Destiny

Destiny もう一つの未来 28

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もう一つの未来 28

 

 

それから暫くCRASHの今後について何度も何度も
スタッフやメンバーらと話し合いを重ねた。
俺は、智の病気が発症してしまった原因として
これまでの仕事で過度なストレスを感じていた事、
今後この仕事を続けたとしたら、
間違いなく治療の妨げになるという担当医師からの診断書、
そう言った諸々を揃えて解散を申し出たところ
1年程はこのまま休止という形を継続し
1年後に正式に解散を発表するという計画で
完全に話は纏まっていった。

ようやく、智を開放してあげれる・・・
元々俺のせいで音楽活動に巻き込んでしまったんだから
当然この俺に大きな責任が有ると思ってた。
病気うんぬんを差し引いても
俺は智のあの絵を見たときに、既に幕を引かなきゃならないって
何処かで覚悟はしていたんだけど、出来れば
智がこんな病気なんかになる前に、もっと早くこの俺が
あの人の異変に気付いてあげてさえいればと、
今更悔やんでも仕方ないんだけど
どうしてもそれだけは悔やまれて仕方ない。

こうして、智は病気の治療を受けながら
自宅で自分のペースで絵画を本格的に始めて
俺は仕事しながら、智をサポートするという生活が始まった。

その後、智はストレスから解放されたせいか
ただでさえ菩薩みたいに穏やかだと思ってたけど
それ以上に表情が柔らかくなった。
だけど、病気そのものが治ってる訳じゃない。

時々会話が繋がらなくなる時があって
直近の行動が分からなくなるだけじゃなく
徐々にではあるが、過去の記憶も消えていくのが分かる。

「智、今日からリハビリ兼ねてさ、CRASHの曲を1日10曲歌わない?」

俺はPCにランダムに取り込んだCRASHの曲の伴奏を
部屋の中で流して、智にフルコーラス歌わせることで
何とか記憶を留めておけないかと考えた。

「だってもう半年も歌ってないから、歌詞覚えてないよぉ。」

「そりゃ、俺も一緒だよ。間違えたって良いんだ。
 軽く口づさむだけでいいから、リハビリだと思って頑張ってよ。」

「えええっ?うーん・・・わかったよ。」

どうも気乗りしない様子。始める前から相当不安みたい。
俺が音楽を流し始めたら、智は俺をモデルに
絵を描きながら、軽く流すように歌い始める。

心地良く部屋の中に響く歌声。
それは俺だけに歌ってくれてる何とも贅沢な時間。
CRASHのファンの人には申し訳ないけど・・・
こればかりは俺も有難いとしか言いようのない至福の時間だった。

1曲終わるたびに照れ臭そうに窓の外を見て
フゥーッと溜息をつく智。

「ちゃんと歌えるじゃない?」

「もう、ちょっとさすがに高音キツイな・・・」

「そう?俺は全然聞けるけど・・・」

「ニノが作った曲は死んでも忘れない。」

「えっ・・・」

「だってさ、おいら思ってたもん。」

「な、何を?」

「ニノが描く曲は、おいらへのメッセージだって。」

知ってたの?
もうバレバレなのが恥ずかしいんだけど。
俺は顔から火が出るほど真っ赤になった。

「じゃ、次の曲いくよ?」

「あ、待って!携帯鳴ってる。」

智の携帯に着信音が鳴り響き、智はテーブルから
スマホを取り、画面に表示された発信先の名前を確認する。

「ん?・・・藍・・・」

それは久し振りの藍さんからの電話だった。

「あいって・・・誰だ・・・?」

「え・・・?」

つづく

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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