第25章
恋人を信じたい④
(sido nino)
そして次の日
やっぱり俺の事が心配なのか?
リーダーは朝からどうもテンションが低いまま。
身体の関係があるからってそれが全てじゃなくて・・・
やっぱり心がちゃんと結ばれてないと
不安は拭いきれないんだなって
俺は思った・・・。
和 「サトシ・・・ごめんね。今夜は食事一緒に出来ないけど。」
智 「あ・・・うん。」
和 「心配しないで、話が終わったら直ぐに帰るから。」
智 「うん・・・」
そんなの気休めの言葉にもなんないだろうと
わかってはいるけど・・・
少しでもリーダーが不安にならないように
俺は俺なりに気を使ってるつもりだった。
そして仕事へ出掛けて
仕事先で夕方頃に山田から俺に電話が入った。
山 「あ、先輩?俺です・・・。今日良かったら俺の家に来ませんか?」
和 「え?何で?外で飯じゃなかったっけ?」
山 「ちょっと今日仕事早く終わったんで、
先輩の好きなハンバーグ作ってみたんですよ。
他にも色々と・・・」
和 「へえ・・・」
それは・・・幾らなんでもマズイかな。
山田はただの後輩の一人とは言え、
自宅で1対1ってのは流石にな。
でもせっかく作ってくれたのに頭ごなしに断れないよな。
和 「あまりゆっくりは出来ないけど・・・分かった。
俺もう直ぐ終わるから、もうちょっとだけ待っててくれる?」
山 「終わったらまた連絡下さい。俺、迎えに行きますよ。」
和 「え?あ・・・うん。」
何なの?アイツ・・・
随分声が弾んでたな。
まるで恋人にでも約束してる女の子みたいだ。
これって・・・まさかだよね?
嵐の中でも女子力だけが高い俺の事なんか
そういう視点で後輩達は見ていない筈だもの。
そうだよ。俺にはだいいち、リーダーが居るし。
ちょっと俺も考え過ぎだよな。
それから、仕事を終わらせて山田に電話すると
もう、既に現場の駐車場まで来てるらしくって
ちょっと俺は引いてしまった。
待ちきれなかったとか?
なんだよ、もう~・・・。
とにかく自分のペースを崩されないようにしないと。
山 「あ、先輩・・・お疲れ様です」
和 「え?何、待っててくれたの?」
山 「さっき着いたところですよ。それじゃ、行きましょうか?」
和 「あ、うん・・・」
山田の車でマンションに向かう。
和 「で?話って?」
山 「あ、後で話しますよ。」
今じゃ駄目なのかよ?
山 「話もだけど、ちょっとギターとか教えて欲しくて。」
和 「へえ・・・ギターやるの?」
山 「後々やりたいなって・・・先輩の事見てたら・・・」
和 「ふうん・・・でも俺は我流だよ。」
山 「それであれだけ弾けるとか凄いですよね」
そんな話とかしていたら
車は山田のマンションに到着した。
山 「あ、ここです・・・狭いけどビックリしないで下さいよ。」
和 「俺んちより立派だよ(笑)それじゃ、お邪魔します。」
部屋に上がると・・・
テーブルの上に凄いご馳走が並んでた。
和 「うわっ・・・これ、お前が作ったの?」
山 「下手糞ですけどね(笑)」
和 「ビジュアルも良い、ルックスも良い、料理も出来る、
芝居もできる・・・涼介って何でも出来るじゃん。
凄いな・・・」
山 「そんなこと・・・先輩こそ凄いじゃないですか・・・」
和 「俺はなんも凄くなんかないよ」
山 「俺は先輩みたいにトークとかうまく出来ないし。」
和 「今からじゃない?若いしさ・・・」
山 「あ・・・ビールでいいですか?」
和 「うん、ありがと・・・」
山 「それじゃ、今日はようこそ・・・かんぱ~い」
俺は山田と二人で乾杯した。
山 「沢山食べて下さい。残しても仕方ないんで」
和 「それじゃ、遠慮なく頂きます・・・あっ、旨い。」
山 「本当ですか?良かったぁ・・・」
和 「でさ・・・俺に話って?」
山 「ああ、実は・・・相談なんですけど・・・」
和 「うん、何?」
山 「俺、実は付き合ってる子が居たんですよね。」
和 「ええっ?女の子?誰?芸能人?」
山 「一般の・・・人です・・・」
なんだ・・・そうか・・・恋愛相談だったのか。
俺は正直ホッとした・・・。
だって、もしかすると告られるんじゃないかって
少なからず思ったりしちゃってたから・・・
和 「だけど、この仕事してたらそれはマズイでしょ?」
山 「実は、ある週刊誌にマークされてしまって。
今はもうその子とは逢っていないんです。」
和 「そうなんだ。別れたの?」
山 「ええ・・・上の人から凄い叱られたんで・・・」
和 「まだ若いしさ、これからだもんなぁ。」
山 「それで・・・二宮先輩に協力して貰いたい事が・・・」
和 「え?俺に?」
山 「これ・・見てもらえます?」
俺が山田に手渡されたメモ・・・。
そこには信じられない計画が
こと細かに記されていた。
つづく