第21章
リアル復活ラブ①
ドラマの現場に着いたら
相手役の〇さんが、真っ先に俺の所に謝りに来た。
〇 「大野さん・・・なんか、昨日はすみませんでした。」
智 「あ・・・なんか凄く酔ってたけど大丈夫だった?」
〇 「私、何も覚えてないんです。マネージャーにとにかく大野さんに
一番に謝るようにって言われて・・・」
智 「覚えてない方がいいよ(笑)俺ももう忘れたから・・・
気にしないでいいよ・・・」
とは言ったものの・・・
忘れるわけないじゃん。
あんたのせいで俺、ニノから大きな誤解を受けて
我が家は大変な事になってるんだぞ。
だけど、彼女にそれを言ったところで
もう、終わってしまった事はどうにもならない。
はぁ・・・ニノ・・・。
今日も口利いてくんないのかな?
撮影も全て無事に終了。
ラブシーンもNGも無く、まあ完全に役になりきって
うまくやれたんじゃないかな。
これをニノが観たって、
きっとヤキモチも妬かないだろう・・・
それくらい軽い演技だった。
それから、大きな花束と拍手を貰って
演者さんと監督と握手を交わし、全ての撮影が終了した。
それから打ち上げ。
スタッフと出演者の殆どで参加して
昨日の食事会のような女優との接触も無く
本当に制作スタッフと和やかな雰囲気で
酒を飲んで、Oさんも今夜はさすがに
一滴もアルコールには口を付けずに
皆よりも先に帰って行った。
俺も、明日はレギュラー番組の収録が有るからと
二次会には参加せずに早々に帰宅した。
家に戻るのがちょっと気が重い。
きっとニノはまだ怒ってる。
だけど、そうは言っても
俺のドラマの仕事が終わるのを
誰よりも一番楽しみにしていたんだもの。
きっと、少しはホッとしてくれてる筈なんだ。
俺は今朝の喧嘩の事は
全然何事も無かったように
一切顔に出さないようにして家に戻った。
智 「ただいま・・・」
和 「お帰り」
智 「終わったよ。」
和 「そう・・・お疲れ様でした。」
智 「何?まだ怒ってるの?」
和 「べつに・・・」
怒ってるじゃん。
智 「そうだ、ほら・・・社長が言ってた旅行の話だけど
想像妊娠の騒動で忘れちゃってたな。
何処行くかも決めてなかったよね?」
和 「ああ・・」
智 「もう、ハワイにしとく?」
和 「・・・何処でもいい。」
智 「うん、それじゃハワイにしよう・・・」
和 「俺、疲れたからもう寝ます・・・」
智 「え?あ・・・そうだな。明日も仕事早いもんな。」
なんか・・・すげえ会話に気を遣うから俺も疲れた。
とりあえず風呂に入り
いつものように缶ビールを片手に2階に上がる。
寝室に入ったら部屋が真っ暗なんで
スタンドライトを点けて
ソファーで1人ビールを飲む。
ベッドの方を見たら
ニノが布団を頭まで被って壁側に背中を向けて寝てた。
ハアッ・・・
俺は小さく溜息をついて
ベッドに潜り込んだ。
そしてニノを背中から抱き締めた。
智 「ニノ・・・・夕べはゴメンな。」
和 「ゴメン、俺・・・疲れてるから・・・」
そう言ってるけど・・・
俺の回した手を背中向けたまま
ギュッと握り締めた。
俺はもうそれ以上は何も求めずに
その夜はそのままニノを抱き締めて
眠りに就いた。
そして翌朝・・・
ニノの機嫌は少しだけ戻ってるように見えた。
和 「リーダー・・・早く支度しなさいよ。
そろそろ時間だからね・・・」
智 「あ、うん・・・」
いつまでも拗ねて喧嘩してたって
面白いわけないものな・・・。
多分まだ先日の事を許してくれてる、
というわけではないだろうけど
まあ、会話してくれるだけでも
俺はホッとしていた。
ところが・・・
レギュラー番組の収録先で
またニノを怒らせるような出来事が起きた。
潤 「ねえ・・・リーダー、昨日クランクアップだったって?」
智 「うん・・・やっと終わったよ。」
雅 「ねえ、リーダー、結局あれどうなるの?」
智 「え?ドラマ?」
雅 「俺、毎週観てたんだよね。」
智 「そうなの?ありがとうね。」
雅 「やっぱり最後はチューあるの?」
智 「そ・・・それは・・・」
マズイな・・・
ドラマの話はニノの前でしたくないのに・・・
翔 「大野さん、とうとう女の人とキスシーンしたんだ?」
バタンッ・・・
大きな音をさせてニノが楽屋を出て行った。
潤 「あらあら・・・翔さん、ニノの前でそれは禁句でしょう。」
翔 「うわっ・・・本当だ。ゴメン大野さん・・・」
智 「もう・・・翔ちゃ~ん、勘弁してよぉ。」
雅 「ニノったら、仕事にヤキモチ妬いてるの?」
智 「いや・・・実はさ・・・」
俺は一昨日の夜の事を皆に話した。
雅 「ええ?リーダー前日にチューされちゃったの?」
翔 「それでニノ不愉快そうにしてたのか・・・」
潤 「そもそも最初に嘘なんかつくからだよ・・・」
智 「そうは言ってもあれは事故なんだもの。」
つづく