第27章
恋人の秘密③
ニノが俺に嘘を付いた。
電話の相手は間違いなく相葉ちゃんではなくて
山ちゃんだった・・・。
山ちゃんはやっぱりニノの事が好きなの?
ニノは恐らく俺に心配掛けさせたくないと思って
嘘を付いたんじゃないかとは思うけど。
だけど、やっぱり幾らなんでも・・・
ニノが電気を消して
ベッドに入ってきた。
俺はニノから耳元で「しないの?」って囁かれるまで
ボーっと天井を見て考え事をしてた。
さすがにニノには悪いが
この状況で抱くことは出来ない。
「ゴメン・・・やっぱ今日はいいや・・・」
だなんて・・・ニノからするとショックだろうな。
だけど、どう頑張ってもそんな気分じゃなかった。
俺って本当に小さい人間だ。
そりゃ俺だってニノを信じたい。
だけど、嘘を付かれちゃった事は
かなり俺は引き摺りそう。
もしかしたら・・・
俺に隠れて山ちゃんと逢ったりするんじゃないか?とか
頭の中は悪い方向にどんどん傾いていくんだ。
俺がニノを抱けないのは
決して嫌いになったとかじゃない。
身体の繋がりだけをニノに求めてない証拠だよ。
ニノは諦めたのか?
それとも何かを考えてるのか?仰向けに寝て
何も言わなくなった・・・。
ゴメンな・・・ニノ・・・
俺、自分に全然自信が無いんだ。
そんな事考えてたら
ニノの左手が俺の右手をゴソゴソと探して
ギュッと捕まえて指を絡ませた。
眠れないのか?
それはそうだよな・・・。
俺だって眠れないもの。
俺もその手に力を込めて握り返した。
ふんわりと柔らかなニノの手を握り締めると
なんだか愛おしさが溢れて
堪らず俺はニノを引き寄せて胸の中に抱き締めた。
そしておでこをくっ付けて
じっとその瞳を見つめて
好きっていう代わりにそっと彼に口づけた。
そしてまた彼を胸の中にギュッと抱くと
ニノの両腕が俺の背中に回った。
俺はニノを包み込むみたいに優しく抱いて
暖かい体温を感じながら眠りに付いた。
そして・・・
俺が心配していたこと。
山ちゃんの積極的な行動がこの後どんどん俺達を
不安定なものにしていく事になろうとは。
数日後、たまたま俺は仕事で来てたテレビ局の廊下で
JUMPのメンバー数人と出くわしてしまったんだ。
伊 「あ、大野さんお久し振りです。また飲みに連れてって下さいよ。」
高 「先輩、お疲れ様です・・・」
智 「おおっ、何?今日何か収録?」
伊 「ハイ、今からスタジオ入りで・・・」
山 「あ、大野さん?」
げっ・・・山田・・・
山 「ゴメン、皆ちょっと先に行ってて・・・」
な・・・何なんだ?
山 「先輩、すみません。ちょっと俺先輩に
相談したい事が有るんですけど、
いつかお時間有りませんか?」
智 「えっ・・・何?おいらに相談って・・・
その、もしかして・・・ニノのこと?」
山 「あ、俺と二宮先輩の事はご存知ですよね?」
智 「週刊誌・・・?」
山 「ええ・・・」
智 「そりゃ、おいらでなくても知ってるだろ・・・」
山 「その事って訳じゃないんですが・・・
どうしても大野さんに聞いてもらいたい事が有るんです。」
ヤバイな・・・。
でも、山ちゃんの本心を探り出すのには
話を聞いてみるのも手だな。
智 「うん、いいよ。俺なんかで良ければ」
山 「ああ、有難うございます。
それじゃ、何時がイイですか?
先輩の都合に合わせますよ。いつ頃だと空いてますか?」
智 「そんなに時間必要なの?」
山 「あ、いえ・・・1時間とか、何なら30分とかでも。」
智 「それなら、おいら明日とか早く終わるから、明日がいいな。」
山 「本当ですか?それじゃ、俺も仕事終わり次第また連絡しますね。」
俺はこうして山ちゃんと二人で話す約束をした。
ただ・・・
俺が心配なのは、山ちゃんがニノの事好きだから
俺に協力して欲しい、なんてことを言われた場合、
一体なんて返せばいいのか?
だって十分にそれは考えられるもの。
俺とニノの関係は
メンバー以外には明かせない事になってるから
何かニノを諦めさせる方法を考えないとって
俺はずっとその事を考えてた。
とにかく、山ちゃんのニノへの想いが
これ以上熱くなる前に何とか手を打たないとな・・・
つづく