君への想いを,  映画の仕事,  第28章

映画の仕事②

第28章

映画の仕事②

 

 

 

そして、自分たちの意思で仕事を選ぶことの
出来ない俺達は、とりあえず言い渡された仕事を
前向きに捉えて受け入れるしかなかった。
暫くすると俺達の手元に映画の台本が届けられ
それぞれにその台本を開けてザッとそれに目を通した。

和 「はら・・・やっぱり。」

智 「えっ・・・」

和 「どこもかしこもラブシーンだらけじゃん」

智 「あー、そういわれりゃ・・・そうだな。」

和 「平気なの?」

智 「何で?いいじゃん。他のヤツとやるよりマシだろ?」

和 「そりゃそうだけど・・・」

智 「なるほど。おいらがニノに惚れる設定か・・・」

和 「あのさ・・・相談なんだけど。」

智 「相談?何?」

和 「撮影の間はリアルでお互いにそういう事するの止めない?」

智 「ええっ?そ、そういうことって?」

和 「役に影響しないように、そうした方が良いと思うんだよ。」

智 「な、何でだよ?やだっ・・・。絶対やだかんな!」

和 「芝居とリアルの境界線が無いと、俺は無理です。」

智 「そんなぁ・・・」

和 「このスケジュールからすると、撮影は2ヶ月半位だし・・・」

智 「2ヶ月半もやらしてくんないの?やだよ・・・」

和 「ていうか・・・この話、結構重いな。」

そう・・・その内容ってのは、
ニノには結婚を約束した彼女が居る設定。
俺は職場の先輩で、ニノの事を好きになり
猛アタック仕掛けてくうちにニノも俺に恋心を抱くようになる。
俺と彼女の間で揺れ動くニノが最後には俺を選んで
二人で逃亡するのだけど、俺はその後重い病に掛かり
死の宣告をされるという、悲しい結末のラブストーリー。

ここは演技力を試される感じだから
当然またニノに主演男優賞を狙わせるって目論み?
ザッと読んでみても、ニノが言う通り
そのラブシーンやベッドシーンの多さにはビックリだ。
事務所のお偉い方、何を考えてやがるんだ。
これ見て良くOK出したもんだ。

しかも、芝居の仕事には一切手を抜かないという
ニノの仕事へのスタンスというか強い拘り。
撮影が終わるまでガチで夜の生活を
お預けにするとか言い出す始末。

だったら、俺はこの仕事降りたい。
何も俺じゃなくたってって思うけど・・・
これ断ってもし俺の役が他のヤツに回ったら
それはそれで正直心配だ。
だってこれだけのラブシーン・・・
黙って2ヵ月半なんて耐えられる自信もない。

2ヵ月半お預けされるのがいいのか?
芝居といっても2ヵ月半も他のヤツとのラブシーンを
指を咥えて見てる方がいいのか?
俺にとっては究極の二択を迫られてる気分。

智 「ニノはおいらと2ヵ月半出来なくても耐えられるのか?」

和 「うん・・・」

智 「なんかショックだぞ・・・」

和 「たった2ヶ月半でしょ?仕事だからって思えば大丈夫でしょ。」

智 「そういう問題なのか?」

和 「何も別れるとか言ってないし。それに俺達は今はこんなに
   一緒に居るけど、こうなる前はずっと別々で生活してきた
   わけじゃない。それを考えればまだ我慢の範囲内だよ。」

智 「お前はやっぱ、そこはプロだよなぁ。」

和 「あなたは無理だろうね(笑)なんなら降ります?」

智 「やだっ。」

和 「だって無理でしょ?我慢出来ないでしょ?」

智 「我慢するっ。してみせる!」

和 「俺とお芝居でキス出来ます?」

智 「出来る・・・と思う。」

和 「じゃ、今からやってみせてよ?ハイ、スタート!」

ニノがニヤッと笑いながら
俺の首の後ろに手を回した。
ゆっくりその顔が近付いて
俺の唇のスレスレに自分の唇を近寄せる。

うっ・・・
やってみせろと言われても・・・
そんなのカメラも回ってないのに
なんて意地悪なんだよ。

俺はいつも通りにニノに口付けた。
そう・・・いつも通り。
そして、ニノだっていつも通り。

だけど角度変えて続けようとしたその瞬間
真ん丸の茶色い瞳が俺をじぃっと見つめて
ケラケラと笑い出す。

和 「はははっ・・・。ほらね、出来ないじゃん。」

智 「知るかっ。芝居のキスなんてわかんねえし。」

和 「いい?こうするんだよ・・・覚えといてね?」

そう言いながら、憎たらしいくらい
可愛くニッコリと微笑みながら
俺にいつも以上に濃厚なキスをする。

え・・・これならおいらにも出来るぞ?
何時もより濃厚にすりゃいいんだろ?
だけど、全身骨抜きにされて
下半身が超高速で反応する俺。

実際演技だと、これは確かにヤバイ・・・

やっぱり俺には無理だわ。

つづく

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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