Destiny

Destiny もう一つの未来 20

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もう一つの未来 20

 

 

 
智の病気が深刻だという事実を受けてから
CRUSHは急遽予定していたライブを取り止めにすると決めた。
公式サイトからファンに向けてのお詫びのメッセージを
5人を代表して翔さんが書いてくれた。
その内容は、ボーカリスト大野智の体調不良により
勝手ながら予定していたライブツアーを見送らせて貰う・・・
という類の内容だった。
当然、世間は急なライブ中止の発表を受けて
しかも体調不良というザックリした言い方に
納得出来るはずもなく、直ぐにマスコミが騒ぎ始めた。
そんな裏側で俺達はこれからの活動や対応について
真剣に話し合いを重ねていた。

まず、CRASHのバンド活動を完全に終わらせ解散するのか
智の回復を待って一時休止という形を取るのか。
俺達は究極の二択を迫られていた。

俺はもう智にこれ以上無理をさせて
病状を悪化させることだけは避けたかった。
だから、本当はもう解散したいと言いたかったけど
それぞれバンドで食べてく事を決意して活動してたわけだから
俺一人の意見で簡単にそれを終わらせることは出来ないと思った。
だから、新たにボーカルを探してはどうだろう?と
提案してみたら、皆は首を縦には振らなかった。

「CRASHってバンドは、リーダーのボーカルで成り立ってた。
 今更他のヤツの声で同じバンドは有り得ないよ。
 もし新たなボーカルを迎えるのなら、一旦CRASHは解散するのが
 妥当だと思うけど・・・」

俺とは理由が少し違うけど、潤は俺と同じで解散派。
翔さんと雅紀は、智の回復を待ちたい派。

「自分たちの意見も勿論大事だと思うけど、智くん本人が
 どうしたいのかも聞いてから決めた方が良くないかな?」

その翔さんのひと言で、智の希望も一度聞いてみるということで
話は纏まった。
智の事だから、また無理をしても戻ると言い兼ねない。
俺は智が皆との話し合いに合流する前に、智を説得しようと
自宅療養中の智を訪ねる事にした。
そして俺は事前に電話で智に連絡をして逢いに行く事を伝えた。

「あ、リーダー?俺だけど。具合はどう?」

「あ・・・ニノ?」

俺の事ちゃんと覚えてる・・・
名前を呼んでくれただけなのに何かホットして泣きそうになった。

「リーダー、明日リーダーの家行ってもイイ?」

「え?ホント?それじゃちゃんと考えてくれたんだ?」

「ん?えっ?考えたって何を?」

「んふふっ・・・いいよ。来た時にゆっくり聞く。」

「思ったより元気だから安心したよ。それじゃ明日ね。」

「うん・・・楽しみにしてるね。」

自宅療養になって、暫く会ってなかったっていうのもあるけど
楽しみにしてる、なんて言われたら嬉しくて
思わず顔がニヤケてしまう。
だって病気のことがあって、智からの告白を完全に横に流してしまってたから
智が「考えてくれたんだ?」と言った言葉の意味、本当はちゃんと分かってた。
勿論、その事も含めて明日はゆっくり二人で話さなきゃって
覚悟も決めていたんだ。

そして翌日、仕事が休みだった俺は午前中から智の自宅マンションに向かった。
ところがだ・・・
智のマンションの入り口に救急車が停まってて周りが騒然としてた。
何が有ったんだろう?とりあえずエレベーターを待っていると
その扉が開いて、救急隊員が担架で誰かを運びだそうとしていた。
俺は邪魔にならない様に横に移動して、チラッとその
担架で運ばれてる人の顔を覗き込んだ。

「えっ?リーダー?」

まさかと思ったけど、それは間違いなく智だった。

「あ、あの?」

俺は慌てて救急隊員に話し掛けた。

「リーダー、いえ、大野さん、どうかしたんですか?」

「あなたは?ご家族ですか?」

「あ、いや・・・仕事の仲間ですけど・・・」

「大量に睡眠薬を飲まれて意識不明の重体です。」

「えっ・・・」

俺は最後まで自分の耳を疑った。
俺に逢うのをあんなに楽しみにしてくれてた智が大量の睡眠薬?
絶対に何かの間違いだ・・・

つづく

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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