第8章
同棲③
智 『・・・っていうかさ、ずっとあれから寝てたの?』
和 『ずっと寝てました』
智 『肌艶良くなってるもんな』
和 『そう?』
智 『やっぱり栄養と睡眠は大事なんだよ』
和 『そうだね』
智 『おいらが不足するのも駄目なんだよ。』
和 『はぁ?』
智 『あ、でもたまに不足するくらいがイイか・・・』
和 『また、変な事考えてるだろ?』
智 『んふふふ。もっかい言ってくれよ。』
和 『えっ?』
智 『溜まってる・・・って(笑)』
和 『///なんだよっ』
智 『もっかい言ってよ・・・』
和 『いやですっ』
智 『言わないとしないからなっ!』
和 『結構ですっ』
・・・と言われても、俺はするけどね。
だけど、あの時のニノはマジで色っぽくて
可愛かったなぁ・・・。
思い出したら俺が興奮してきちゃった。
当然の流れで愛し合う俺達。
参ったな・・・。
すればするほど、ニノとの相性は良くなるんだ。
吸い付くような滑らかな肌といい
感度のいい身体といい
一度味わってしまうと、もうやめられない。
離れられない・・・。
ニノはどうなのかな?
そんな特別な快感をこの俺から得られてるのかな?
ちゃんと満たされてるのかな?
普通とか言われたらへこみそうだ。
和 『ハァ・・どうしたの?腑抜けた顔して(笑)
そんなに良かったの?』
智 『良すぎる・・・ニノは?満足してる?』
和 『ふっはははっ・・・』
智 『ん?どうして笑うんだよっ』
和 『お互い好きだからイクんだろ?』
智 『おいら、自分が上手いとか下手とか正直わかんねえもん。』
和 『そんなの知らなくていいじゃん。
俺が感じてるんだから。それでいいんだよ(笑)』
智 『そっか。それならいいけど・・・』
和 『言っとくけど、俺はあなたのセックスの上手い下手で
好きとか言ってるんじゃありませんからね。』
智 『だけど下手より上手い方がいいだろうが?』
和 『そりゃーね(笑)そんなの言わずと知れてる。』
智 『ほらぁ・・・』
和 『だけどそれってお互い様でしょ?俺だってさ、若いヤツには叶わないもの。』
智 『そんな事ないよ。おいらはニノがいいに決まってる!』
和 『うん、俺の魅力に敵うヤツなんていないよね(笑)』
直ぐ調子に乗る。
でも悔しいけどニノの言うとおりなんだよ。
和 『ねっ、お風呂入ろう・・・。俺、帰ってそのまま寝てたからさ。』
裸のまんまニノはベッドから立ち上がり
バスルームへ歩いて行った。
俺も本当はまだ足りなかったけど
風呂には入りたかったからベッドから降りて
ニノの後を追いかけた。
和 『今、お湯溜めてるからもう少し待ってね。』
智 『うん・・・』
和 『あ、これ?』
リビングのテーブルに置いてた台本に気が付いて
それを手に取り、パラパラと捲った。
和 『連ドラ?』
智 『え・・あ、そう・・・』
和 『ふうん・・・』
ぽいっと投げ捨てるように
その台本をテーブルに放り投げた。
まだ初回は特に女と絡むシーンはないけど
それが恋愛モノだと知っている
ニノの機嫌がたちまち悪くなった。
まぁ、予想はしてたけど。
これは前途多難だな・・・。
そろそろお湯が溜まった頃かな?
俺は風呂の様子を見に行った。
智 『溜まったよ。入ろうか』
和 『どうぞ、お先に・・・』
智 『なんで?一緒に入ろうよ』
和 『なんかそういう気分じゃなくなった。』
出たよ・・・。
智 『いいから入るのっ』
俺はニノの腕を掴んで
強引にバスルームへ連れてきた。
ムスッと面白くなさそうに湯船に浸かってる。
智 『頼むから撮影始まる前から拗ねるのやめてくれ。』
和 『だって、恋愛もんってあなた慣れてないじゃん。』
智 『そりゃそうだよ。やったことないもんよ。』
和 『だから駄目なんですよ。』
智 『何が駄目なんだよ?』
和 『リーダーみたいなヤツが一番危ないの。』
智 『ええ?』
和 『直ぐ役に入り込むだろ?』
なるほど。確かにそうかも。
その役になりきろうとする俺は撮影の間は他と接触を断っても
その役柄に入り込んじゃったりする。
それは普段との切り替えがニノみたいに上手く出来ないからとういのもある。
智 『さっき言った事、もう忘れたの?』
和 『何をさ?』
智 『おいら、お前がいいに決まってるって言ったばっかりだろ』
和 『・・・』
智 『おいで・・・洗ってやるから』
和 『・・・』
智 『かず、おいで・・・』
ザブンッ。
まだ納得いかない感じだけど、子供みたいに拗ねた表情で湯船から出て
俺の目の前の椅子に腰を下ろすと
何も言わずに切ない目で俺のことを見つめながら
ゆっくりとその可愛らしい唇を重ねた。
つづく