第22章
お揃いへの拘り①
ニノの事故で負ってしまった傷も
時間と共に徐々に回復して
仕事にも復帰できるまでになった。
俺達はというと
今回の事でまた更に愛情が深まった気がする。
俺は、仕事やニノの事があって
翔ちゃんの誕生日のプレゼントの事を
すっかり忘れていた・・・。
智 「やばい・・・もうどんだけ遅れちゃったんだ?」
和 「何?どうしたの?」
智 「翔ちゃんに、俺誕生日のお返ししてないんだ。」
和 「マジで?今からでもちゃんと贈ってあげなよ。
翔ちゃんには俺達いつもお世話になりっ放しなんだから。」
智 「だよな・・・」
和 「あなた明日休みだよね?
俺も明日は早く終わると思うから
なんなら一緒に買いに行きましょうか?」
智 「マジで?そうしてくれる?」
和 「近くのアウトレットとかでいいよね?」
智 「うん・・・」
俺とニノは翌日約束通り、
家からそう遠くないアウトレットモールへ出掛けた。
とはいえ、何にするかを全然決めてなくて
ニノとぶらぶらとモールの中を歩き回る。
俺とニノはニット帽にマスクって
似たような普段着スタイルで
これって二人で話し合ってるわけじゃないけど
不思議と背格好も似てるから
意識しなくてもペアルックみたいになってしまう。
ふっと足元まで目をやったら
俺達はスタイリストさんに以前プレゼントで貰った
茶色いルームシューズを外履きにしてるから
同じくらいボロボロに履き込んじゃって
そろそろ替え時か・・・。
智 「あ・・・そうだ。」
和 「何?」
智 「翔ちゃんのプレゼント、ルームシューズにするっ。」
和 「ああ・・・いいかもね。」
智 「なあ、ついでに俺達のも買い換えない?」
和 「え?俺はこのシューズ気に入ってるからいいよ。」
智 「駄目っ。お揃いにするの・・・」
俺はニノの手を繋ぐと
こっちって雑貨屋に入って行った。
和 「翔ちゃんにはちょっとお洒落なデザインのにしたら?
あの人、俺達みたいに外履きにはしないと思いますよ。」
智 「だよね・・・。部屋履きなら派手なのでも大丈夫か。」
和 「ちょっと質感がイイやつにしてあげなさいよ。
あ・・・これなんてどう?」
赤ベースに鹿の模様・・・
いかにも翔ちゃんらしくて、二人で顔を見合わせて笑った。
智 「うん。これにする。で?俺らはどれがいい?」
和 「買ってくれるの?」
智 「いいよ。好きなの選べよ・・・」
和 「こんなに有ったら選べないよ。サトシが好きなのにして。」
智 「俺らは外履きにするからなぁ・・・。
そうだ、黒無地がいいね。上の洋服を選ばないから。」
和 「履き心地がよければ私はどれでも構わないです。」
智 「じゃ、黒無地で・・・あ、今のこの靴もさ
目印が無いからよく間違えてお前のを
履いて仕事行っちゃってたんだよな。」
和 「だったら色違いにする?」
智 「いやだ・・・お揃いがいいの!」
和 「頑固だな(笑)それじゃ、このタグ付いてるのと
何も付いてないのとにしたら?」
智 「あ、これなら間違えないね」
早速それに決めて
俺はレジで支払いをして
翔ちゃんのルームシューズだけ
プレゼント用にきちんと包装してもらった。
それから自分達のは
簡易な包装で受け取り、ニノに持たせた。
表のベンチに腰掛けて、ニノが
早速その黒のルームシューズを履いてみせた。
和 「ふふっ・・・これいいよ。茶色より外履きっぽいね」
智 「だろう?」
和 「有難う。なんか翔ちゃんの買いに来たのに悪いね(笑)」
智 「んふふ・・・次はお前の誕生日の時に
新しいサンダル買ってあげるよ。その時は
俺もお揃いのヤツ買うわ・・・」
和 「なんだかんだ言って、あなたも欲しいんじゃないの?」
智 「お揃いじゃないと駄目なの」
和 「何だよ・・・変なところに拘る人だね(笑)」
智 「だって、世間に公表出来ないんなら、せめてお揃いくらい
楽しまないとね・・・。」
お揃いの靴履いていたって言っても
多分、仲イイね・・・くらいしか思われないんだから。
和 「ちょっと、ここで待ってて。直ぐに戻るから・・・」
智 「何だよ?トイレか?」
和 「いいから、ここに居て・・・」
ニノが何かを思い出したように
雑貨屋に走って行った。
数分後に、その店から何かを購入したみたいで
ニヤニヤしながら袋を片手に俺の元に戻って来た。
智 「何?随分嬉しそうじゃん。」
和 「あのねっ、シューズの御礼を買ってきたの。」
智 「ええ?いいのに・・・御礼なんて。」
和 「そうはいかないよ」
智 「なになに?気になるな・・・」
和 「あ・・・ここではちょっと(笑)」
何だろう?
あ、分かった。下着とかか?
多分物凄く恥ずかしい感じの下着とかだな?
和 「さ、帰りましょうか。俺が買ったのは戻ってからの
お楽しみって事で・・・」
凄い気になるけど、まあとりあえず
ニノが喜んでくれたから
俺はそれで満足だ。
つづく