第24章
愛の証①
和 「嫌だ!なんで俺が女装しなきゃなんないんだよ?」
智 「一応さ、形だけだよ。二人でタキシード着てってわけにも
いかないからさ。」
和 「だったらあなたが着ればいいでしょ。」
智 「お前が絶対笑わないって約束するなら、それでもいいよ。」
和 「それじゃ、決まりね(笑)」
智 「なんだよ。もう着る前から笑ってるじゃんか!」
和 「ええ?笑ってないし。」
俺達は来週、二人のオフを利用して
教会で二人きりの結婚式を挙げる事になった。
元々海外旅行で挙げる予定だったけど
二人で貰える予定だった特別な休暇が
先日のニノの事故で帳消しになってしまったから
こればかりはどうしようもない。
それから色々あったから
完全に後回しになってたけど
こんな大事なことを
後回しにしちゃいけないって
メンバーにも言われて
ツアーのリハとかスケジュールも
詰まりに詰まってはいたけれど
なんとか、たった一日だけでも
二人一緒の日に休みが取れたので
その日に松潤が探してくれた教会に予約を入れて貰い
今日はその衣装を決める為に、仕事帰りに二人で
ブライダルウェアの店を訪れていた。
店の店員には
仕事で使用すると誤魔化して
試着させて貰う事にした。
和 「じゃ、俺はタキシードだからサイズさえ合えばOKってことで。」
智 「俺は?」
和 「好きなデザインのを幾つか選ばせて貰ったら?」
智 「俺さぁ、がに股だから絶対こういうの似合わねぇんだって。」
和 「つべこべ言うなよ。さっさと決めて戻ろうぜ。」
智 「はぁ・・・マジで俺が着るのかぁ。」
俺は全然こういうの分かんないから
完全に店員任せで、適当に3着くらい
お勧めのドレスを準備して貰った。
店 「大野さんは細身だからどれもお似合いだと思いますよ。」
智 「そうかぁ?ま、いいや・・・コントだと思えば・・・
着てみていい?」
店 「なんならウィッグもお持ちしましょうか?」
智 「あっ、そうだね。幾らなんでもそのままだと気持ち悪いよな。」
店員が笑いながら女性用のウィッグを持ってきた。
なんだかなぁ・・・。
完全にテンション下がり気味で気が乗らない俺。
ニノがタキシードを着て試着室から出てきた。
うん、コイツは何を着せても似合う。
嵐のコンサート衣装と特に変らない感じだ。
和 「早く試着しろよ・・・」
智 「うるせえなぁ・・・」
俺は渋々フィットルームに入って
その純白ドレスを着てみた。
き、気持ち悪っ・・・。
和 「遅いよ、ねえ?まだぁ?」
アイツ・・・面白がってやがる・・・。
俺は仕方なしに試着室のドアを半分だけ開けた。
その瞬間、ニノと目が合って
ニノは片手で口元を覆って噴出しそうになるのを堪えてる。
智 「なんだよ・・・。笑ってるじゃねえか!」
和 「だって(笑)やっぱり違和感あるんだもん。」
鏡に映る俺を見て
見惚れるというより、噴出すの堪えてるニノ。
店 「いかがですか?サイズは無理な事ないですか?」
和 「サイズは問題ないみたいだけど・・・こう・・・
何ていうかさ、背中とかあんまり開いてないヤツの方が
良くない?(笑)」
智 「どんなの着てもお前は笑うだろ・・・」
和 「だって・・・(笑)」
智 「なあ・・・1回お前も着てみろよ。
絶対お前の方が似合うんだって。」
和 「そりゃ~ね・・・」
智 「ほら、自分でもそう思うだろ?」
和 「もう・・・分かりましたよ。それじゃ着てみるだけだよ。」
ニノは笑いながらドレスを持って試着室に入った。
5分ほどしてニノが試着室から出てくると
店員からキャーッて歓声があがった。
なんだよ・・・俺の時と随分違うじゃねえか。
それもそのはず。
俺も暫く見惚れてしまうほど
めちゃめちゃ可愛いニノのドレス姿。
和 「これ、脇んとこ見えるのマズイな(笑)
デザインはこんな感じで、スリーブ付いてるの有る?」
店 「はい、ございます。今お持ちしますね。」
智 「やっぱり、ニノだよ。お前しか似合わねえよ。」
和 「そう?ま、あなたよりは着こなしてるかな。」
智 「もう、そのまま着て帰れっ!」
和 「はあ?馬鹿じゃないの?」
店 「お待たせしました。こちらですが試着してみます?」
和 「うん」
ニノが着替えてる間に
俺もタキシードを試着し直して
お互い試着が終わって
並んで鏡の前に立つと店員が思わず
店 「お二人とってもお似合いですよ・・・」
って、目をキラキラさせてそう言った。
当たり前じゃん。
俺達を誰だと思ってるの?
二人でグラビアだって何年撮ってきたことか。
だけどさすがにこのウエディングの衣装はなかったなって
お互いの顔を見合わせて俺達は笑った。
結局ずっと嫌がってたニノも
数時間、我慢すればいい事だからって
最後は諦めてドレスを着てくれる事になった。
とにかくその姿は可愛すぎて
俺以外の誰にも見せたくないって思うほどだった。
つづく