第21章
リアル復活ラブ⑦
それから数日経って
ニノの傷口は随分良くなってきた。
だけど、相変わらず俺には
色んな事を思い出せないフリ?を続けていた。
それはつまり、ハグも出来なきゃキスも出来ない。
夜の営み、なんて当然させてもらえないんだもの。
いい加減にちょっと俺もストレスでどうにかなりそう。
俺がいつもの様に仕事に出掛けてたら、
翔ちゃんが、久々休みだったらしくて
ニノの様子がみたいって家に遊びに来てた。
翔 「ニノ・・・身体はどんな?」
和 「ええ、お陰様で回復に向かってますよ。
色々と迷惑掛けてごめんね・・・」
翔 「ねえニノ?相葉さんに聞いたんだけど
大野さんに記憶喪失のお芝居してるの?」
和 「うん。何も疑ってないみたいですよ」
翔 「それさ・・・ニノ、違うんじゃない?」
和 「え?」
翔 「大野さんさ、ニノが事故で運ばれた時、
とにかく俺が悪いんだって自分を責めてたんだ。
ニノが嘘付いてることも、全部分かってて
疑ってないフリをしてるだけなんだと思うけど。」
和 「そうなの?」
翔 「俺が言うのも何だけどさ、もう許してあげてくれないかな?」
和 「あ・・・翔ちゃん、それは誤解だよ。」
翔 「誤解?」
和 「うん。俺ね、自分の制裁の為にやってるの」
翔 「制裁?」
和 「そう、だって俺の我儘で凄いあの人に迷惑掛けちゃったでしょ。
あの人が優しくしてくれるからって、甘えて普通にまた
ここで暮らしちゃったらさ・・・
また同じ事繰り返しちゃうかもしれないから。」
翔 「やっぱり大野さんとニノって似てるんだな・・・」
和 「ええ?」
翔 「お互いを責めないところがだよ。でもさ、
そんな小細工して自分を制裁してるつもりでも、
大野さんは多分ニノから自分が制裁受けてるとしか
思っていないと思うけどね。」
和 「そうか・・・お芝居がバレてるとしたら
確かにそう思って我慢させてるだけかもしんないね。」
翔 「大野さんは、ニノの事がとにかく好きなんだから
出てって欲しくないって一心なんだと思うよ。」
和 「うん・・・」
翔 「好きなんでしょ?甘えても良いんじゃないの?
大野さんは、本当の事ニノが打ち明けてくれるの
きっと待ってると思うよ・・・。」
和 「結局、リーダーの事傷つけちゃっただけなんだな。」
翔 「それでも大野さんは怒ったりしないよ。ニノの事。
早く思い出したって言ってあげなよ・・・。
俺、大野さんが可愛そうで、これ以上見てられないよ。」
和 「分かったよ・・・。
本当は仕事復帰まで言わないでおくつもりだったけど
今夜ちゃんと言うよ。」
翔 「うん・・・そうしてあげてよ。」
和 「有難うね・・・翔ちゃん。」
翔 「御礼なんて・・・あ、それよりあの日さ、俺に話って
やっぱり別れるかどうするかって話だったの?」
和 「あ~あの日ね。俺家を飛び出したのはいいけど
行く宛てが全然なかったの。だから暫く翔ちゃんところに
泊めて貰おうかと・・・その相談だったの。」
翔 「マジで?駆け込み寺は全然構わないけど(笑)
これからは家出する前に相談しろよ・・・」
和 「もう、懲りたよ。家出はしません(笑)」
翔 「ま、話せてよかった。とにかく大野さんが心配だったから。」
和 「翔ちゃん、一緒に夕飯食ってかない?」
翔 「いやいや・・・。俺が居ない方が今夜はいいでしょう?
また飯は皆で来た時にご馳走になるよ」
和 「えー、今夜は特製のカレーなんだけどな。」
翔 「あー、なんか特製と聞いただけでそそられるー。
だけど今夜は我慢するわ・・・」
和 「そう?残念だなぁ・・・」
翔 「とにかく、ちゃんと大野さん戻って来たら思い出したって
言ってあげなよ。」
和 「うん・・・」
そして・・・俺が仕事から戻ると
もう翔ちゃんは帰ってしまって居なかった。
部屋の中がカレーの香辛料の匂いで充満してた。
智 「ただいまぁ・・・今夜はカレーかぁ。」
和 「お帰りなさい。」
智 「翔ちゃん、もう帰っちゃったの?」
和 「うん。一緒にカレー食べていってって誘ったんだけど
逃げられちゃった(笑)」
智 「マジか?ニノのカレー抜群に美味いのに。」
和 「先に飯食べる?」
智 「うん、お腹ペコペコだよ」
ニッコリ微笑んだニノは
カレー皿にご飯とカレーをよそいながら
和 「俺さ・・・思い出したから・・・」
って俯きながらそう呟いた。
つづく