第12章
我慢の限界って何処までなのか③
家に帰り着いた俺達は
いつものように振舞わなきゃって
なんか、それが逆にぎこちなくて
言葉数も自然に少なくなってしまう。
ニノがいつもの様に風呂を溜めに行き
俺は間が持たないからソファーに寝そべり
テレビに向かってリモコンのスイッチを押した。
ニノは居心地が悪そうに
ダイニングの椅子に腰掛けて
煙草を吸い始め、携帯を弄ってる。
俺は興味もない番組を
魂抜かれちゃったみたいにボーっとただ観てた。
煙草を吸い終わったのか
俺の方にツカツカと歩いてきて
寝転んでる俺の前に立つと
上から怖い顔して見下ろした。
和 『ねえ?なんで怒んないのさ?』
智 『はあ?』
そういうニノはなんでキレてんだ?
和 『俺はJと一緒に風呂に入った事を隠してた。それなのに
どうして怒んないの?』
智 『どうしてって・・・仕事だからそれにとやかく言っても
仕方ないじゃん。』
和 『じゃあ、どうして何も聞かないの?』
智 『何をだよ?』
和 『2日目の夜の事・・・』
俺はその言葉に思わずソファーから起き上がって
ニノの顔を覗き込んだ。
智 『何かされたのか?』
和 『俺、あの日Jに呼ばれて夕方から何人かでJの部屋で飲んでた。』
智 『潰れたって言ってたな。』
和 『そう・・・。俺、気が付いたらJの部屋のベッドで寝てたの。』
智 『ええええっ?』
和 『服はちゃんと着てたよ。』
智 『あ、当たり前だ。』
和 『でも、俺が目が覚めたのは早朝のことで・・・』
智 『・・・それで?』
和 『隣にね、いつの間にか・・・』
智 『いつの間にか?』
和 『Jも一緒に寝てた。』
智 『マジか・・・』
和 『俺、何も覚えてなくて・・・』
智 『松潤は何もしてねえって言ってたけど。』
和 『俺にも朝からそう言った』
智 『そっかぁ・・・んふふふっ・・・あははは・・・』
和 『えっ?怒らないの?』
智 『それでニノってば今日1日様子がおかしかったのか。』
和 『えっ?』
俺はニノの手を引っ張って
自分の隣に座らせて
ぎゅーっとその身体を抱き寄せた。
智 『俺さぁ・・・ヤキモチは絶対妬かないって決めてたの。
でも、それってお前にとっては逆に苦しかったんだな。
ゴメン・・・』
和 『リーダー・・・』
智 『俺はお前の事も松潤の事も信じてるよ。
だから怒ったりしないよ。お前が潰れたのだって
わざとじゃないんだろう?』
ニノは大きく頷いて
真ん丸い薄茶色の瞳で俺を意外という顔で見つめた。
和 『俺があなたのいう事ちゃんと聞いてれば良かったんだ。』
智 『ロケ行くの反対した事言ってるの?』
和 『うん・・・』
智 『ニノらしくないな(笑)』
和 『でも、断っていたら、2日も泊まらなくて済んだのに。』
智 『それは仕方ないよ。それもわざとじゃないし・・・』
和 『それじゃ、許してくれるの?』
智 『最初から許してるよ・・・俺はね・・・』
和 『リーダー。』
智 『あ・・・だけど・・・』
和 『えっ?何?』
智 『お前、松潤に観られちゃったんだ・・・』
和 『あ・・・そりゃね。温泉だから・・・』
智 『俺のなのに・・・』
和 『代わりに俺もJのをバッチリ見たよ(笑)』
智 『マジか(笑)』
和 『大人になってから、メンバーと一緒になんか
入ったことないでしょ。』
智 『ねえなぁ・・・若い時は有ったけど』
和 『リーダーの負けでした(笑)』
智 『な・・・なんだとお?』
和 『じっ、冗談だよ(笑)』
智 『負けだろうがなんだろうがなぁ、お前が満足すれば
それが本当に勝ってるってことだろうがよ?』
和 『もう~冗談だって言ってるのに直ぐムキになる(笑)』
智 『ムキにもなるわ!さっ、風呂入るぞっ。』
俺はそう言ってニノの腕を掴んだ。
智 『この前、寝不足で出来なかったから。
イイコト一杯してくれるんだよな?約束だもんな。』
ニノはそれを聞いて途端に吹き出して
笑いが止まらなくなった。
和 『んもう、何言ってるんですか?』
智 『いいから、早くっ。俺は真面目に言ってんだ。』
俺はニノを引っ張ってバスルームに向かった。
つづく