第23章
最優秀主演男優賞の恋人④
翌朝、目が覚めたニノは
俺の事を探してゲストルームを覗きに来る。
ガチャッ・・・
和 「サトシ・・・?」
智 「・・・」
俺は布団の中に潜ってニノの呼びかけを無視する。
和 「ねえ・・・サトシ・・・何でここで寝てんの?」
智 「・・・」
和 「俺さ・・・夕べ何か言ってた?」
智 「・・・覚えてねえのか?」
和 「どうやって帰って来たのかも覚えてなくて」
智 「ふーん・・・」
和 「ねえ・・・俺、何かあなたを怒らせるような事した?」
智 「べつに・・・」
俺はベッドから起き上がると、
ぐしゃぐしゃの寝癖のままリビングに降りた。
俺は朝から仕事だから着替えて顔を洗って
身支度を整える・・・。
ニノがコーヒーを淹れてマグカップを持って
俺に差し出して
和 「俺、何かあなたが気に入らない事したんだね。
ゴメンね。何も覚えてなくて。」
俺は岡田とキスした、その事が頭から離れなくて
智 「お前、酔ったら誰とでもチューするのか?」
和 「えっ?」
智 「お前は人には色々言うけどさ、自分の事は
やりたい放題なんだな・・・。」
和 「どういうこと?」
智 「もういいよ。俺仕事だから・・・」
和 「ね、待って。俺そんな事したって言ったの?」
俺の腕を掴んで泣きそうな顔で
俺を引き止めるニノ。
智 「・・・行ってくるわ。」
ちょっと、言い方キツかったかな?
でも、俺だって気持ちの整理が着かないから仕方ないんだ。
ニノは覚えてないって言ってるし
酔っ払った勢いの事故みたいな出来事を
これ以上責める気も無いけど
せめて、少しは俺の気持ちも分かって欲しかったから
今日1日くらい反省させてもいいかなって
そのくらいの気持ちだったんだ。
俺はCMの撮影で相葉ちゃんと松潤と同じ現場だった。
雅 「リーダー、おはよう。夕べはニノご機嫌だった?」
智 「う・・・うん・・・」
雅 「どうしたの?ご機嫌じゃなかったの?」
智 「夕べさ・・・戻って来たの12時回ってた」
雅 「ああ、もしかして祝賀会かなんかあの後に有ったの?」
智 「岡田と飲みに行ったらしい。」
雅 「へえ・・・真っ直ぐ帰るかと思ってた。」
智 「おいらもだよ。それがもうベロベロに酔っててさ。」
雅 「珍しいね、外であまりそこまで飲まないニノが?」
潤 「かなりのプレッシャーだったんじゃない?
本当にあの賞狙ってたみたいだし・・・」
雅 「ああ、それで一気に気が緩んじゃったのか・・・」
智 「それにしたって・・・」
潤 「まさか、あなたそれでニノに冷たく当たった
とかじゃないですよね?」
智 「いや・・・そのまさか・・・」
潤 「マジで?最悪だな。」
智 「だってニノのヤツ、岡田っちにチューしたとか
言いやがったから・・・」
雅 「えええっ?それホント?」
潤 「泥酔してからの事でしょ?正気だったらしないよ。」
智 「そりゃ分かるけど・・・でも・・・」
潤 「ねえ、大野さん。どうしてあのニノがさ、そこまで
賞を取りたかったか分かる?」
智 「それは・・・自分の演技を認めて欲しいからだろ」
潤 「それだけ?」
智 「違うの?」
潤 「恐らくね。あなたとの同棲認めて貰ってから
仕事に身が入らなくなったとか、人気が落ちたとか
上の人間にそう思われるのが嫌だったんじゃないの?
あなたと暮らすようになって、前よりも状態が良くなったって
上から思われたいから、その為に形になるものが欲しかった
んだと思うけど。そもそもニノは賞なんか本気で欲しがるような
ヤツじゃないよね?違います?」
智 「あ・・・」
潤 「リーダーとの生活を守る為だと思うよ。
だから、絶対にニノは昨日の最優秀賞が欲しかった。
そのプレッシャーったら、多分もの凄かったと思うよ。」
雅 「なるほど・・・ニノらしいよね」
智 「そ・・・そうか・・・」
潤 「その重圧から開放された時に酒なんか飲んでみなよ。
誰だって、そんな風に飲んじゃうと思うけど?」
雅 「嬉しかったし、ホッとしちゃったんだねぇ。分かるなぁ。」
智 「俺・・・酷い言い方しちゃったかも・・・」
潤 「あなたって、本当に馬鹿だよね(笑)」
智 「ねえ・・・どうしたらいい?」
雅 「簡単じゃん、ゴメンねって謝ればいいんだよ(笑)」
潤 「ま・・・今夜もそのままなら気まずいでしょうね(笑)」
智 「ええっ・・・どうしたら許してくれるかな?」
潤 「ニノが好きなもんでも買って帰れば・・・」
智 「ニノは食に拘りがないんだよ。俺と一緒でさ・・・」
雅 「ニノは食べ物なんかでは釣れないよ。」
潤 「そうだ!ロマンチックな所にデートにでも誘ったらどう?」
雅 「さすが、MJだね(笑)」
智 「ええ?例えば?」
潤 「二人の思い出の場所とかないの?あっ・・・あるじゃん!」
智 「何処何処?」
潤 「ってか、何で俺が二人の思い出の場所あなたより知ってるの?」
松潤は腹を抱えて笑った。
つづく