第16章
恋人の家出②
ドラマの撮影を終えて迎えの車に乗ったら
マネージャーが深刻な顔して俺に話し掛けてきた。
マ 『大野さん、ニ宮さんにご連絡取ったんですが・・・』
智 『うん、何て?』
マ 『暫くご実家にいらっしゃるそうで・・・』
智 『やっぱそうか・・・』
マ 『大野さんとお話になるように言ってはみたんですが・・・
なんか、相当落ち込んでいらしてて、私ともあまり
話して頂けなかったんですよ。』
智 『そうなんだ・・・』
マ 『とりあえず、次の番組収録の時にでも
なんとか二宮さんとしっかりお話されて下さい。』
智 『うん、おいらもそのつもりだよ。』
っていうか、顔を合わせたところで
そんな簡単に話とかしてくれないだろう。
そうか、やっぱり次の収録まで逢えないのか。
はぁっ・・・
俺がずっと溜息付いてるから
マネージャーが俺の事ずっと心配そうにしてた。
それから毎日俺はニノの携帯に電話を入れてみるけど
相変わらず着信拒否られてて
LINEでの呼び掛けも完全に無視されてた。
そしてニノが家出してから1週間後・・・
ようやくレギュラー番組の収録の日が来た。
俺はマネージャーに
くれぐれも、ニノを刺激しないようにと
念を押されてテレビ局に向かった。
1番に楽屋に着くもまだニノの姿は無かった。
俺はいつもの様に衣装に着替えて
ヘアメイクを済ませ
椅子に腰掛けて台本を覚えてた。
廊下から相葉ちゃんとニノの笑い声が聞こえた。
あっ・・・来た、来た!
雅 『あ、リーダーおはよう。今日も早いねえ』
和 『・・・・おはようございます』
智 『あ、お、おはよう・・・』
当然だけど、ニノは俺と目を合わせない。
和 『それでさぁ、相葉さん、俺もホントにそれ行ってもイイの?』
雅 『勿論、その代わり準備するのは手伝ってね。』
和 『俺、お皿とか割り箸でいいでしょ?』
雅 『なんだよ、安いのばっかじゃん(笑)』
和 『ええ?わかんないもん。俺買い物とかしないから・・・』
雅 『待ってよ。役割分担は後で決めるからさ。』
何の話してるんだろう?
二人はプライベートで何処か行くのか?
そんな風な話に聞こえた。
雅 『ねえ、そうだ。リーダーも時間が合えば来ない?』
智 『えっ?なんの話?』
雅 『今度さ、風間とか斗真とかが河原でバーベキューするって
計画しててさ・・・』
智 『へえ・・・』
和 『無理じゃない?リーダーはお忙しい人ですから。』
完全に俺に背中を向けて
ちょっと嫌味な言い方をした。
雅 『ああ・・・確かにドラマやってるからね。だけど
時間が合えばって事でさ・・・』
智 『バーベキュー、何時やんの?』
相葉ちゃんがスケジュール帳を出して
カレンダーを指差して俺に説明してくれた。
雅 『この日か・・・この日にしようって話してたの。』
智 『マネージャーに聞いてみるわ。』
雅 『うん、ところで翔ちゃんと潤くん知らない?』
智 『多分スタジオ・・・』
雅 『もうスタジオ入ったの?早いなぁ・・・』
相葉ちゃんは衣装に着替えると
翔君と松潤にスケジュール聞いてくるって
一人で楽屋を出て行った。
チャンス到来・・・
楽屋には俺とニノの二人っきり。
今しか話すとき無いな。
智 『ニノ・・・まだ怒ってる?よね・・・』
和 『・・・』
智 『本当にゴメン。この通りだから戻って来てよ。』
和 『・・・』
智 『もう、俺とは口も利いてくれないの?』
和 『あの、仕事の話以外では俺に気安く話し掛けないで貰えますか。』
智 『何でだよ?謝ってるのに・・・。』
和 『あなたには分からないんだよ。』
智 『分かるよ。』
和 『分からない!』
智 『お前・・・もう俺と別れたいの?』
和 『今、それ答えた方がいいですか?』
智 『え・・・や・・・答えなくていい・・・』
俺は怖かったんだ。
この流れでいくと
間違いなくニノは
俺が聞きたくない答えを口にしそうな
そんな気がしたんだ。
和 『答えて欲しいから聞いたんでしょう?』
智 『いいから、何も答えんじゃねぇよ。』
俺は自分でもビックリするような
でかい声をニノに向かって張り上げてしまった。
つづく