第4章
恋人の憂鬱②
どうしたら忙しいニノに逢う事が出来るんだろう?
俺はずっとそれを考えてた。
ところがある日さすがに俺達の異変に気付いてたマネージャーが、俺が一人の時に
ニノとの事を聞いてきた。
マ 「大野さん?あのぅ・・・最近、二宮さんよく大野さんちに
泊まられてますよね?」
智 「えっ・・・あ、うん。それが?」
マ 「あっいえ、昔からお二人は仲が良いとは思ってましたが・・・」
智 「ほら、この前さ一緒の仕事の時だと送迎一度で済むから助かるとか
言ってたじゃん。だからだよ・・・」
マ 「そうでしたか。私が余計な事を言ったものだから、もしかして
大野さんにご迷惑掛かってるんじゃないかと思って。」
智 「ええっ?そんなことないよ。迷惑だなんて。俺達さ、兄弟以上に仲がいいんだ。
全然迷惑とかじゃないよ』
マ 「はぁ・・・」
智 「それとも何?ニノが俺のうちに泊まるのって何か問題でも有るの?」
マ 「あ、いえ。そういうわけでは・・・」
智 「もうさ、俺達一緒に暮らそうかと思ってんだ。」
マ 「えっ?えええっ?」
智 「ダメかな?」
マ 「え、あ、あの・・・大野さん?」
智 「やっぱダメだよな~うふふっ」
マ 「それは、あの・・・つまりですね、お二人は・・・」
智 「ん、何?」
マ 「ニ宮さんて、本当はどういう関係なんでしょうか?」
智 「おいらの恋人だよ。」
マ 「えええええ?」
智 「そんな驚くこと?」
マ 「あの・・・本当ですか?」
智 「うん。あ、でも事務所には内緒にしてよね。
絶対怒られんだから。」
マ 「はぁ。あの、大野さん?その事はメンバーは皆さんご存知なんですか?」
智 「ううん。まだ誰にも話してないよ。」
マ 「そ、そうですか・・・」
それからマネージャーは黙り込み、
何か考え事しながら運転してた。
やっぱりマネージャーに相談したところで
ニノと一緒には暮らせないよなぁ・・・。
ちょっとだけうたた寝してる間に車は仕事の現場へと到着した。
マ 「あの、大野さん。」
智 「ん?ああ、もう着いたの?」
マ 「私でお力になれる事があれば、何でも言って下さいよ。」
智 「え?あっ、もしかしてニノの事?」
マ 「はい。またこの話はお迎えの時にでも。」
智 「うん。ありがとう、それじゃ、また帰りにね。」
ちょっとまずかったかな?
マネージャー本気にしちゃったみたい。
まぁ、本当の事だから良いけど・・・
でも事務所にバレたりしたら絶対引き離されちゃうよな、俺達。
そんな事になったら俺、ニノからすげー怒られちまう。
それよりも、せっかくうまくいってるのに上にバレたりしたら
2ヶ月どころかずっと逢えなくなっちゃう可能性だって有る。
そんなのは絶対に困るよ。
これはマネージャーにちゃんともう一度
口止めしておく必要があるな。
そして俺はその日の仕事を終わらせて
再び迎えの車に乗り込んだ。
智 「お疲れ~。あのさ、今朝の話だけど・・・」
ワゴン車のスライドドアが開いた時
俺の視界に飛び込んだのは
見たことあるとびきり可愛いアイドルスマイルのニノだった。
智 「え?あれれ?どうしてニノがここに?」
和 「わざわざ俺まで迎えに来てくれたの。」
智 「ええ?でも明日レギュラー収録の日じゃないよな?」
和 「あなたはホントお気楽な人だね(笑)」
智 「えっ、何?どういう事?」
マ 「大野さん、明日の午前中はニ宮さんとお二人で雑誌の取材ですよ。」
智 「あっ・・・そうか。忘れてたわ(笑)」
和 「ダメだよ、自分の仕事なんだから。マネージャー任せじゃ。」
智 「そっか・・・だけど今日は逢えないって思ってたから
ラッキーな気分だな。」
和 「ちょっと、何恥ずかしいこと平気で言っちゃってるのさ///」
智 「だって本当の事だもんよ。」
マ 「二宮さん、お二人の事はお聞きしてますから、大丈夫ですよ(笑)」
和 「えっ?そうなの?」
智 「あっ・・・その事だけど、絶対上には内緒にしてよね。」
マ 「勿論、分かってます。」
和 「ちょっと・・・どうして話しちゃったの?」
ニノが小声で俺に聞いた。
智 「話したっていうか、もうバレてたのと同じだよ。」
和 「だけど、幾らなんでもマズイでしょ。」
智 「上にばれなきゃ平気だってば。」
マ 「お二人はグループ内でも特に仲がいいのは有名ですから
今まで通りになさってても問題無いと思いますけど
お互いの家を行き来なさってるのを週刊誌とかにスクープされたり
なさっては、さすがに事務所も黙ってないと思いますから。」
智 「メンバー同士仲いいねってそれだけで納まる話じゃないの?それとも二人で逢うの我慢しろってこと?」
マ 「いえいえ。だから、自分に出来る事はご協力しますので
遠慮なく言ってくれって事です』
智 「マジか。そりゃ色々と助かるよ。なっ、ニノ?」
ニノは俺の上機嫌とは正反対に
ハァッと深い溜息をついた。
つづく