第6章
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俺がソファーでうたた寝してたら
ニノから電話が入った。
智 「あ・・ニノ?」
和 「もしもし、どうだった?」
智 「メール読んだ?」
和 「話は終わったって、それだけじゃ分かんないよ。
どんだけ短い文章で伝えようとしてるの?(笑)
大雑把にも程があるよ。」
智 「だって、なんか凄く疲れちゃってさァ」
和 「それで?どんな事言われたの?」
智 「最初はもう少し様子見ろって言われたけど・・・」
和 「それで?」
智 「とにかく社長の許可待ちだよ。
連絡有るまで待てってさ。
あと別れるとか許さないみたいな事言われた。」
和 「そんなの分かってるよ。言われなくても。」
智 「ふふっ。早く会いたい・・・」
和 「何だよっ。」
智 「だってお前可愛い過ぎる・・・」
和 「・・・電話で恥ずかしい事言ってんじゃないよ///」
智 「マネージャーは明日には連絡来るって言ってたよ。
許可が下りたら、お前俺んちにとりあえず来いよ。」
和 「うん・・そうするよ。でも大丈夫かな?」
智 「許可下りなかったら、直接社長に会いに行こうぜ。」
和 「うん、そうだね・・・」
智 「ニノ・・・」
和 「ん、何?」
智 「好きだよ。」
和 「フフッ。ん、俺も。」
智 「仕事終わったのか?」
和 「うん、これから帰るの。」
智 「そうか。気をつけて帰れよ。」
和 「ん、それじゃまたね・・・」
くそーっ。
声聴いたら益々逢いたくなるじゃねえか。
やっぱ、1日も早く一緒に住みたいよな。
そしてその翌日。
俺は午前中打ち合わせの仕事が入ってて
午後からは新曲の振り付けを考えなきゃならなくて
スタジオに向かってた。
今日ぐらい連絡有ると聞いてたのに
まだ何の音沙汰も無い。
さすがになんか落ち着かなくて
なかなか振り付けが浮かんで来ない。
そうしていたら
夕方頃、マネージャーが俺の所にやってきた。
スタジオには他のスタッフも居るので
俺は外に呼び出された。
智 「れ、連絡有った?」
マ 「はい。先程・・・」
智 「それで?どうなるの?俺達・・・」
マ 「許可するそうです。」
智 「マジで?良かったあ。」
マ 「それで、この後事務所に寄るように言われました。」
智 「そうなの?」
マ 「振り付けのお仕事が終わられてから、
そのまま行きましょうか。」
智 「うん。分かった・・・」
俺はニノにメールを送った。
ニノのヤツ喜ぶだろうな。
俺は暫く嬉しくてニヤニヤが止まらなかった。
それから、振り付けも順調に進んで
19時前にはスタジオを出た。
それから事務所へと直行する。
俺はまた昨日の会議室に通されて
また幹部と話をした。
今回のニノとの交際と同棲を認めるには
公約という厳しい条件が付いている。
だから、きちんとした契約書のような書面に
サインをしなくてはならなかった。
一応その公約に目を通すと
一)向こう10年間、女性との交際、結婚は認めず。
一)同棲、交際相手との破局を原因にグループ脱退を禁ずる。
一)交際を一切公表しない。
一)マスコミ、ファンに疑われる行動は一切慎む。
・・・・・
全部で10項目位、ずらりと公約が並んでる。
べつに約束したからといって、困るようなことは何もない。
俺はそこにサインした。
幹 「社長が近いうちお二人とお食事したいとおっしゃってました。」
智 「ええ?マジで?」
幹 「若い頃からお二人の事見てきたので、実は嬉しいとも・・」
智 「へえ・・・。意外だなぁ。」
幹 「そして、こちらは社長からのお祝いだそうで・・・」
智 「え?何?」
俺は幹部から鍵らしきものを受け取った。
智 「これは?」
幹 「お二人の住居に使われて下さい、という事です。」
智 「ええ?」
幹 「今のお二人のマンションでは狭いだろうという事で。」
智 「ホントに?いやっ・・・なんか嬉しい!」
幹 「マネージャーに後日場所は教えておくので
業者に頼んで静かに引越しするといいでしょう。」
智 「有難うございます。」
これは思ってもみなかった展開だ。
社長が俺たちの事認めるだけじゃなくて
祝福してくれてた。
色々面倒な書面にはサインしたけれど
それも俺らは雇われてるんだから
当然のとこだし。
交際を認めて貰えるなら、そんなのなんてこたないんだ。
ニノが知ったら、きっと喜ぶだろう。
今夜はお祝いだな。
マ 「大野さん、良かったですね。」
智 「うん、有難う。マネージャーが提案してくれたお陰だよ。」
マ 「お役に立てて嬉しいです。」
智 「早くニノに教えてあげなきゃな。」
マ 「それじゃ、大野さんを送って、
私はニ宮さんをお迎えに行ってきますね。」
智 「うん、ありがとう。」
引越しは今は無理だけど
早速ニノは今日から俺のマンションに堂々と寝泊り出来るってことだ。
なんか、まだ夢を見てるみたいだった。
つづく