第6章
次のステップへ①
どうやらニノは勘違いしてる。
マネージャーから、確かに事務所と公約を結べば
二人の交際を認めて貰えるかもしれないって
提案は受けたけど、俺が悩んでるのは
先々女性と付き合うことや結婚するという事が
出来ない事に対して躊躇ってるわけじゃない。
勿論うまくいけば事務所に認めて貰えるというのはあるけど
逆にそこまで話しても聞き入れて貰えなかった場合、
俺達は引き離されてしまう可能性だって考えられるってこと。
だったら、このままこっそり逢える時だけ
逢ってる方が良くないかなって・・・
だけど、忙しくなる事で
そのたまに逢う事もままならなくなるという現実を
考えた時に、俺もどう結論を出していいものか?
それを悩んでいるってのに・・・。
和 「ね、俺のこと本気で好きなの?」
智 「当たり前なこと聞くなよ。」
和 「それじゃ、なんで即答しないのさ?
ため息付くほど困ること?」
智 「だから、おいら結婚とか彼女とか、そんなもん要らねえし!」
和 「嘘!?そこが引っ掛かってんだろ?」
智 「あのさ、おいらはお前がいいんだって。何回言わせるの?」
和 「だったら上に相談してみようよ。」
智 「もしも話しても分かってもらえなかったら?」
和 「そん時は嵐辞めるって二人で言えばいいよ。」
智 「脅迫すんの?」
和 「絶対分かって貰えるよ。向こうもビジネスだもの。」
智 「分かんなかったら、マジで二人とも干されるぞ。」
和 「そんなこと言って、だったらあなた俺のこと我慢出来るの?」
智 「出来ない。」
また唇を近付けてそう言った。
だけど、虚しくそれを押し返された。
和 「駄目っ!上に相談しないってことは、俺の事を
我慢するって言ってるのと同じだろ?だったら
早速これから俺に指1本触れるんじゃないよ。
今後とことん我慢して貰うからね。」
智 「ええええ?マジで言ってるの?」
和 「俺は間違った事言ってませんから。」
なんだよぉ。
ニノだって溜まってるくせに・・・。
くそぉ。
こんなの有りかよ・・・。
マネージャーのヤツ、余計な提案してくれたもんだ。
まぁ、いいよ。
多分ニノの方が我慢出来なくなるんだから。
智 「分かった。もういいよ。それより腹減ったわ。
弁当食べようぜ・・・。」
ニノが呆れた顔してさっきマネージャーが買ってきてくれた弁当を持って来た。
和 「俺が折れるの待ってても無駄ですよっ。」
智 「なんだよ、それ・・・」
和 「あなたが考えてる事なんてみえみえなんですよ。」
智 「もう、やめようよ。折角来てるのに。」
和 「俺、先に風呂入るから・・・」
むう~っ・・・。
なんでこんな事で俺達喧嘩みたいになってんだ?
絶対可笑しいだろ?
俺は仕方なく一人で弁当を食べた。
暫くしてニノが風呂から出てきたんだけど・・・
智 「おいっ、頼むから服着てくれっ!」
わざとだな?
タオル1枚だけ纏っての
セミヌードで俺の目の前に立つ。
俺は観ないようにニノから目を逸らした。
和 「どうしたの?(笑)いいでしょ。ここは私の家ですから。」
智 「汚ねえぞっ!」
和 「汚くはないよ。綺麗に隅々まで洗いましたから(笑)」
人の事おちょくりやがって・・・。
誰がその手に乗るものか。
智 「おいらも風呂借りる。」
和 「なんなら背中流してあげようか?(笑)」
智 「いらねえしっ。」
だけど、俺の我慢も限界の一歩手前だ。
今夜折角泊まりに来たっていうのに
ずっとこんなことやってるつもりかよ?
もうこれ以上無理だよな。
不安は不安だけど・・・
それより蛇の生殺しには耐えられそうに無いから
俺は上に二人の関係を認めてもらう為に
事務所に相談する事を心に決めた。
俺は風呂から出ると
ニノを隣に座らせてそっと肩を抱いた。
ニノは俺の考えてる事が分かってるみたいでクスクスと笑う。
和 「やっと負けを認めましたね?」
智 「勝ち負けじゃねえし。おいら、誰がなんと言おうと
ニノが好きだから。もしも事務所が認めなくても
俺はニノと暮らすから・・・」
和 「うん・・・俺も・・・」
自然に重なり合う唇。
本当は我慢なんて出来ないくせに。
ニノが俺の身体を押し倒して
俺の上に覆い被さりながらキスをした。
ちょっとこんな積極的なニノは始めてかも。
そんなに俺の事好きなの?
本当は欲しくて堪らなかったんだよな。
我慢なんかしてさ、ホントどこまでも可愛いヤツ。
素直じゃないんだから・・・。
でもニノのそういうとこが、俺は大好き。
和 「りぃだぁ・・・しよっか・・・」
つづく