Destiny

Destiny もう一つの未来 25

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もう一つの未来 25

 

 

 
正直、このタイミングで打ち明けていいのかは分からなかった。
出来ればこんな状況になる前に自分の気持ちを
キチンと伝えておくべきだったと後悔はしてる。
でも、そうでもしないと智が俺からどんどん逃げ去って
手を伸ばしても届かない程遠くに行ってしまいそうな
そんな不安で一杯になってしまったものだから
タイミングとか、もうそういうの考える余裕なんて俺には無かった。

「二、ニノ・・・」

「お願いだから、もう俺から逃げないって約束して。」

「おいら・・・こんなんだし・・・」

「知ってるよ?」

「ニノの足手まといになるし・・・」

「だから?」

「全部分かんなくなるかもしんないし・・・」

「だから一緒に居なきゃ駄目なんだって。」

「えっ・・・」

「あなたの記憶、俺が全力で守ってやるよ。
 これからは二人で一緒に病気と闘いましょう。
 二人で乗り越えようよ。」

「ニノ・・・」

智は目頭を手で押さえて今にも泣き出しそうなのを
グッと堪えてた。

「さぁ、おばさんと藍さんが心配するから帰ろう?」

俺は智の手を引いて、実家へと戻った。

「ただいま・・・」

「あっ!おおちゃん、何してたの?遅かったじゃない。
 心配してたんだからね。」

「う、うん。すまない。」

「智、折角だから二人にお夕飯食べてって貰いなさい。」

「う、うん。」

「あ、おばさん、あたし今夜も仕事があるから
 今日はそろそろ帰らなきゃなんだ。」

「あら?そうなの?」

「あ、僕も帰ります。ね、リーダー?」

「あ、うん。」

「えっ?智は泊まるんじゃなかったの?」

「あのさ、母ちゃん・・・」

「うん、何?」

「その、おいら・・・これからニノと一緒に暮らすことにした。」

「はっ?」

「だから、そういう事だから・・・」

「ちょっと、何?言ってる意味が分かんないんだけど。」

「いやだぁ。おばさん、一緒に暮らすって言ったら
 そういうことよ?素敵じゃない。
 よく決心したね。おおちゃん、それでこそ男だよ。」

「だ、だけど智は・・・」

「あの、病気の事なら心配しないで下さい。
 リーダーの事は責任もって面倒見ます!」

「そ、そうは言ってもねぇ・・・」

「おばさん!おおちゃんにとってニノちゃんと一緒に居る事は
 何よりの治療薬だと思うよ?
 本当ならあたしが一緒に暮らしたいくらいだけど。
 こればかりは仕方ないしね。
 あたしに協力出来ることは何でもするしさ、
 おばさん、ここは黙っておおちゃんの好きなようにさせてあげて。」

「えええっ・・・でも・・・」

「母ちゃん、分かってよ。ちゃんとマメに実家にも顔出すって
 約束するからさ。」

「僕からもお願いします!」

ここに居る4人の誰一人として先の事は分からなかった。
智の病気がどのくらいのペースで進行するのかも
どの程度記憶が消えるのかも、全く見えない状況だった。
それでも、何かを信じて・・・ただ前に進むしかないと
それぞれが思ってたのは間違いない。
現状を恐れていても何も始まらないんだもの。

だけど皮肉にも病気のことがあったからこそ
俺と智の距離はグッと縮まった訳だし、言い換えれば
病気の事が無ければ俺に関しては
ここまで積極的にはなれていなかったかもしれない。

きっと、智に恋人が出来たりして、それを見て
ただ隠れて一人で泣いてたかもしれないな、なんて思ったりする。
ようは考え方次第なんだ。
病気はそりゃ確かに怖いよ。
でも、好きな人に何もモーション起こさずに
勝手に失恋して辛い想いする方がきっと何千倍も怖い。

智は重い病に掛かってしまったけれど
人間、どんなに健康な奴でも何時かは死んでくんだ。
勿論俺だってそう。
だからもう、これからは我慢して後悔するようなことだけはしたくない。

おばさんは、俺じゃなくて他の誰かでも多分戸惑っただろう。
病気の息子と一緒に暮らしたいと言うのだから
俺に限らず、迷惑を掛けると考えるのは親としては当然のことだと思う。
俺達は、真剣におばさんを説得して何とか納得して貰い了解を得た。
そして、再び藍さんの運転で智のマンションに送り届けて貰った。

つづく

 

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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