Destiny もう一つの未来 15

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もう一つの未来 15

 

 

 
智が俺にキスをしてる。しかも人前で堂々と・・・
協力してくれと言ったけど、キスすることが協力ってどういうこと?
全く持って意味不明。
しかも俺が無抵抗なのをいいことに、そのキスの長いこと。

「協力」って言葉が引っ掛かってて、途中で拒む事も出来ず
ただ目を瞑ってじっと受け身になってるしか出来ない俺。

「ぎやぁーーー!何よそれ!やよいもちゅーしたーい。」

そのがっさがさの甲高い悲鳴で我に返ったのか?
ようやく智の唇が俺から離れた。

「な?分かったか?これで文句ないだろ?」

「相手がニノちゃんじゃあたしに勝ち目なんて無いよ。
 これがどこぞのブス女だったら、絶対認めなかったけどね。」

「それじゃ、今夜はこれで帰るから。」

「えええ?せっかく来たんだからゆっくりしていけばいいのに。」

「うっせえよ。もう用事は済んだじゃねえか。
 俺達明日も早いんだよ。さ、帰ろう、ニノ。」

「えっ?う、うん///」

智は俺の手を掴むと、藍さんから逃げる様に
そのゲイバーを後にした。
何をそんなに慌ててるのか、俺の手を繋いだまま智は
猛スピードで先を急いでるから、俺は自動的に小走りで
智に着いていく。

「あ、あの・・・」

やっぱり幾ら何でも、何も無かった事には出来ない。
智の口から詳しい事情くらい俺にも聞く権利はあるはずだ。

「あのっ!おーのさん?」

「え・・・あ、怒ってる?よね?」

「と、とりあえずその手離してもらって良いですか?」

「あっ、ごめん。」

智は言われて初めて気づいた様子で慌ててその繋いでた手を離した。

「で・・・?さっきの、どういうことなのかちゃんと説明してくれませんか?」

「あ、いや・・・そのさ・・・」

さっきまでの藍さんに対する態度とは明らかに正反対。
自分からああいう事をしておいてしどろもどろになってる。

「藍さんが俺に会いたいって話じゃありませんでしたっけ?」

「いや、それはそうなんだけど。」

「約束って何の話?」

「ううっ・・・」

「あなた、俺には関係ないって言いましたけど、関係大有りですよね?」

「じ、実は・・・」

「実は?」

「藍が正式に付き合いたいって言い出したんだよ。
 それでさ、つい咄嗟にもう付き合ってる人が居るって
 嘘ついちゃったんだ・・・」

「も、もしかして、それって・・・」

「つい相手はニノだって言っちゃったんだよね。
 だけど本人からその事を聞くまでは信じないとか言うし。」

「それって、どうしてさっき居酒屋で話してくんなかったんですか?」

「だって、本当の事言ったら着いて来てくんないと思ったから。」

「いやいやいや・・・絶対順番間違ってますよ。
 協力要請するにしても、事前に相談してもらわないと。
 あの最中にですよ?もし俺が全力で否定したり、張り手くらわしたり
 無きにしも非ずでしょ?そこは考えなかったの?」

「だけどニノだって以前おいらにチューしたことあるじゃん。」

「は?あ、あれはだって・・・」

「だって?」

「・・・もういいですよ。他のヤツにあんな事されるより
 俺はよっぽどマシだから。」

「えっ?今なんて?」

「と、とにかく藍さんは信じてくれたみたいだから
 良かったじゃないですか。」

「う、うん。」

「それじゃ、俺はこれで帰ります。またね・・・」

「あっ、ニノ?」

「え?まだ何かあるの?」

「う、うん。あのさ、よかったらおいらの家で飲み直さない?」

何とも照れ臭そうに俺の事を誘った。
実は俺もこのまま帰るのは何だかモヤモヤが残って
スッキリしない感じだったから、素直に誘われて嬉しかったりした。

「いいの?」

「うん・・・」

俺達は道沿いでタクシーを拾って後部座席に乗り込んだ。

「お客さん、どちらまで?」

「えっと・・・えっと・・・」

「リーダー?何?どうしたの?」

智は自宅の場所をすんなり運転手に伝えられず
急に不安そうな表情で俺の顔を覗き込んだ。

「二、ニノ?俺らって・・・今から何処へ行こうとしてるんだっけ?」

「はっ?」

こんな時に何をふざけてるの?って思ったけど
智は怯えた様な表情で身体は小刻みに震えてて
それが冗談では無くて異変だと気付いた俺は

「あ、すみません。中目黒まで・・・」

咄嗟に運転手に自分の自宅を行き先として伝えてた。


つづく

 

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投稿者: 蒼ミモザ

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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