第11章
初めての危機②
ニノ?ごめんねって何なんだよ?
時間は18時半過ぎ。
もうロケ自体は終わってる筈・・・。
俺はニノに電話を直接掛けてみた。
だけど応答は無かった。
とりあえず俺は仕事も終わったので
迎えの車に乗って家に向かった。
帰り道、もう既に東京都内も雪が降り始めていた。
智 『これって、前以て予測出来なかったの?』
マ 『えっ?ああ・・・ニ宮さんの事ですか?』
智 『この状況が分かってたら今日のロケ中止とか出来た筈じゃん。』
マ 『松本さんはたまたま明日はオフだったみたいで・・・』
智 『松潤は知んないけど、ニノは仕事入ってただろ?』
マ 『ニ宮さんはCM撮影が入ってましたけど
延期は可能だと聞いてますが・・・』
智 『雪が止まなかったら明日も戻って来れないんじゃないの?』
マ 『明日は午後から回復すると言ってますし』
智 『あ~もういいよ。何言っても一緒だなっ』
マ 『あのぉ・・・ニ宮さんが外泊なさるとそんなにマズイんですか?』
智 『べつに・・・マズくはないけど・・・』
マ 『心配いらないですよ。松本さんもご一緒ですし。
今夜は金沢の有名なホテルでゆっくりなさってるでしょうし。』
智 『それが一番心配なんだよっ』
駄目だっ。
マネージャーは何も分かってない。
絶対松潤はニノを自分の部屋に呼んで
一緒に飲もうとか言って・・・
そんで・・・
そんで・・・
酔った勢いで・・・
智 『はぁーっ』
俺は一人で落ち込んで
大きな溜息を着いた。
家に着いてから
俺はもう一度ニノに電話を入れてみた。
数回コールを聞いて諦めかけてたら、ようやくニノが電話に出た。
和 『リーダー?ごめん、さっきは電話出れなくて。』
智 『仕事とっくに終わってるんだろ?』
和 『Jが一緒だったから、あなたから電話ってのはマズイでしょ。』
智 『今は?』
和 『ホテルの大浴場に風呂入りに行ってるんだ。』
智 『ふっ・・風呂お??』
和 『リーダー、落ち着いて(笑)』
智 『お前、LINEのごめんってなんだよ?』
和 『えっ?ああ(笑)帰れなくなったから・・・』
智 『今すぐ戻って来い』
和 『ええ?無理だよ・・・』
智 『お前、風呂とか誰とも一緒に入るんじゃねえぞっ』
和 『何言ってるの?(笑)』
智 『だから俺は最初から反対だったんだよ。』
和 『あのね、いいですか?よく聞いて。俺は遊びで来てるんじゃ
ないんですよ。』
智 『そんなの言われなくても分かってるよ』
和 『だったら、そんなイライラしないで下さいよ。』
智 『やっぱり行かせるんじゃなかった・・・』
和 『今夜一晩だけだから、我慢してよ。』
智 『ニノぉ・・・』
和 『情けない声出さないでよ(笑)』
智 『だって・・・』
和 『そっちも雪降ってる?』
智 『うん、こっちもこれから積もるらしい。』
和 『何も心配しないで。俺は浮気とか絶対しないから。』
智 『ん、信じてるから・・・』
和 『リーダー、お土産買ってくるね。』
智 『いいよ。お前さえ早く帰って来てくれれば。』
和 『うん。それじゃ、明日ね・・・』
声聴いたからちょっとは安心したけど余計に逢いたくなった。
信じるとか言ったけど
今夜は俺、眠れそうにないや・・・。
やっぱり、心配で落ち着けるわけない。
あんな広いベッドに
一人寂しく寝ることなんて
今まで考えたことも無かったもんな。
どちらかが先に寝たとしても
目が覚めた時には
必ずニノが俺にぴったり寄り添って
可愛い寝顔を見れるのに・・・
一晩居ないだけで
こんなに寂しいって、何なんだよ?
仕方なく俺は眠くなるまで
アトリエ部屋に篭もって絵を描く事にした。
そういえばここんとこ
ゆっくり絵を描くって事も無かったな。
そう考えると、こういう一人の時間も
俺にとっても大事な時間には違いないんだけど
こんな不安な気持ちを抱えていても筆が進むわけもなく・・・
真っサラのキャンバスを見つめて
何を描こうかと考えるけど
浮かんでくるのは、ニノの顔ばかり。
こりゃもう重症だな。
俺は結局、頭の中に浮かぶニノを
題材にして描く事にした。
つづく