第6章
次のステップへ③
ニノの仕事の時間に合わせて
俺も一緒に家を出た。
ニノは今日の事が不安で堪らないのか
俺と出発ギリギリまでくっ付いて離れなかった。
俺はマネージャーに連絡して
そこからそのまま事務所へ向かう事にした。
いよいよ俺たちの事を自分の口で説明しなくてはならない。
多分、決していい顔されないのは分かってる。
昔、コンサートでニノとユニット組んでやってた時
あまりにもそのパフォーマンスがふざけてると
煩く叱られた事が有った。
それはファンの前で抱き締めたり
キスしたり、平気でやってた時だ。
だけど、あれはあくまでもパフォーマンス。
今回はリアルに二人が付き合ってる事を
認めてもらわないといけない。
誠心誠意話せば必ず分かってくれる筈。
マネージャーが先に事務所に到着して
玄関で俺を待ってた。
マ 「大野さん、随分また早く結論出されましたね(笑)」
智 「うん、こういう事って先延ばししたところで一緒じゃない?」
マ 「おっしゃる通りです。とにかく、大まかな話は私から説明します。
大野さんは、幹部からの質問にだけ答えれば結構ですから。」
智 「うん分かったよ。それじゃ宜しくね。」
俺はマネージャーと一緒に事務所の奥の会議室に入った。
中にはまだ誰も居なくて、俺は一番手前の椅子に腰掛けた。
10分くらいして
幹部の一人が現れた。
社長は忙しいから当然いきなり訪ねたところで
会えるわけもない・・・。
この幹部はかなり社長からも信用されてる一人で
社長にずっとくっ付いてる秘書的な存在だ。
俺達が個人的に話をする事ってあんまりないかも。
っていうか、出来ればあんまり世話になりたくない。
智 「あ、お疲れ様です・・・。」
幹 「大野さんは今日お休みでした?」
マ 「はい。今日はオフです。」
幹 「それじゃ、要件を聞きましょうか?」
マ 「それでは私から大まかな内容を・・・」
マネージャーは5分間くらい幹部に俺とニノの事を話した。
そして、話し終わると俺の方を見て
マ 「大野さん、そういったところで間違いないですよね?」
智 「うん。間違いないです。」
幹 「それはいつからですか?」
智 「えっ?」
幹 「いつから二人はそういう関係ですか?」
智 「ああ、まだひと月位かな・・」
幹 「ひと月・・・もう少し様子みませんか?」
智 「何で?」
幹 「付き合ったのはいいけど、やっぱり嫌で別れるパターンも
これまで色々見てきましたしね・・・」
智 「俺達は別れないよ。」
幹 「仮に別れたくなった時、どちらかが必ずグループ辞めたくなる。」
智 「だから、俺達は絶対に別れないよ。」
幹 「そうかな。最初は皆そういうふうに思うんですよ。
その自分で言った言葉が自分の首絞めることになる。」
智 「それでも、俺はニノと一緒に暮らしたい。」
幹 「せめて3ヵ月・・・。
いや、半年様子みても遅くは無いでしょ。」
智 「公約として女と付き合うような事も
結婚もこの先しない。それはニノも同じだよ。」
幹 「あなた方ももう子供ではないんだし、社長も反対はされないと
思いますけど。自分の発言には責任を持って頂きますよ。」
智 「も。、勿論それは分かってるよ。」
幹 「そうですか。それでは、社長に私から説明しておきますから
社長の許可が降りるまでは大人しく待機していて下さい。
正式に許可が出たとしてもお二人の事は公には出来ないですから、
多少の条件は有るとおもいますから覚悟しておいて下さいね。」
智 「はい。宜しく頼みます。」
幹 「あくまでも最終決断は社長ですので・・・。」
話は終わって、俺はマネージャーと事務所を後にした。
マ 「大野さん、良かったですね。」
智 「え?まだ完全に許可が出たわけじゃ・・・」
マ 「大丈夫かと思いますよ。」
智 「ホントにぃ?」
マ 「幹部があんなに前向きに話を聞いてくれるなんて
滅多に無いんですよ。お許しが出たのと同じですよ」
智 「いつ連絡有るかな?」
マ 「明日にでも私を通して連絡入る筈です。」
智 「そうか・・・なんか落ち着かねえなぁ。」
マ 「早くニ宮さんにも連絡して差し上げて下さい。」
智 「そうだな。アイツも心配で仕事どころじゃないかもな。」
マ 「あ、多分今回は公約があるからスムーズに話が進む筈なんで、
正式に許可が出たら、恐らくお二人には一筆頂く事に
なると思います。」
智 「なんか面倒だな・・・」
マ 「この仕事なさってたら、それは仕方のない事ですよ。」
智 「は~どうでもいいけどなんか疲れたわ。おいら帰って寝るわ。」
マ 「はい、お送りしますね。」
まだ正式に決まったわけじゃないけど
なんとか難関と思われた事情説明する事は
無事に終えることが出来た。
後は社長の許しが出れば、
直ぐにでもニノと一緒に暮らせるんだ。
俺はニノにメールを入れて
無事に話が終了した事を伝えた。
つづく