Destiny

Destiny もう一つの未来 41

Destiny

もう一つの未来 41

 

 

 
智が連れてきた小林という女の子に俺の事を弟だと説明してた事が
あまりにもショックで、二人を見ていたら俺なんかよりも恋人同士みたいで
あのままずっと二人を目の前にして平静を保てる自信なんて無かった。

とはいえ家を飛び出した俺は行く当てもなく、
とりあえず車で自分のマンションに戻った。

何もしてないと、嫌な事ばかり考えてしまうから
とりあえず久し振りにゲーム機を起動して、
ただただ無心でゲームしてたらいつの間にか夕方になっていた。
智から連絡の一つも無いって事はまだまだ彼女と一緒な証拠だ。

生まれ変わった智の中の俺の存在は、
多分ただの”同居人”でしかないんだ。
俺は大野智を再生しようと、ここ半年の間必死で頑張ってきた。
その結果がこれなんだ。
恋人から弟に降格ってなんなの?
智は自分で新しい人生を歩もうとしてる。
前向きなのは俺にも分かる。だけどそこに俺が居たら邪魔なんだ。

スマホのカメラで撮影した過去の記憶が有った頃の
智との沢山の思い出の画像。
辛い時、くじけそうになった時は何時もそれを見て
頑張ろうって気になってた。
そこには仲良く肩を寄せて幸せそうに笑ってる
ツーショットの自撮り画像が溢れるほど詰まってた。

「何だよ。バカ智・・・笑ってんじゃないよ。
 ずっと俺と一緒に居る為のリセットじゃなかったのかよ。
 約束が違うよ・・・」

ううん、そうじゃない・・・智は全然悪くなんかない。
だって、俺が知ってる智はもう死んじゃったのと同じなんだ。
あそこに居るのは、大野智の姿してるけど、もう俺が知ってる智じゃない。
記憶がリセットされたからって、彼はロボットじゃない。
温かい血が流れてる一人の人間なんだから、
俺なんかに勝手に自分を再生されるのなんて抵抗あるに決まってる。
彼はそんな約束を交わしてた事も知りもしないんだから。
彼からすると再生なんてただの押し付けにしか感じないのかも知れない。

「もう、無理だよ。ゴメン・・・疲れちゃった。
 俺はもう・・・あなたとの約束は果たせそうにないよ。」

俺は泣きながら画像の中の智に語り掛けてた。

そして夜になって、俺から智に電話を入れた。

「あ、もしもし?智?俺です。和也です・・・」

「あっ、和?何処行っちゃったの?戻って来ないから
 心配して・・・」

「あの、電話なんかで悪いんだけど、ちょっと俺の話を
 聞いてくれます?」

「ん?話?何?」

「俺、これからはあなたとは別々で暮らします。
 バンドの事は俺から事務所に話して、解散の方向で話を進めておくんで
 これからはあなたがしたい事をしていいですよ。
 あと、身の回りの事はあなたのお母さんに俺からお願いしておくんで
 あなたは何も心配しなくていいですから・・・」

「えっ?な、何で?」

「今まで・・・色々気付けなくてゴメンね。
 それじゃ・・・もうそういう事だから・・・元気で・・・」

「はっ?和也?待って!和・・・」

俺は智の言葉を聞かずに電話を切った。
それからスマホの電源も落として一人で泣いた。
とうとう全て終わらせてしまった。
でも、これで良かったんだ。
何時までも過去に縋っていたって、智はもう俺に何の興味も示さない。
実際に智は全然違うところを見てた訳だし、
遅かれ早かれ俺は自分から身を引く運命だったのかも知れない。
そう思うしか自分のメンタルを保てない。

俺はあの人がくれた思い出が有るから大丈夫。
そう自分に言い聞かせることで
今の智との縁を絶つ事に踏ん切りを付けようとしてた。

数日後、俺は事務所の偉い人と、メンバーに会い
今後の智の復帰は厳しいと伝え、CRASH解散の申し出をした。

「え?何で?ボイトレ始めてたんじゃないの?」

「うん、そうだけど・・・やっぱりリーダーは以前のリーダーとは
 違うのよ。」

「それはでも、最初から分かってた事でしょ?
 時間掛けても再開に向けてリーダーの再生するんじゃなかったの?」

「相葉さん、そんな簡単な話じゃなかったんだ。
 ホント、俺の力不足で・・・許して。」

「ニノが謝る事じゃないけど・・・
 ファンの人は皆待ってるよね?俺達の事。」

「たとえ解散するにしても、文書で終わりますじゃ
 納得して貰えないだろ?もうさ、4人でやるか?
 ラストライブ・・・」

こうして、俺達はけじめを付ける為に
近くラストライブを開催することになった。
そこでファンの人達に解散の報告をするって事で話は纏まった。
解散後の仕事はまだ空白だけど、
俺は暫く音楽や芸能から離れようと決めた。
何処か海外にでも行って、静かに暮らすのも
悪くないかもって思ったりし始めてた。

それから俺達は最後のライブに向けての
打ち合わせを始めた。
ボーカル抜きのラストライブをどうやり切るか。
これが一番の課題だった。
30数曲の演奏を4人で分担してボーカルするしかないんだけど
智の歌声が無いステージが果たしてファンの人に
受け入れて貰えるのか・・・
正直不安なところではあったけど
これが無事に終われば、俺の肩の荷も全て降ろせる。

智の顔が見れなくなった今、
ラストライブの事に全力を注ぐことで
俺はつまらないことを、くよくよ考えずに済んでたのかもしれない。

つづく

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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