第三章
怖がらずに①
俺は今夜もうちに泊まると言い出したニノに
自分の想いを伝えなくてはと心に決めた。
それは、夕べといい今朝といい
俺にニノの方からキスしてきた事を考えると
少なくとも想いを打ち明けたとして
嫌われたり、引かれたりはまず無いんじゃないかと
思えるっていうのと
どうしても、このチャンス逃したら
もう次は二度と無いんじゃないかって
そんな不安が自分の頭の中を過ぎったからかもしれない。
ニノはジュニアの頃から俺を慕ってくれてて
気が付けばいつも俺の隣に居てくれた。
嵐というグループを結成してからも
俺にとってのニノの存在は弟みたいに可愛くて
過剰なスキンシップは当たり前になっていて
カメラの前では特にそれはエスカレートしていき
面白がって皆の前でキスしたり、お尻や胸触ったりして周りは勿論呆れてたけど・・・
とにかく途中からそれをしなくなると
なんか寂しいというか、落ち着かないというか。
それが『好き』という感情に変ったのは
自分でも何時からかは覚えていないんだけど
他のヤツとイチャイチャして楽しそうなニノを観ると
どうしても嫉妬してしまう自分に気付いてしまったんだ。
これは間違いなく俺がニノを好きな証拠。
俺は今まで何回か好きだとアピールした事あるんだけど
いつも冗談みたいな感じで終わってしまい
恐らくニノから観ても、俺が本気なのかふざけてるのか
判断しにくかったのかもしれない。
それは俺にも言えることだから・・・。
でもそんな事ずっとやってたら
俺たちも随分いい大人になっちゃって
いい加減、今更カメラの前で
ふざけてイチャイチャとかもしてられなくなった。
だから、本気なんだって事は
もう、お互いちゃんと伝えなきゃならない。
おちょくったり、悪ふざけからは卒業しないといけないんだ。
それが、仮に・・・
これまで大切にしてきた二人の関係に終止符を打つ事になっても。
ちょっと大袈裟かもしれないけど
俺にとっては人生の一つの分岐点になるって言っても過言ではなかった。
二人の関係を前に進める為の
大切な決断の時なんだ・・・。
智 「ニノ、ちょっと座ってくれるか。」
風呂から出たニノにソファーに座るように促す。
ニノはいつもと変わりなくソファーに座る。
俺はフーッと軽く深呼吸をして本題に入る。
和 「俺に話って?」
智 「うん。それより今夜はもう飲まないよな?」
和 「はい、わたしはそのつもりですけど(笑)」
智 「俺も今夜は1滴も飲んでないから、お互い素面って事で。
今から言う事、ふざけないで真面目に聞いてくれる?」
和 「ええ?もぉ、何?怖い、怖いよぉー」
智 「俺、昨日も話したけどさ、昨日はニノ酔ってじゃん。」
和 「え・・・あ、まぁ・・・」
智 「俺さ、お前のこと好きなんだ」
和 「うん///だから、それは知ってますよ」
智 「真面目に言ってるんだ。」
和 「うん、分かってますよ。」
智 「好きって、どういう事か分かってる?」
和 「あのさ、私もバカじゃないんで、分かりますってば。」
智 「それなら、ニノは?ニノは俺の事どう思ってる?」
和 「俺はだから昨日答えましたよね・・・。」
智 「え?答えてないだろう。」
和 「俺は俺なりに頑張りましたけど、大野さんが拒否したんじゃない。」
あ、俺にキスした事を言ってるのか・・・。
あれは返事だったの?
智 「でも、あの時凄い飲んでたじゃん。」
和 「それは否定しませんけど・・・」
智 「そうだろう?酔った勢いだったんでしょ?」
和 「うん、だからね・・・言ったじゃない(笑)」
智 「えっ?」
和 「飲まい時ならいいんでしょう?って・・・」
智 「あっ・・・」
和 「だから、今夜は最初から飲まないつもりで
泊めて貰ってるんですけど。」
智 「そ、そうなの?」
和 「あなたって、どこまでバカなんですか?」
そうか・・・それで朝から俺が覚えてないと思って
機嫌悪かったのか・・・。
ホント、俺ってどこまで馬鹿なんだろう。
でも、今の話を纏めると、
ニノは俺の気持ちにキスで答えてくれたって事なんだから・・・
智 「俺と付き合ってくれるの?」
和 「じゃあ、俺からも聞いていいですか?」
智 「うん、何?」
和 「あなたの俺の事好きっていうのは、仲間として?それとも
恋愛対象として言ってくれてるの?」
智 「ごめん・・・ニノ・・・」
和 「やっぱりな。仕事仲間としてだよね?」
智 「違うよ。言い方を間違えた。」
和 「どういうこと?」
智 「おいら、お前の事好きなんじゃなくてさ・・・」
ニノは不思議そうな顔をして俺を見てる。
そりゃそうだよな。好きとか言ったり、そうじゃないと言ったり。
全くコイツは何が言いたいんだって思って当然だよな。
和 「好きじゃないなら、いったい何なんですか?」
智 「おいらはニノのこと・・・その・・・あ、あ・・・」
和 「あ?」
智 「愛してる///」
つづく