第13章
風邪に効く薬②
寒い・・・
とにかく寒くて身体が小刻みに震える。
ガタガタ震えてたら
ニノが俺の身体にしがみ付くように
抱き締めてくれた。
和 『大丈夫?辛い?』
智 『ん・・・大丈夫・・ゴメンな。』
和 『辛いなら救急連れてくけど。』
智 『ううん、大丈夫だよ。ただの風邪だから・・・』
和 『朝、熱下がってるといいけど・・・』
心配そうに俺の額に手を当てた。
俺はその手を握って
智 『ゴメン・・・ホントはもっと欲しかっただろ?』
和 『ホントだよ。この借りはキチンと返してよ(笑)』
智 『ん・・・分かってるよ。』
和 『そんなふざけたこと言ってられるから大丈夫だな。
辛かったら起こしてよ。おやすみ・・・』
智 『うん。おやすみ・・・』
それから薬のお陰で俺は朝までなんとか眠った。
そして次の朝・・・
俺は額に乗せられたニノの手の温もりで
目が覚めた。
智 『あ・・・ゴホッゴホッ・・ニノ・・・』
和 『おはよ。ヤバいね。咳まで出始めてるじゃん。』
俺は体温計で再び検温させられた。
和 『37.5℃かぁ・・・。薬で少しは抑えてるのかな?
やっぱり仕事行く前に病院に寄ろう。』
智 『参ったなぁ・・・ゴホッ・・・』
和 『大丈夫?何か食べられる?』
智 『いらない・・・』
和 『無理して食べない方がイイかもね・・・』
智 『今、何時?』
和 『10時だよ。昼過ぎに迎えだからマネージャーに電話して
早めに来て貰うね。』
智 『うん・・・』
和 『点滴でも打って貰えば生放送は持つかな・・・。
こんな時休めないのが俺達の仕事だもんなぁ。』
智 『大丈夫、気合で治すよ・・・ゲホッ、ゴホッ・・・』
和 『ギリギリまで寝てなよ。出掛ける前に起こしてあげるから』
そう言うと、俺の唇に優しくチュッと口付けた。
智 『移るよ・・・』
和 『平気だよ。』
はあ・・・
早く治そう。
これじゃ、まともにチューも出来やしない。
それからまた1時間程眠って
ニノが俺を起こしにきた。
和 『リーダー・・・そろそろ起きないと時間だよ?』
智 『ん・・・ああ・・分かった・・・』
俺は鉛みたいに重たい身体を起こして
フラフラと顔を洗いに洗面所へ降りた。
鏡に映った俺は最悪な顔してる。
これで本当にアイドル?
マジで無いな・・・。
電気カミソリで不精に伸びた髭を剃り
ドライヤーで寝癖を直すけど
発熱のせいか、肌艶は悪くて顔色も冴えない。
ただでさえ眠そうな顔してるっていうのに
今日はまた一段と目が虚ろ。
生放送、不安でしかない。
和 『リーダー・・・』
マネージャーが到着したのか
ニノが俺の後ろから声を掛けると同時に
ギューッとお腹に腕を回して俺を抱き締めた。
智 『行かなきゃか?』
和 『うん・・・マネージャー来た。』
俺は本当はめちゃくちゃ辛かったけど
ニノが不安がるといけないから
下腹部に力入れて気合を入れてニノの方に身体を向き直した。
智 『どうした?』
和 『俺、今日は全力であなたをフォローするから!』
智 『んふふふ。大丈夫だよ・・・行こうか。』
俺達はマスクを嵌めて
マネージャーの車に乗り込んだ。
マ 『おはよーございます。大野さん、大丈夫ですか?』
智 『大丈夫って言いたいところだけど・・・ゴホッゴホッ・・・』
和 『とにかく病院へ連れてってよ。』
マ 『了解です。ニ宮さんも移らないように気を付けて下さいよ。』
和 『うん、それは大丈夫。』
俺は掛かりつけの病院に連れてこられて
医者からはただの風邪だと言われた。
ひとまず、点滴を受けて解熱剤を処方して貰った。
再びマネージャーの車に戻ると
俺が点滴受けてる間に
ニノがマネージャーと買い物に出掛けてたらしくて
和 『風邪にはビタミンだよね。ハイ。これ食べなよ。』
智 『おっ苺かぁ・・・』
和 『ハイ、あーんは?』
智 『あーん・・・あっ、うめえっ!』
和 『ふふっ、だろう?それからね、のど飴も買ってきた。』
智 『お前は本当に気が効くよな・・・』
そんな俺達のやり取り見て
マネージャーがクスクス笑ってた。
いい年した男が「あーん」とかやってんだから
そりゃウケルわな・・・。
でも、俺達はこれが普通なのよ。
今更このスタイル変える気もないもんな。
極めつけは
和 『どんな感じなのよ?少しはマシになったの?』
って俺のおデコに自分のおデコくっ付けて
体温チェックするから
それもバックミラーごしに見られてて
マ 『本当に仲イイよなあ・・・』
って、またクスクス笑われた・・・。
つづく