二度目の家庭内別居②

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第14章

二度目の家庭内別居②

 

 

俺が床の上にへたり込んだ直後
ニノがゲストルームのドアをゆっくりと開けた。
それから俺を呆れた顔で見下ろした。

和 『20時には帰るって、あなたから言ったよね?』

智 『ごめんなさいっ』

俺は頭の上で両手を重ねて深々と頭を下げた。

和 『どうせ最初からそんな早く帰れるわけないって思ってましたけど。』

智 『ホント、おいらが馬鹿だったよ。』

和 『とにかく、今夜は一人で寝て下さい。』

智 『そんなぁ・・・。頼むよ。機嫌直してくれよ。』

俺は立ち上がってニノを抱き締めようとするけど
両手で胸を押し返された。

智 『何も午前様だった訳じゃないじゃん。』

和 『俺はそういう事言ってるんじゃありません。』

智 『だったら、もう許してよ。』

和 『無責任な言動を謹んで貰わないと。』

智 『本当に2時間有れば十分だと思ったんだよ。』

和 『だけど、2時間じゃ足りなかったんでしょ?』

智 『それは・・・そうだけど・・・』

和 『どうせ、1時間も2時間も怒られるのは一緒だとか思って
たんでしょう?』

さすが・・・俺の専属メンタリストだな。
って、感心してる場合じゃないか。

智 『ニノには敵わないよ・・・』

和 『この落とし前どうつけるつもり?』

智 『ニノが欲しいもの買ってやるから・・・』

和 『俺のいう事何でも聞く?』

智 『うん、でも別々で寝るのだけはやだっ。』

和 『はぁ・・・まったく困った人ですね(笑)』

ニノがやっと笑ってくれた。
そうして、ゲストルームの電気を消すと
寝室に向かって歩いた。

智 『ニノ、分かってくれたんだぁ。』

和 『勘違いしないでね。ちゃんと条件付けるから。』

智 『ええ?何それ?』

和 『そうしないと、あなた懲りないでしょう?』

智 『条件って何?』

和 『そうだな・・・1週間謹慎してもらおうかな。』

智 『何だよ、それ?』

和 『俺と一緒に寝ても良いけど、俺に指1本触っちゃダメだからね。』

智 『ええええ?無理無理・・・もし触ったら?』

和 『完全に寝室を別けます。』

そんなの無理に決まってるじゃねえか。

智 『そういうこと言ってもお前だって我慢出来ないだろう?』

和 『1週間、俺と一緒の布団で寝ても触れないの我慢出来ず
完全に寝室別けられるのと、1週間だけ別々で寝るの、
どっちがいいですか?あなたが好きな方を選んでいいよ。』

智 『もう、それってさ、俺が一緒に寝たら間違いなくお前に触るの
前提で話してるじゃん・・・』

和 『あっ(笑)分かりました?』

智 『どうしてそんな意地悪いことばっか考えるかな・・・』

和 『そうかな?優しいと思うけど。』

智 『ねえ。ホントに反省してるから・・・』

俺はニノの肩を抱いた。
ニノは不満そうな顔してたけど
やっぱり、なんだかんだ言ってもさ
俺の事が好きなんだよ。
直ぐに俺の首に腕を回して

和 『バカさとし・・・』

ってゆっくり俺に口付けてくれた。
でも、その後・・・

和 『うっ・・・酒臭っ!』

って顔を離して首元に手を宛て
ハッと何かを発見したというような顔をして
その後もの凄い怖い顔で俺を睨み付けた。

智 『なっ・・・何?』

和 『浮気・・・してた?』

智 『え?はあ?』

和 『お前・・・浮気してただろ?』

智 『だから、何よ?急に・・・』

和 『いいから、正直に言えよ!』

智 『何言ってるの?浮気なんてするわけないじゃん。』

俺はもう一度ニノの唇に近付くも
思いっきり左頬を平手打ちされた。

智 『いってーよ!何するんだよ?』

和 『どうして嘘ばっかり付くの?』

智 『嘘なんて付いてねえし!』

和 『だったら、どう説明するんだよ?』

智 『ハア?』

和 『ネックレス・・・何処で外したの?』

智 『ああっ!』

あの時だ・・・。
トイレから戻って・・・
返してもらうの忘れてた。
ど・・・どうしよう。
今何と言い訳したとしても、多分信じてもらえないよな。

和 『あなたがそんな人だったなんて・・・』

ニノの瞳がウルウルに潤んで揺れてる。
ま、待ってくれ!何と言えばいいんだ?

智 『ち、違うんだよ。これには事情が・・・』

和 『言い訳なんて聞きたくないよっ』

後ずさりするニノの手を捕まえる俺。

智 『お願いだから、話を聞いて・・・』

和 『離して!・・・』

ニノは俺の手を振り解いて
寝室を出て行った。
そして再びゲストルームに引篭もってしまった。

マズイ・・・。マジで最悪だ。

俺は急いでさっきの後輩に電話を掛けて
ネックレスの存在の無事を確認した。

智 『あ・・・もしもし、俺だけど。ネックレス、どうした?』

後 『あっ、先輩?ネックレス、俺着けて帰っちゃいましたよ。』

智 『マジか・・・それ、大切なヤツなんだ。明日返してくんない?』

後 『はあ、明日ですか?今度じゃ駄目ですか?』

智 『明日じゃなきゃ困る!頼む。なんとか明日返しに来てくれ。』

とにかくネックレスは紛失した訳じゃないだけホッとした。
俺はそれを確認すると、ニノの様子を伺うべく
ゲストルームにもう一度向かった。

つづく

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投稿者: 蒼ミモザ

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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