第19章
恋人が妊娠?②
ええっ?マジかぁ?
ニノがおめでた?妊娠?赤ちゃん?何で?
いやいや・・・それは無いよな。
幾らなんでも・・・。
だけど、あの苺とかもそうだけど
妊娠したら酸っぱいの欲しくなるとか
どっかで聞いたことあるぞ。
もしもだよ・・・
もしもそうだとしたら俺とニノの子供だよね?
どうしよう。めっちゃ嬉しいんだけど。
智 『ニノ?』
和 『ううっ・・・待って・・・おえっ・・・』
智 『大丈夫かよ?』
和 『ふぅ・・・ハァ・・・疲れるっ・・・』
智 『ね、何時から?』
和 『え・・・昨日からだけど。』
だとしたら
逆算しても俺とそういう関係になっちゃってから
3ヵ月半くらいだから
妊娠してるとしたら3ヵ月くらいか?
智 『ニノ、ニノってば!』
和 『何だよ。人が苦しんでるのにどんだけ嬉しそうな顔してんの?』
智 『違うってば。それってさ、もしかしてつわりじゃないの?」
和 『はああ?』
智 『だって、あの苺とかキウィとか
お前が買って来て食べたんでしょ?』
和 『そ、そうだけど、それと何の関係が有るんだよ?』
もう、ニノが何て言ったって
俺は嬉しくて舞い上がってた。
ニノを後ろから抱き締めて
いっぱい彼に頬擦りをした。
和 『ちょっと(笑)落ち着いてよ。』
智 『いいから明日一緒に産婦人科に行くぞ!』
和 『俺の話を聞けってば。』
ニノにしては珍しく声を荒げた。
そして俺は腕を掴まれて
リビングに引き戻された。
和 『はぁ、もう・・・ちょっと、いいから座って!』
俺は言われるとおり
何時もの場所に腰を下ろした。
和 『ねえ、サトシ?俺も実はつわりは疑ってる。』
智 『うん、だろうっ?』
和 『この前から冗談では言ってたけどさ・・・
あなたから妊娠って言葉を1万回とか聞かせれて
意識してなかった訳じゃないよ。
でもね、冷静に考えてもみろよ。
俺はあなたと同じ男だよ。子宮だってなければ
生理だってこない。馬鹿でも考えたら分かるだろ?』
智 『ううっ・・・そっか・・・』
和 『俺だってあなたの子供生めるものなら生みたいよ。
だけど、どんなに世の中がひっくり返ったって
それは不可能な話だもん・・・』
智 『そんじゃ、どうしてつわりとか?』
和 『だから・・・多分・・・想像妊娠ってヤツ?』
智 『ええええっ?』
和 『俺もハッキリとは分かんないけどね。』
智 『男でもそういう事有るの?』
和 『有るらしいよ。例えば奥さんが妊娠してるのに旦那が
つわりになるとかは有るらしい』
智 『マジか・・・』
和 『実際俺も困ってるの。もしそうだとしたら体調悪いからって
病院で診てもらうわけにもいかないだろ?』
智 『何でだよ?普通に診て貰えばいいんじゃないの?』
和 『症状聞かれてつわりみたいですって言えっていうの?』
智 『あ・・・確かに・・・』
和 『恥ずかしくて言えないよ。そんなこと。』
智 『だったら産婦人科で診て貰えば?』
和 『冗談言うなよ。想像妊娠に効く薬なんてそもそも存在するの?』
智 『分かんない・・・』
和 『これはリーダーの責任でもあるんだからね?』
智 『責任って・・・』
和 『ね、ちょっと手、貸してみ。』
智 『えっ?』
和 『いいからっ///』
ニノがそう言って俺の手を捕まえて
自分の胸に運んだ。
智 『ええっ?な、なにこれ?』
和 『なっ。可笑しいだろ?間違いないよ。
俺はきっと想像妊娠してるんだよ。』
俺の手の感触が間違いなければ
ニノの胸がふんわりと少しだけ膨らみを帯びていた。
どうするんだ?
これってどうなるんだ?
もしかして女性ホルモンが分泌されてるって事?
だけど、赤ちゃんはニノが言うみたいに
有り得ないんだったら・・・
ニノは一体どうなっちゃうの?
ニノは口を尖らせて
どうしてくれんだ?って俺を睨みつけるけど
目の前の苺をモグモグとツマミながら
また気分悪くなったみたいで
洗面所に駆け込んでく。
困った事になったな。
これ放っておいて治るんだろうか?
つづく