Destiny

Destiny もう一つの未来 45

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もう一つの未来 45

 

 

 

俺は藍さんと別れて大急ぎで智のマンションに戻った。
そして、俺の早とちりで色々と誤解をしてた事をとにかくひたすら詫びた。
智も自分が軽率だったと謝ってくれた。

「和、あのさ・・・ここ連れてってくんないか?」

智はリビングの俺の絵を遠い目で見つめてそう呟いた。

「えっ?あ・・・海?」

「うん。ここってさ、俺と和の大切な思い出の場所なんでしょ?」

「あぁ、そうだね・・・そうかもしんない。」

そう、忘れもしない。
智がどうして俺の絵の背景をこの海にしたのか。
あれは、田所先生の所で記憶のリセットの治療法を
受けるかどうかの決断を迫られた後に
俺が真っ直ぐ帰る気がしなくて、なんとなく
寄り道しようと行った場所がこの浜辺だった。
俺達が結ばれたのもその日の夜だった。

その時の事を思い出すと、ちょっと胸が熱くなって
今でも泣きそうになる。

「二人の思い出なのに、俺が知らないのは可笑しいよね。」

「うん・・・」

「連れてってくれる?」

「いいよ。俺もあなたと行きたくなった。
 明日は打ち合わせだけだから、早く戻るんで
 午後から行きましょう。」

「うん。あ、あのさ・・・それからもう一つ
 お願いがあるんだけど。」

「お願い?」

「今夜から・・・その・・・一緒に寝ようか///」

「えっ?」

「その、俺、不眠症でさ・・・」

「あ・・・それ藍さんから聞きました。
 お薬貰いに行ったんだって?」

「う、うん。」

「それと、不眠症とどんな関係が有るの?」

「嫌ならいいんだ。どうしてもって訳じゃないから。」

「藍さんに何か言われたんでしょ?」

「ち、違うよ。」

「良いですよ。無理しなくても。」

「違うってば!」

「智?」

「俺ね、和が居なくなってからずっと覚え書き帖読んでたんだよ。
 もう一度ちゃんと俺が俺に伝えようとしてる事を確認する為に。
 記憶が失われる前の俺は、和の事がとにかく好きで堪らなかった。
 それは一読すれば直ぐに分かるんだけど、どうしてそんなに
 和の事を好きになったのかは書かれてなくて・・・
 でもさ、俺は理屈とか抜きで和の事を信頼することが出来たし
 この覚え書き抜きで、和にどんどん魅かれてった。
 改めて読んでみて、肝心な所が抜けてるって思ったけど
 多分記憶リセットされる前の俺は、分かってたんじゃないかな。
 たとえ何度生まれ変わっても、また和のことを好きになるんだって。
 自信があったから書かなかったんじゃないのかなって。
 先の事をここまで見通してた俺って、すげえなぁって。
 俺、実はそんな過去の俺に引け目を感じてたんだ。
 今の俺を和が好きだって思ってくれてるか心配だった。
 正直言うと、自分に全然自信が無かったから、
 俺の事受け入れてくれないんじゃないかって、勝手に思ってた。」

「智・・・」

俺が思ってる以上に智は自分の中で葛藤を繰り返してたんだ。
それなのに、俺との関係を求めないのは他に興味を持ち始めたからだと
勘違いしてた自分が今更だけど、なんかすげぇ腹が立つ。

「記憶が有ろうと無かろうと、智は智だよ。
 俺はそんなこと最初から覚悟してた。
 智が俺の事を好きになってくれるまでは
 何時までだって待つつもりだったんだ。
 それなのに・・・もう限界だなんて・・・
 勝手過ぎるよね。俺、あなたに愛される資格なんて無い。」

「結局ね、俺がいつまでも煮え切らないから和が限界感じただけで
 和は何も悪くないよ。
 もう、だからこういうの終わりにしようと思って。」

「えっ?」

「うん・・・だから今夜から一緒に寝ようって言ってるの。
 ホント、藍に言われたからとかじゃないよ。」

「・・・いいの?」

「いいも何も・・・こっちからお願いしてるの。」

凄く遠回りしたみたいだけど、それでも俺達の路上ライブの出会いから
考えると、全然ここに辿り着くまでの道のりは遠くなかった。

きっと、俺と智が結ばれることは
最初から運命で決まってた事なのかも知れない。
そんなことを考えながら、
俺は生まれ変わった智とようやく初めての行為を交わした。

つづく

 
 

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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