第21章
リアル復活ラブ⑤
俺はニノの手を掴んだまま
ベッドの縁に伏せた状態でそのまま眠ってた。
もぞもぞと、手元が動いて俺は目が覚めた。
頭を起こしてニノの事を見たら
意識が戻ったみたいで
ボーッと天井を見つめてた。
智 「ニノ・・・?」
和 「・・・ここって・・・病院・・・ですよね?」
智 「うん、昨日事故に遭って、そのままここに運ばれたんだ。」
和 「・・・そうか。それで・・・失礼ですけど、あなたは?」
智 「えっ?」
和 「どちら様でしたっけ?」
智 「え?俺だよ・・・覚えてないの?」
和 「・・・はぁ。」
智 「嵐・・・大野だよ。本当にわかんないの?」
和 「・・・」
なんてことだ。ニノは記憶を失ってるのか?
智 「嵐は?自分の名前は?」
和 「・・・あらし?」
智 「わかんないの?」
和 「・・・すみません」
無表情なニノ。
笑いもしなければ、悲しい顔もしない。
俺にはそんなニノがまるで別人みたいに見えた。
智 「何処か痛いところは?」
和 「あちこち・・・痛いです。」
智 「待ってて、先生を呼んでくるから・・・」
俺はナースステーションに行き
担当医を呼んでもらう。
ニノは、痛み止めの注射を受けて
暫くまた眠った。
俺は担当医に記憶が失われてる事を伝えた。
医 「頭を少し打ってる可能性が有るので
とりあえず今日検査はしますが、CT検査では
特に外傷は見付からなかったので、おそらく一過性の
記憶障害だと思います。心配要りませんよ。」
智 「一過性?そ、そうですか・・・」
直ぐに思い出すってことだよね?
俺にはとてもそんなふうには見えなかったけどな。
それからニノの事故の事で
俺は事務所の幹部に呼び出され
病院を出て事務所に向かい、ニノの病状を説明した。
とにかく、ニノは暫く仕事どころではないので
代わりにメンバーが交代で仕事を引き受けることになった。
夕方過ぎに仕事を終えた俺は
再び病院に戻った・・・。
ニノの検査結果が出ていて
俺は担当医から説明を受けた。
車のガラスが割れて
至るところにそれが刺さった傷はあるものの
軽い打撲程度の怪我で
骨や頭部に全く異常がみられなかったらしい。
明日にも退院出来ると言われた。
問題は記憶障害だ。
俺の事を覚えてないのに
家に連れて帰っても大丈夫なのかな?
そんな事考えていたら
松潤と相葉ちゃんが見舞いにやってきた。
雅 「あっ、リーダー・・・ニノは?」
潤 「驚いたよ・・・。交通事故だって?」
智 「あ、うん。でも大した事ないって。
明日にも退院出来るらしいよ」
雅 「そうか・・・良かったね。たいした事なくて」
智 「うん・・・でもさ・・・」
潤 「どうかしたの?」
智 「記憶が無いみたいでさ。」
雅 「ええ?記憶喪失?」
智 「うん。一過性だろうって先生は言ってるんだけど
嵐のことも、俺の事も、全く覚えてないみたいなの。」
潤 「マジで?」
雅 「それって大変じゃない・・・」
智 「大変だよね・・・」
潤 「嵐のこと覚えてないんじゃ、踊りも歌も全然って事だよね?」
智 「たぶん・・・」
潤 「ニノと話せる?」
智 「話せるのは話せるけど・・・誰なのか分かんないと思う。」
雅 「それショックだな。」
潤 「でもちょっとだけ顔見てくるわ・・・」
雅 「あ・・・俺も・・・」
二人とはロビーで話してたんだけど
ニノにひと目逢って来るからと病室へ向かった。
俺は、マネージャーにも明日の退院について
説明しなくてはならなくて
ロビーでマネージャーが到着するのを待ってた。
****ニノの病室****
雅 「ニノ~大丈夫か?・・・」
和 「あ・・・相葉さん、Jも来てくれたの?」
潤 「え?あれ?ニノ、俺達の事は分かるの?」
雅 「記憶喪失じゃなかったの?」
和 「えっ・・・ああ・・・(笑)」
潤 「リーダーのヤツ騙しやがったなぁ・・・」
和 「そうじゃないですよ。ちょっと演技してるんです。」
雅 「演技?」
和 「これ、内緒にしてくれるって約束して貰えます?」
雅 「うん、誰にも言わない・・・」
和 「悪いけど少しの間だけ協力して貰えるかな?」
潤 「ニノが記憶喪失だと聞いて焦ったけど、フリだったって
聞いてホッとした(笑)いいよ、何時まで協力すればいいの?」
和 「退院しても俺2週間程まともに仕事行けないんです。
だからせめてその2週間だけ・・・」
雅 「リーダーにだけは記憶なくなった事にするのね?」
和 「まぁ、そういう事です・・・」
潤 「例のドラマのお仕置きかぁ・・・。こええなぁ(笑)」
和 「お仕置きなんかじゃないですよ。俺、家出してから
こんな事になっちゃったでしょ。だから色んな事を
リセットするのに丁度いいかと思って・・・」
潤 「まさかリーダーと別れる気なの?」
和 「いや、まさか(笑)」
潤 「それならいいけど。」
雅 「仲直りする為のお芝居なら、喜んで付き合うよ。」
つづく