出てる
らしいんですよ・・・』
智 『そっ、それじゃ、ニノ達は今夜は泊まりって事?』
マ 『先ほど、事務所にもスタッフから連絡があって、
急遽そういう事になったらしいですよ。』
智 『えーっ?マジか・・・』
冗談だろ?
ニノと松潤が泊まり?
日帰りって話だったから、ある意味安心して送り出したってのに。
俺はすぐさまスマホを取り出して
LINEを確認するけど、特に何も連絡は入って無かった。
恐らく、今本人達は仕事中?
とりあえず
=今日、泊まりなの?=
とLINEを入れておいた。
どうしよう・・・。ニノが俺以外の男と外泊。
しかも、相手は松潤。
まあ、でも・・・
元々松潤は俺とニノを疑ってて
お膳立てまでしてくれたヤツだしさ
人の恋人であろう相手に手を出すような人間じゃないだろう。
でも・・・
それでも松潤だもんな。
どうしよう・・・。
俺の頭の中は
好からぬ想像で一杯になる・・。
雑誌の撮影も笑うに笑えない俺・・・。
俺はカメラマンに
『もうちょっと自然に笑って頂けますか?』
と駄目出しを喰らい何度もNGになってしまう。
くそっ・・・
こんな時に幾ら仕事だからって
アホ面して笑えるかってえの。
結局その撮影に
何時もの倍近く時間を掛けてしまう事になった。
それでもなんとか仕事を終わらせ
ポケットのスマホを確認したら
=リーダー、ごめんね。=
って、一言だけニノから返事が入ってた。
つづく