更なる試練②

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第15章

更なる試練②

 

 

ドラマの撮影が始まり
早朝のロケが多くてとにかく眠い・・・。

それよりも、新曲のレコーディングや
振り付けも覚えなくてはならなかったり
雑誌の取材も一気に増えるので
今までのんびりしたペースで仕事してた俺にとっては
結構、精神的に追い込まれてた。

レギュラー番組の収録の日も
終了後にドラマの撮影に行かなくてはならなかったり
本当に、ニノとろくに話も出来ない。

その日家に帰りついたのが夜の23時過ぎ。
次の収録の台本を覚えなくてはならなくて
真っ先に風呂に入ってのんびり酒を飲む暇もなく
リビングのソファーに腰掛けて台本を覚えてた。

寝室で1人ゲームしてたのだろう。
ニノが俺の帰宅に気付いて階段を軽やかに駆け下りてくる。
ソファーの後ろから俺を抱き締めて

和 『お帰りっ・・・』

ってキスを強請る。
俺もそうしたいのは山々だけど
止まらなくなるのは分かってるから

智 『ただいま。ゴメン、ちょっと待ってくれる?』

ってお預けするしかない。

和 『台詞、覚えるの手伝いましょうか?』

智 『え?ホント?助かるよ』

和 『俺、今ドラマも映画も入ってないからね。いいよ。
台本貸してみなよ。何処まで覚えたの?』

智 『頭から15ページは大丈夫な筈だけど・・・』

和 『ええと・・・それじゃ俺はこの相手役をすればいいのね?』

智 『うん、頭から頼むよ。』

ニノは台本を見ながら
俺の台詞がキチンと間違いなく
頭に入ってるかチェックしてくれる。
こういう時、同業だとホント助かるわ。

和 『お話って何ですか?』

智 『うん・・・○○さん、今度映画でも一緒にどうかなって。
面白いのやってるんでさ。チケット2枚あるし。』

和 『映画?どんな映画ですか?』

智 『ホラー映画』

和 『あっ、あたし、ホラーとか苦手なんで・・・』

智 『それじゃ、SF なんてのは?』

和 『あっ・・・そういうのもちょっと・・・』

智 『それじゃ、時代劇は?』

和 『ゴメンなさい。他の方を誘って貰えます?』

智 『あっ・・・待って○○さんっ』

台本にはそのまま去ろうとする
女優を追い掛けて、
その腕を捕まえるまでのシーンなんだけど。

ニノがその相手役になりきり
アクションまで付けてくれるものだから
俺はニノの腕を捕まえて
グッと身体を抱き寄せた。
台本に無い事してるから
上目遣いに俺の顔を覗き込むニノの唇に
自分の唇を重ねて本気でキスシーン演じてやった。

ニノの手から台本がバサッと床に落ちて
両腕が俺の首の後ろに回る。
角度を変えながら
そのキスは当然のことながら
激しさを増す。

和 『ハッン・・・ンンッ・・・』

智 『ンっ・・かずっ・・・』

和 『ちょっ・・・待って・・・』

智 『えっ?』

俺はニノの唇から一瞬離れる。

和 『そんなん台本に無いでしょ?』

智 『でも・・・いつか有るかもしんないし。』

和 『ふざけんなよ。俺でそういうの練習すんなよ!』

智 『ん、もういいや。台詞は明日、車の中で覚えるわ。』

和 『大丈夫なの?』

智 『噛まずに言えてただろ?』

和 『まあね・・・』

智 『もう、おいら眠いしさ・・・1回してから寝よう。』

和 『何だ?それ・・・』

智 『いいから・・・』

ここのところ同じ時間に
布団に入ることは少なかったんで
さすがに先に眠ってるニノの寝込みを襲うわけにも
いかなかったし、それどころか会話ですら
ゆっくりまともに出来てなかったから
いつも台詞覚えるの付き合ってくれたりとか
殆どしないニノが、わざわざ俺と会話したくて
そうしてくれたのも実は俺、
全部最初っからお見通しだったんだよ。

俺はニノの手を掴み
2階の寝室に上がった。
ニノも数日我慢してくれてたから
本当は嬉しい筈なんだ。
出来る事なら・・・
たっぷり愛してあげたいところだけど
俺は明日もめっちゃ早朝からロケが入ってる。
調子に乗って起きれなかったら
周りに迷惑が掛かるから
それだけは避けないと・・・。

ベッドに横たわるニノの上に跨り
見下ろしたら、凄い待ってたといわんばかりの
色っぽい目をして俺のことを見つめた。
ううっ・・・こりゃもう軽く1回どころじゃ済まないかな。
だけど、そこは上手くニノが舵を取る。
二度目を要求しそうな俺に・・・

和 『明日の仕事に差し障るから、もうタイムアウトだよ。』

って俺の頬を優しく撫でた。
はあっ・・・めっちゃ愛おしい。
もう、マジで早くドラマとか終わんねえかなっ。

つづく

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投稿者: 蒼ミモザ

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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