Destiny もう一つの未来 13

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もう一つの未来 13

 

そんなことがあって、数か月経ったある日の事だった。

「ニノ、今度オフって何時?」

「えっ?あ、俺?ええっと、金曜日は確か休みだと思ったけど。
何でですか?」

「連れてこいって煩いんだ・・・」

「えっ?誰が?」

「あいつだよ・・・覚えてるだろ?」

「えっ・・・あいつ?」

「藍だよ。オカマの・・・」

「あっ、ああ・・・」

「六本木の店、一緒に来てくれって。おいらは断ったんだけど
どうしてもニノに会いたいらしいんだ。」

「へ、へえ・・・俺に?」

「もうひつこくてさ。頼むよ。1回だけで構わないからさ。」

「面白そうじゃん。俺、そういう所行ったこと無いし、
一度行ってみたかったから、全然構わないですよ。」

「ホント?」

「あー、でもリーダーも勿論一緒ですよね?」

「ああ。そりゃ勿論。」

あの藍って人が俺に逢いたいって言ってるらしくて
俺も、実際あの二人がどういう関係なのか、気になってはいたから
断る理由もなく、こちらとしては好都合だった。

だけど、藍って人が俺を店に呼んだのは
実は俺が想像もしなかった、有る理由があったからだ。

約束の金曜日がやってきて、俺は智と六本木の駅の付近で
待ち合わせをして、先に軽く居酒屋で食事をした。

智は体調があまりすぐれないと言って
今夜はアルコールを控えると言って
ノンアルコールのビールを頼んで飲んでいた。

「大丈夫?身体辛かったら別の日にするといいのに・・・」

「あ、いや。なんかずっと眠れなくて睡眠薬に頼ってるから
それの副作用で頭痛くて・・・」

「睡眠薬・・・?そんなの飲んでるの?」

「ああ・・・」

「眠れないって、どれくらい?」

「もう半年以上になるかな・・・」

「そ、そんなに?何か悩み事でも有るの?」

「え・・・無いよ。そんなの・・・」

俺と目を合わせないところをみると、やっぱり智は俺に心配掛けない様に
嘘を付いてるのが分かる。

「ここんところ急激に忙しくなったもんね。
睡眠がしっかりとれないのは辛いよね・・・
あっ・・・もしかして?」

「ん?」

「まさか、まだ絵を描いてるとかじゃないよね?」

「え・・・描いてるけど?」

「バカじゃないの?睡眠時間削ってそういう事ばかりしてるから
挙句の果てに不眠症引き起こしちゃったんじゃないの?」

「おいらにとって、絵を描くことはある意味
精神安定剤みたいなものだからさ。」

「それにしたって限度ってものが有るでしょ?」

「そうだ!今度モデルになってくんないか?」

「はぁっ?」

「おいら、ニノを描きたい。」

「人の話を聞いてるの?少し時間に余裕出来るまでは
絵から離れた方がいいって!でなきゃあなた死んじゃうよ。」

「死なねえし。」

「ダメだって!言う事聞けよ。」

「んふふ・・・ニノのヌードが描きたい。」

「なにをふざけてんですか?こっちは真面目に言ってるのに。」

冗談言えるから、さほど心配しなくてもいいのかな?
この時はその程度にしか思ってなかった。

「ところでリーダーは藍さんの店は時々来てるの?」

「いいや。本当においらも久し振りなんだ。」

「へえ。でも藍さんと外では時々会ってるんでしょ?」

「気になるか?」

「そ、そんなんじゃ・・・」

「ね?この前さ、おいらの家に来た時、チューしたじゃん?」

「は?え?///」

「したよね?」

「え・・・な、何?」

「いや、あれ夢だったかなと思って・・・」

夢なんかじゃないけど・・・
何で急にそんな恥ずかしい事を改まって聞かれなきゃなんないんだ?

「ゆ、夢なんじゃない?夢だと思ってていいよ。」

実のところ思い出してもドキドキしてくるから、こっちだって
忘れたフリしてんのに・・・
一体どういう神経してんだよ。

「やっぱ夢とかじゃないよなぁ・・・」

そう言って気まずそうに頭を掻いた。

「やっぱ、最近おいらどうかしてんだわ・・・」

「え?」

「いや。何でもない。こっちの事・・・
さっ、そろそろ行こうか?」

俺は智と居酒屋を出ると、藍さんの勤めるバーへと向かった。

 

つづく
 

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投稿者: 蒼ミモザ

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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