第17章
仲間たちの反応⑤
それからいよいよその次の金曜日がやって来た。
いよいよメンバーが顔を揃える日。
ニノが夕べからやっぱり落ち着かない様子。
無理も無いよな・・・。
俺達の関係が皆にバレちゃう日なんだもんな。
リビングで出掛ける準備してる
ニノの顔が何時になく険しくて
俺はそっと背中から抱き締めて
智 『大丈夫だよ。お前は何も心配するな・・・』
って声を掛ける。
和 『うん、分かってる。』
智 『メンバーがどういう反応を示したとしても
俺のニノへの気持ちは変らないから・・・』
和 『さとし・・・』
俺達は普段と変わらない熱いキスを交わして
玄関で靴を履き、迎えの車に乗り込んだ。
マ 『おはようございます。今日はお分かりになってますよね?
もう、松本さん達にもそれぞれの担当マネージャー達から
話がいってる筈なので、どんな話になってもお二人には
普通通りにお仕事されるようにと、上からの伝言です。』
智 『うん、大丈夫。分かってる。』
俺は隣に座ってるニノの手をギュッと握って
自分自身に気合を入れた。
大丈夫・・・きっと皆分かってくれる。
テレビ局に到着した俺達は
今日は堂々とマネージャーの車から二人で降りた。
もう、隠れてコソコソする必要も無いんだ。
智 『ニノ・・・ほらっ。』
俺はニノに手を差し出して繋ぐように促した。
そう、今日からあえて手を繋ぐ。
昔は警備員が居ようが、スタッフが居ようが
お構いなしに繋いでた。
勿論あの時はただ周りの反応が面白くて
ただ単にふざけてただけだった。
二人がスキンシップ多いことは
ファンにも知れ渡ってて今更騒がれない。
だから堂々と手ぐらい繋げる。
メンバーの前でも
今更恥ずかしがっても仕方ない。
それ以上のことをしてますって
打ち明けたのと同じことだから。
俺はニノと目を見合わせて
お互い無言で頷くと
楽屋の扉をゆっくりと開けた。
楽屋にはもう3人が先に到着していて
そこには次期社長のJさんも居た。
智・和 『おはようございまーす。』
翔・雅・潤 『おはよう』
J『おはよう。こっちからの説明は済んだから、
あとは二人からきちんと話しておいて。
もう、皆いい大人だし
お互いの事一番分かり合ってるだろうから、
全ては仕事にプラスになるよう
生かしてくれればそれでいいから。』
Jさんはそう言い残して楽屋を出て行った。
智 『あのさ、俺達皆に隠したくて隠してたんじゃないよ。』
潤 『フフッ分かってるよ。そんなこと。』
雅 『上から言われてたんでしょ?バレない様にって。』
翔 『もう、薄々分かってはいたけどさ。一緒に住んでたなんて。』
雅 『それはホント驚いちゃったねぇ。』
潤 『大野さん、聞いていい?』
智 『えっ?う、うん・・・』
ニノが心配して不安そうに俺を見てる。
潤 『俺がお膳立てしたのがキッカケになったの?』
智 『あっ、そうそう・・・』
潤 『なーんだ、やっぱり(笑)良かったじゃん。』
智 『うん、感謝してるよ。』
翔 『もうどれくらいになるの?』
智 『3ヵ月過ぎたかな。』
雅 『へえ・・・そんなに?』
和 『皆の迷惑にならないようにするからさ。
その・・・ビックリさせてゴメンね。』
翔 『社長が家を譲ったって聞いたけど、本当?』
和 『うん。そこに住んでるの。』
雅 『そこって広いの?』
智 『めっちゃ広いな。今度良かったら皆で遊びに来てよ。』
翔 『ホント?いいの?』
和 『いいよ。なんなら泊まってくれても構わないよ。』
潤 『だって二人の愛の巣なんでしょ?お邪魔でしょ?』
雅 『やだぁ、もう松潤が言うとなんかいやらしい(笑)』
翔 『その・・・ゴメン、俺よく分かんないんだけども・・・
二人って、その・・・つまり・・・もうそういう事なの?』
雅 『もー翔ちゃんったらぁ、うひひひっ聴くだけ野暮でしょ。』
潤 『当たり前でしょが(笑)』
翔 『だってさぁ、IKKOさんとかカバちゃんなら分かるけど
大野さんもニノも、どこからどう見てもノーマルにしか
見えないから信じられないというか・・・』
俺とニノは顔を見合わせて笑った。
だって俺達はもうそこに食い付くの
ある程度予測してたから。
同性愛を普通に受け入れてくれるなんて
最初から思っていないし
理解してもらおうって必死になるつもりもない。
ただ、現実としてそういう事だから
これからも今まで通りに宜しくって
そんな程度でいいんだよ。
翔 『だけどおたく達はさ、なんていうか・・・
世間一般に思われてるような不潔な感じしないんだよな。
いや・・・むしろ、清涼感すら感じるから不思議だよな。』
和 『それは翔ちゃん達が俺達の事、見慣れてるからじゃない?』
うん・・・俺もそう思う・・・。
でも今の翔ちゃんの一言は
なんか俺達をホッとさせてくれた。
つづく