第29章
100年先も愛を誓うよ②
その日はお互い別々の仕事で
ニノは午後から予定が入ってなくて
久し振りオフとか言って
テンション上がってたんだけど
1本の電話で一気にそのテンションは下がってしまった。
和 「あ、もしもし?俺だけど・・・何?
どうしたの?珍しいじゃん・・・。
ええ?今日?・・・うん・・・はいはい、
分かった。それじゃ後でね・・・」
智 「どうしたの?」
和 「もお~っ、せっかく久々オフだったのになぁ。
一日中ゲームし放題だと思ってたのに、
何なんだよぉー。」
智 「誰から?」
和 「・・・気になります?」
そう言って俺の座ってる膝の上に乗ってきて
両腕を俺の首の後ろに回して
真正面から俺の目を見るんだけど
思いっきりその顔が近い・・・
くっきり二重の切れ長の瞳が
朝っぱらから俺のことを誘う。
そこまでされちゃうと
俺も拒否する理由なんて無いから
智 「気になる・・・」
って言って、唇を重ねた。
ニノの細い腰を抱いて
更に濃厚なキスを迫ろうとしたら・・・
和 「あのね・・・和子が来るの。」
智 「はっ?和子・・・?」
和 「そう。あなたも知ってる人・・・」
智 「え?今日ここに来るの?」
和 「うん、そう・・・」
そう言ってもう一度唇を重ねようとするニノ。
俺は両肩捕まえてから
智 「ん、待てよ。和子って女だよな?」
和 「一応(笑)」
智 「あっ・・・それって母ちゃんか?」
和 「ピンポーン、正解です。ハイ、ご褒美(笑)」
そう言って唇を尖らせる。
ふざけてるけど・・・
ニノの母ちゃんが、一体何の用だろう?
うちの母ちゃんはたまに顔出すんだけど
ニノの母ちゃんには、ここで一緒に暮らすようになってから
一度電話で話をしただけで、俺は一度も逢ってなかった。
昔、ツアーのときに
楽屋に梅干持って来てくれたりしてたから
色々喋ったことは有るんだけど・・・
よくよく考えると
俺、ニノの母ちゃんにキチンと挨拶もしてなかったな。
智 「ね、何で急に?」
和 「分かんないよ。直接話すとか言ってるしさぁ。」
智 「ニノ、実家にこの頃全然帰ってなかったよね?」
和 「うん、もうどれくらい帰ってないかな?あなたとここで
生活するようになってから、殆ど帰ってない気がする。」
智 「怒られるんじゃない?」
和 「33才にもなって親から怒られるって何なのよ(笑)」
智 「ちゃんと挨拶に行っとけば良かったな・・・」
和 「ええ?和也さんを俺に下さいって?(笑)」
智 「そう・・・」
和 「いいよ。うちはそういうの気にしない人だから。」
智 「そうは言ってもだな・・・」
和 「それなら、あなたも夕方には仕事終わるんでしょ?
真っ直ぐ帰って来て一緒に飯でも行く?」
智 「あっ、それがいいよな。よし、頑張って
俺もなるべく早く戻るよ・・・」
和 「うん、待ってるから・・・」
智 「ハイ、それじゃご褒美の続きは?」
和 「ダメダメ(笑)ほら、マネージャー迎えに来たっ。」
智 「マジかぁ・・・くそぉ・・・なんか中途半端だな。」
和 「あはははっ・・・ほら、早く行きますよ。」
俺はニノに引っ張られて迎えの車に向かった。
そしてそれぞれの現場へと送ってもらって
俺は仕事に入った。
ニノの母ちゃんが何の用事で来るのか
やっぱりなんだか凄く気になって
昼過ぎに一度ニノに連絡を入れてみた。
智 「母ちゃん来たか?」
和 「ええ?まだだよ・・・夕方4時頃来るんだって。」
智 「そうか・・・何だろうな?話って。」
和 「どうせ大した用事じゃないよ。そんなことより
ちゃんと仕事して早く帰って来てよ。」
智 「おう・・・分かってるよ。んじゃ、またな。」
ニノの母ちゃんだから、
俺達に今更もの申したりしないだろうけど・・・
それでも何か俺に対して
言いたいこと有ったりしてって
ちょっと心配になってきた。
やっぱりニノはニ宮家の大事な長男だし。
幾ら形だけの結婚式だったとはいえ・・・
忙しさで色んな事有って
挨拶もろくにしてなかったのは
流石に失敗だったなって
俺は今頃になってすげー後悔してた。
つづく