第9章
家庭と仕事との両立①
マ 『いかがでした?物件は気に入られましたか?』
智 『うん、めっちゃ広くて二人には勿体無いくらいだった。』
マ 『良かったですね。ところで引越しは何時にされますか?』
智 『次の休みっておいら来週の月曜日か・・・』
マ 『はい。そうですね。』
智 『月曜日にとりあえず業者に頼んで荷物運んでもらうよ』
マ 『そうですか。分かりました。何かお手伝いすることがあったら
気兼ねなくおっしゃってください。』
和 『俺は自分で少しずつ荷物は運ぶ。』
智 『そうだな。お前はマンション完全に引っ越すわけじゃないからな。』
和 『なんか言い方に棘がありますね・・・』
智 『だってそうじゃんか!』
マ 『まぁ、お二人とも事情は有るでしょうから。そこは話し合っては
どうですか?』
和 『そうだよっ。こっちにだって事情があんだよ!』
智 『そんなの屁理屈じゃん。』
和 『はぁ?そもそも付き合いの無い奴に言われたくないね。』
マ 『まぁまぁ・・・続きはどうぞお家で(笑)
それじゃ、明日はお二人同じ現場なんでまた午前中お迎えに来ます。』
智 『うん。お疲れ様でした。』
和 『ありがとう、お疲れでした。』
俺達は車を降りてマンションに戻った。
和 『マネージャーが呆れてたじゃない。喧嘩するから。』
智 『あれは喧嘩じゃねえし。』
和 『そうだね。あれは智の我儘だよね。』
智 『ニノが我儘なんだよ。』
和 『もういいよ。俺もマンション引き払えばいいんでしょう?』
智 『だって、そのままにしておく理由がおかしいよ。』
和 『仕事の付き合い?』
智 『そんなの断れない事もないじゃん。』
和 『急に二宮が付き合い悪くなったって、業界から噂されても知らないから。
たんなるヤキモチでしょ(笑)』
智 『俺達、結婚するのと変らないんだぞ。』
和 『そんなの俺だって分かってますよ。だから引き払うって言ってるじゃん。』
智 『もっと納得した言い方出来ないの?』
和 『あなた、何時からそんな面倒くさい男になったんですか?』
あ・・・、確かに。
ニノが言うとおり、今の俺は相当面倒くさいヤツかもだな。
智 『なんだろな・・・』
和 『今度はへこむのかよ(笑)』
智 『だって、自分でもビックリなんだよ。
俺って昔はこんなんじゃなかったもん。』
ニノと想いが通じて
一緒に暮らせるようになってから
以前よりも、その独占欲みたいなのが強くなってるのが分かるんだ。
それだけ俺が惚れちゃってる証拠なんだろうけど。
智 『おいらの事、好きか?』
和 『もう~おかしいよ。どうしたの?』
智 『だって、おいらニノが好きで仕方ないんだよ・・・』
そう言ったらソファーに座ってる俺の横に腰掛けて
俺の膝の上に手を置いて俺の顔を覗き込み
和 『俺だって・・・好きに決まってるでしょ。』
って、栗色の瞳がキラキラと輝き俺を見つめた。
ニノの左手がそっと俺の頬に触れて
どんどんその可愛い顔が近付いて柔らかい唇が俺に触れる。
堪んなく愛おしさが込み上げて胸の奥をキュンと締め付けた。
智 『俺、ニノの為ならなんだってするから・・・
だから、俺のこと嫌いにだけはならないでよ?』
俺は真剣な眼差しでニノを見つめながら
ゆっくりと彼をソファーに押し倒して唇を重ねた。
愛し合ってる時は完全に身を委ねてくれるし、
流れとして主導権は俺にあるんだけど
普段の生活の上でニノは俺とは対等で有りたいと思ってる。
それは分かるよ。
だってこう見えてニノも男なんだから。
だけど何なんだろう?
常に彼を守ってやらなきゃって
俺は俺で物凄く恋人としての責任感みたいなものを感じてる。
だから、きっと快感に溺れてるというよりも
彼の事を自分の力で抑制していられる事への満足感に浸れるから
常に身体を求めてしまうというのが本音なのかもしんない。
和 『んっ・・・んはっ・・・んんんっ・・・』
指と指が絡まって
甘くて濃厚な長いキスを繰り返すと
次第に身体が疼きだして
俺の下でどんどん乱れ始めるニノの全部が欲しくなるって
衣服の上から彼の大事なところを指先で確かめる様に撫でた。
和 『んんっ・・・さと・・・し・・・』
ニノも完全にその気になって
全力で俺を受け入れる臨戦態勢が整ってる。
でもここは焦らすという作戦に切り替える。
心配しなくてもいっぱい感じさせてあげるよ。
俺から離れなくなっちゃうくらいに
俺の事、もっと好きになって貰う為に
120%の愛情でイカせてあげるよ。
つづく