Destiny

Destiny もう一つの未来 40

Destiny

もう一つの未来 40

 

 

絵画教室で絵を習い始めた智は、次第に音楽よりも美術に興味を持ち始めた。
こればかりはホント不思議だけど、記憶は戻らなくても感性みたいなものは
細胞レベルで記憶されてるってことなのかも知れない。

あと、智はそこの絵画教室で知り合った人達とも
いつの間にか凄く仲良くなって
この頃じゃその人達とも出掛けたりもするようになった。

「ねぇ、智?・・・また出掛けるの?」

「あ、うん。」

「最近良く出掛けますね。」

「絵画仲間と凄く気が合うっていうか・・・
なんか俺の事を皆知ってたんだよね。
俺って思ってたより結構顔が売れてたんだな。」

「そりゃ一応、あなたも有名人だったからね。」

「来月の頭なんだけど、皆に旅行に誘われてるんだけど
行ってもいいかな?」

「ええっ?旅行って・・・」

「仲間の一人がさ、軽井沢に別荘を持ってるらしくって
 そこでバーベキューしたり、渓流釣りしたり
 あと風景画とかも描いたりするんだけど、
 何かすげえ楽しそうだから・・・」

「ま、待って。それって泊まりで行くの?」

「うん。2泊3日だって。」

「だ、大丈夫かなぁ。」

「え?何が?」

「あ、ううん・・・何でもない。」

そりゃ、俺はこの人の恋人だからって、
なにもプライベートを縛り付ける気はないよ。
だけど最近の智見てたら、俺なんかと居るよりもそいつらと居る方が
何だかすげえ楽しそうに見えたりするから心配にもなるんだよ。
しかも、軽井沢に泊まりで旅行だなんて・・・
俺とだってこの半年で一度も旅行なんて行けてないっていうのに。
それよりも、智は俺の事をどう思ってるのだろうか?
ただの同居人?
そうも言いたくなるよ。
俺が智の為に焦らずにゆっくりとか言ってるのも
問題あるのかもしれないけど、あれから結局は半年も
何の進展も無いわけだし・・・
なんていうか、そういうのが全て裏目に出ちゃってる気がする。

やっぱり覚え書き残してくれたところで
そう簡単に恋人同士には戻れないものなんだな。
智のハイテンションとは真逆に俺は一人で落ち込んだ。

結局は智のプライベートごとに首を突っ込んだり出来なくて
その旅行もただ黙って見送るしかなくて・・・
まぁ、俺としては記憶がリセットされて落ち込んでたり
心を閉ざしたりとか暗くなられるよりも、楽しそうにしてる
智を見る方が安心はするんだけど。
どちらかというと、今は俺の方が精神的に辛い状況に来てるのかも。

そして、そんな事が有って
更に2か月程経ったある日、事態は急変していった。
智が突然絵画教室の友達を自宅に招くと言い出した。
何かと友達を優先する智にちょっと不服を募らせてたから
それを言われた時はあまりいい気分じゃなかった。
だけど、ここは元々智の家だし、俺に遠慮しなくていいと言ってた手前
今更自分の主張を押し付けて、智の友達を否定することも出来ない。

「俺、駅まで友達を迎えに行って来るよ。」

「あ、うん・・・」

智はそう言って出掛けて行った。
智は俺の事を何と言って友達に紹介するつもりだろう?
それもちょっとは気になる所ではあった。
俺は自分の部屋で、CRASHの再始動の為の曲作りをしてた。
すると、玄関から智の声がして

「狭いけど、上がって。」

「お邪魔しまーす。」

えっ?友達って女性なの?

「へえ、大野さんち綺麗に片付いてるんですね・・・」

「んふふふ。そうかな?」

「うわぁ、これ大野さんが描いたの?凄い、プロ顔負けじゃないですか。」

「ああ、何かそうらしい。俺は全然覚えてないんだけどね。」

「これ、誰ですか?綺麗な人・・・」

「あ、今から紹介するよ。」

智が俺の部屋をノックして扉を開けた。

「和、ちょっと紹介するから来て。」

「えっ・・・あ、うん・・・」

紹介される相手が女の子だって事だけでも不愉快なのに・・・

「和、こちらは絵画教室の友達で小林さんっていうんだ。
 小林さん、さっき話してた和也・・・」

「は、初めまして。智がいつもお世話になってます。」

これはあくまでも社交辞令程度の挨拶だ。

「初めまして。小林っていいます。」

年齢は25,6歳くらいだろうか?
セミロングヘアに清楚な雰囲気のワンピース姿。
何処かのいいとこのお嬢さんって感じの女の子で
絵画習ってるくらいだから、育ちは良いんだろう。

「ごめんなさい。私音楽の事はあまり知らなくて、
 お二人はバンドのお仲間だそうですね?」

「え?ああ、まあ・・・」

「同じご職業だなんて、本当に兄弟で仲が良いんですね?」

「えっ・・・」

「まぁまぁ、小林さん何か飲む?コーヒーで良いかな?」

「あっ、私やります。」

智は勝手に俺の事を彼女に弟と説明していた。
キッチンに並んでコーヒーを淹れてるその二人が
妙にカップル感出して来て、目の前でイチャつかれて
流石の俺も、その場に黙って立ってられなくて

「あの・・・俺ちょっと出掛けるんで、どうぞごゆっくり。」

「え?和・・・?」

何で俺が気を使わないといけないのか?
これに関しては自分でも理解不能なんだけど、
一つだけ言える事は、この時がもう俺の精神状態から考えても
我慢の限界だったってことだ。

つづく

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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