第9章
仕事と家庭の両立④
メンバーに俺たちの事がバレるのは
時間の問題かもしれない。今のところ事務所からは
絶対自分達からの二人の件を話すことは
公約で禁じられてるから
メンバーが薄々勘付いてくれるってのが
一番手っ取り早いんだけど。
さっきみたいに、そうなんじゃないの?
みたいな質問に対し、俺達から決してそうだよって言わなければいい事なんだ。
ただ、昔から俺とニノは仕事中ふざけて
イチャイチャしてることが多かったから
今更な感じは皆にはあるみたいで、楽屋でチューしてたとしても
「何やってんだよ?」って笑ってそれで終わっちゃう。
それでも、さすがに男同士でディープキスしてるのを
見たら引くだろうけどな。
まぁ、こうなるとニノが逆に意識し出すから
逆に分かり易いんだよ。
以前は収録中にいつもくっ付いてたくせに
こういう関係になってからは
やたら俺と距離をおこうとする。
当たり前にやってたスキンシップもしなくなる。
目は合わせるんだけど、それだって直ぐに逸らす。
やたらゲストとか他のメンバーとの絡みに力を入れる。
あれじゃ、どんなに鈍い俺でも気が付いちゃうよ。
とくに松潤はそういうの凄く観てるから
もう俺たちがあのお膳立ての日から
完全に可笑しいって勘ぐってるのも俺には分かる。
リハーサル終了後に休憩に入ると、
松潤が俺が座ってる椅子の横に腰掛けて
ニヤニヤと笑いながら俺の肩にわざとらしく腕を回す。
潤 『俺さぁ、悪いけど隠しても分かっちゃうんだよねえ。
あなたもニノも本当に分かり易いから(笑)』
智 『へっ?何の事?』
潤 『心配しなくても誰にも言わないから。』
智 『だから何の事?』
潤 『フフッ、まだシラを切り通すの?ま、それならそれで
俺はいいんだけどね(笑)』
めっちゃ悪い顔して含み笑い。
ヤバイな・・・。なんか企んでそう。
いくら潤くんでもさすがに俺の口からカミングアウトとかしちゃったら
めちゃくちゃニノに叱られるからな。
フッとニノの方に視線をやると思った通り
凄い顔して俺の事を睨んでやがった。
その後再び収録が始まると
松潤が今度はやたらニノに絡む。
しかも台本には無いアドリブで絡むんだ。
うん、これはやっぱりなんか企んでる。
嫌な予感しかしない俺・・・。
ただ、その日の収録はさほどまで
大きな問題もなくスムーズに終了した。
皆が着替える前に俺とニノは
急いで衣装から私服に着替えて
逃げるように楽屋を出て
送迎の車に乗り込んだ。
和 『はぁー、なんか疲れるっ。』
智 『そうかぁ?たいして何もしてねえじゃん。』
和 『リーダーはねっ・・・』
智 『何だよ、そんな言い方しなくたって。』
和 『っていうか、さっきJから何言われてたんですか?』
智 『ええっ?』
和 『随分仲良く話してましたけど・・・』
智 『あっ、ヤキモチ?』
和 『違うよ、ばーか!』
智 『お前との事しつこく聞かれそうだったから
誤魔化してたんだよっ』
和 『へえ・・・そうなんだ。』
智 『松潤は鋭いからなぁ・・・』
和 『ダメだからね、絶対に自分から話しちゃ。』
智 『分かってるよ・・・』
分かってるけど、何か企んでるような気がしてならない。
智 『なぁ・・・お前も念のために松潤には気をつけろよな。』
和 『なんで?』
智 『いいから、用心しとけって言ってるの。』
和 『意味が分かんない(笑)』
笑いながら携帯取り出して弄り始めるニノ。
和 『あ、相葉さんからライン来た。』
智 『なんて?』
和 『分かんない(笑)変な画像送ってきたし・・・』
ほらって俺にその画像を見せた。
ん?何処かで見たことあるな・・・
玄関に並んでる靴の画像。
和 『何なんだろうね(笑)わけ分かんないでしょ?』
智 『ああっ!それってさ、翔くんの靴じゃん(笑)』
和 『あっ・・・そういえばっそうだね。』
智 『それって相葉ちゃんちの玄関の写真だよね?』
和 『うん、多分・・・』
ってことは・・・もしかして?
俺達はお互いの顔を見合わせて
『ええええっ?・・・嘘だろ?』
と、思いっきり車中で大声で叫んでしまった。
つづく