第27章
恋人の秘密②
(side nino)
マズイな・・・
どうして電話なんか掛けるんだよ?
俺のスマホ・・・
着信入った時、リーダーは画面で相手の名前を
確認したかも。
そりゃ、知らん顔するよな。
幾ら好きな人だからって、携帯とか普通は見ない。
でも、たまたま俺が席を外してたから
実際のところはどうか分からないけど。
多分、逆ならば、俺だったら見ちゃうもの。
だとしたらさ・・・
俺は咄嗟の事だったから
リーダーに嘘を付いてしまったわけで
相葉さんなわけが無いのに。
どうしよう。
このまま知らん顔出来るのかな?
2階に上がって来たはいいけど・・・
俺はめっちゃ気まずいんだけど。
だけど、考えてみれば
俺は何も悪いことしてないんだ。
アイツが一方的に電話とかしてくるんだもん。
べつに隠れて付き合ってるとかそういうんじゃないし。
俺が焦る必要なんて何処にもないんだけど。
それでもさ・・・
俺、アイツから告白みたいなことされちゃったわけだし
やっぱり、俺は悪くないと思いながらも
リーダーに対してはなんか申し訳ないような
後ろめたさが有るのも事実。
とても複雑な心境だった。
リーダーはとっくにベッドに横になってる。
俺も部屋の電気を消して
服を脱いで下着一枚でベッドの中に潜り込んだ。
ここは、やっぱり普通にする方がいいのかな?
だけど・・・
リーダーは上を向いたまま俺の方を見ない。
もしかして、やっぱり
電話の相手が涼介だって知ってる?
知ってたって絶対言わないか・・・
和 「ね・・・しないの?」
俺は心配になって
リーダーの肩に顎を乗せて
耳元で囁くように誘ってみる・・・。
智 「えっ・・・」
心ここに在らず?何か考え事してた?
リーダーは俺の声にハッとなって
俺の顔をようやく見た。
智 「うん・・・やっぱ今夜はいいかな・・・」
間違いない。
俺の付いた嘘は確実にバレてる。
だけど・・・
今、ここで言い訳とか聞いてくれる気がしなくて
俺は正直に自分から電話の相手が山田だって
打ち明けることが出来なくて
そのまま、何も無かったように
嘘を付き通してしまったんだ。
何でこんな事になっちゃったんだろう?
やっぱり俺が偽装でもキスとかしたのが
良くなかったのかな・・・。
でも、あれはあくまでも俺の中では仕事だし
まさか涼介が俺のことを本気になるなんて
思ってもみなかったもの。
そんな事より・・・
何時までも逃げてても
また今日みたいに不意に電話とか掛けられたんじゃ
リーダーの俺に対する不信感が
どんどん大きなものになっていくのは目に見えてるよ。
何処かのタイミングで
なんとか涼介を振り切らないと。
リーダー・・・
俺はあなたの事がこんなにも好きなのに。
1人俺を慕ってくる後輩が居るってだけで
夜の営みすら拒否されちゃうのかよ。
なんかそれを思うと悔しくて切なくて・・・
俺はまた寝付けずに
リーダーの手を探して捕まえて指を絡めて
ギュッと繋いだら・・・
リーダーも同じように寝付けずにいたのか
その手を力強く握り返して
俺の方に寝返りを打って
俺のおでこに自分のおでこをくっ付けて
暫く俺の目をじっと見つめて
そっと唇を重ねた。
リーダー・・・・好き・・・・
だけどその唇は直ぐに離れて
俺は力強く抱き締められた。
結局そのまま・・・何もしないで
ただ、お互いきつく抱き締め合った。
暖かい胸の中で、俺は・・・少しだけホッとする。
リーダーに抱き締められてるだけで
信じてるって心の叫びが聞こえてくるみたい。
こんなこといったい・・・いつまで続くんだろう。
秘密なんて俺には必要ないのに。
つづく