第8章
同棲⑤
和 「びっくりしたぁ・・・知り合いの店って全然知らなくて」
智 「お陰で腹一杯ご馳走になれたけど(笑)」
和 「あなた馬鹿みたいに食ってたけど大丈夫なの?」
智 「さすがに胃袋やばいな。薬飲んで寝るわ・・・」
和 「子供ん時しか会った記憶が無い人とかに声掛けられるのって
マジで怖いよね。えっ?誰ってなるもん」
智 「向こうはテレビで俺達の事ずっと観てるから間違えないけど
俺らは相手が変りすぎてて分かんねえもんな(笑)」
和 「やっぱり外出は控えないと、そのうちバレちゃって
事務所から怒られそうだね・・・」
智 「あのラーメン屋は今後も行けるじゃん(笑)
個室使わせてもらえそうだし・・・」
俺達はそんなこと話しながらマンションに帰った。
ニノは半日以上寝てたから眠くならないんで
ゲームしてるっていうから
俺は仕事も有るので一人で先に寝た。
朝、目が覚めると
いつの間にかニノが隣に寝てた。
俺の手を握ってる。
可愛いな・・・。
多分遅くまでゲームしてたんだろうな。
ちょっと名残り惜しいけど
俺はニノを起こさないように
そっとベッドを出ると
そのまま仕事に出掛けた。
今日は単独のCMの撮影で
内容は簡単なものだったので
意外とスムーズに撮影は終了した。
この後、ニノと社長がプレゼントと言って
俺達二人に準備してくれた家を見に行くんだ。
なんかちょっと期待に胸がワクワクした。
送迎の車で俺のマンションにニノを迎えに行き
ニノは車の中で俺の仕事が終わるのを待っていた。
智 「お待たせ~。」
車に乗り込んだら、ニノがヘッドホン着けて
新曲のデモテープか何かを聞いてた。
和 「あっ、お疲れ様」
智 「新曲かぁ・・・」
和 「リーダーのドラマの主題歌じゃないの?」
ぶっきらぼうにそう言った。
まだ拗ねてるのかよ。
マ 「それじゃ、早速新居の方に向かいますね・・・」
車で20分くらいの所にあるらしい。
俺達の仕事の送迎の事も考えてくれてるのか
結構遠くない場所にその家はあるみたい。
マ 「着きましたよ。こちらです。」
そこは住宅密集地の一番奥にある
めちゃめちゃ広い敷地の一軒家。
智 「うわっ・・・すげえっ」
和 「凄いなっ・・・」
マ 「中に入りましょうか・・・」
敷地は広いけど
家は普通の二階建て。
庭がとにかく広くて外壁が高いから
外から覗かれたりする心配が無い。
外装はかなり築年数は経ってる中古のようだけど
中に入ってみるとリフォームされてて
とにかく新築並みに綺麗。
智 「こんな広い家、どうして俺達なんかに・・」
マ 「社長がご自分用に以前建てた家だと聞いてますが」
和 「そうなんだ。でも本当に俺達が住んでいいのかな?」
智 「そりゃいいから鍵くれたんだろ」
マ 「ひととおりご覧になられて下さい。
私は車でお待ちしてますので。」
智 「うん、ありがと」
俺とニノは1階の居間からキッチン、風呂場を見て廻る。
和 「リーダー、風呂場広いよっ!」
はしゃいだ声でニノが俺を呼んだ。
智 「んふふふっ・・・」
和 「なっ、なんだよっ」
智 「だって、ニノが一番拘ってたから(笑)」
和 「勘違いするなよ。風呂場が狭いと疲れが取れないからだよ。」
智 「一緒にゆっくり入れないもんな」
和 「そんな意味で言ってないし。」
智 「はいはい、2階も見に行こうよ。」
2階にはゲストルームと合わせて3部屋有った。
俺達の寝室になる部屋はホテルの
スイートルームみたいに広くて、ベランダも広い。
和 「ちょっとレトロなのも逆にいいね。俺は気に入った。」
智 「うん。おいらも」
和 「二人が住むにはちょっと広すぎる感じは有るけどね。」
智 「これだけ広いとさ、ニノの声が外に漏れる心配ないな(笑)」
和 「あなたさっきから何言ってんだよっ。」
智 「だってそれ重要じゃん。」
和 「それよりいつ引っ越すの?」
智 「次の休みでも引っ越すかな。」
和 「いきなり?俺何も準備してないよ」
智 「ニノはそんなに荷物運ばないんだろ?」
和 「そうは言っても、ここがメインになるわけだから。」
智 「隣の部屋、とりあえず使わないよね?」
和 「物置部屋かな・・・」
智 「おいらのアトリエ部屋にしていい?」
和 「あっ、そうか。そうだよね。」
智 「ひと部屋はどうしてもそうしたいんだ。」
和 「いいよ。そうしなよ。」
智 「それにしても寝室広いよな・・・。ダブルベッド買うか?」
和 「買って下さい!社長(笑)」
智 「買うからおもっきりサービスしろよな。」
俺達は顔を見合わせて大笑いした。
つづく