第27章
恋人の秘密①
ニノが週刊誌にわざとスクープさせた
山田君との密会画像はたちまち世間を騒然とさせた。
ニノは平気だとか言ってたけど
俺が傍で見てる限り
あれから、なんとなく様子がおかしい。
俺はニノの事は全面的に信じてた。
ニノに限って俺以外の男に心変わりするとは思えない。
そりゃ、俺ももうそんなに若くないし
若い子らと比べると
体力もビジュアルも劣ってくるのは
どうしようもないことだ。
だけど、俺らには二人で築いてきた歴史がある。
こういう関係になったのは最近だけど
俺達は知り合って、もう20年近くも経つんだ。
それを平成生まれだか何だか知んないけど
途中で割り込んできて
俺達の関係を掻き乱そうなんて
10年・・・いや20年おせえんだよ。
とか、頭の中では偉そうに言ってるけど
現実はというと、俺はいつかニノが俺以外の誰かに
連れ去られちゃうんじゃないかって
常に不安と背中合わせなんだ。
だって、ニノは俺と違って昔から本当に何も変らない。
見た目も中身も、全然年を取らない。
この前映画で共演してた大物女優が
ニノの事を『フェアリー』と至る所で発言してたけど
ホント、そうなんだよな。
ニノは妖精みたいな雰囲気がある。
そうかと思うと小悪魔にもなる。
こんな魅力的なヤツ、他に俺は知らない。
勿論それは惚れてるから
全てが愛おしいんだろうけど。
仕事の現場で差し入れに貰ったって
イチゴのエクレアを大きい口開けて頬張るニノ。
クリームを口の端に付けて
舌先でペロリと舐める仕草をエロい目で見る俺。
和 「何見てんだよ?(笑)あなた食べるって聞いたら
いらないって言ったでしょ?
欲しいなら欲しいって言えばいいのに・・・」
智 「うん・・・欲しいっ」
和 「もう、遅いですよ。全部食っちゃったもの(笑)」
智 「違う!カズが欲しいのっ」
和 「エクレア食べてる俺を見て欲情するって何なの(笑)」
智 「だってお前の食べ方、いちいちエロいんだもん。」
和 「知らないよ(笑)普通に食べてただけじゃん。」
智 「いいから・・・早くくれよ・・・」
和 「だから、もう有りませんってば(笑)」
智 「エクレアじゃねえし・・・」
俺はニノの腕を引っ張って
よろける身体を受け止めて
笑いを堪えてるニノの唇に自分の唇を重ねた。
和 「んんっ!んんっ・・・」
ニノの口の中はまだエクレアの甘味が残ってる。
智 「んっ・・・美味しい・・・」
和 「そんなに食べたかったの?今度リーダーの分も
貰ってきてあげるよ(笑)」
智 「だからエクレアじゃねえし・・・」
和 「んっ・・・最近多くない?」
智 「何が?」
和 「求めるの(笑)」
智 「え?やなの・・・?」
和 「嫌じゃないけど・・・なんか・・・」
智 「なに?」
和 「いいや・・・何でもないよ。」
智 「気になるだろが・・・言えよ!」
和 「え?・・・なんかさぁ、続けて迫る時って・・・
あれですよね?俺に何か不安を抱えてるでしょ?」
俺の目を上目遣いに覗き込む。
さすがに、俺をよく観察してる。
間違っちゃいないけど・・・
智 「残念でした。お前がイチイチエロい食べ方して
誘うから・・・それだけだよ・・・悪い?」
和 「べつに俺は誘ってなんか・・・」
智 「いいから、早く行こう・・・」
和 「待ってよ。歯磨きしてくるから。先に上がってて。」
智 「うん、さっさと来いよ・・・」
ニノが洗面所に歯磨きに行った。
俺も先に上がって待ってようとソファーから
立ち上がった時、ニノのスマホに着信が入った。
テーブルに置かれたスマホ。
誰だよ?こんな時間に・・・
俺はついチラッとその画面を覗き込んだ。
着信の相手は山田涼介・・・
もう、あの一件は全て終了したんじゃやなかったのか?
まだそれともニノに関わろうとしてるの?
俺はその場で固まってしまう。
和 「あれっ・・・今電話鳴ってなかった?」
智 「え・・・あ、ああ・・・」
和 「もう~誰だよぉ?こんな時間に・・・」
スマホを握ってタップして着信の相手を確認するニノ。
その瞬間・・・彼の顔色が明らかに変った。
智 「誰?」
俺は分かってるけどワザと聞いてみる。
和 「え?あ・・・相葉さんだよ。何だろうね?」
智 「ふーん。掛け直さないの?」
和 「ど、どうせ大した用事じゃないよ。
長くなるから明日の朝でいいでしょ。
さ・・・2階行きましょう。」
もう、ショック過ぎて言葉を失う俺・・・
ニノが俺に・・・嘘を付いた。
つづく