恋愛小説,  黄色い泪

黄色い泪⑭

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恋愛小説

黄色い泪⑭

 

全てが初めてのことで手探りではあったけれど、俺と大野さんはついに関係を持った。

戸惑いや抵抗は正直あったけど、俺は後悔はしていない。

好き合ってる者同士なんだから、こうなることが自然だと思うし、関係を持てた事で自分は大野さんにとって特別な存在になれた気がして、それがとにかく嬉しかった。

その翌朝、ドタドタと階段を駆け上がる足音で俺は眠りから覚めた。

隣で寝ていたはずの大野さんが居なくなってて、部屋の扉が開いたと思ったら、大野さんが血相変えて部屋に入って来た。

「か、カズ!」

「おはよ。早いね?もう起きたの?」

「大変なんだ。」

「え?何?どうしたの?」

「父ちゃんと母ちゃんが帰って来た。」

「ええっ?」

「いいから、早く服着て!普通にしてれば大丈夫だから。」

「わ、分かった。」

時計を見たら、まだ朝の8時前だった。どうしてこんなに早く戻って来るの?

俺は裸のまま寝てたから、急いでベッドの周りに散乱してる洋服を身に着けた。

ご両親が不在なのをいいことに、家に泊まって息子と淫らなことをしてる事がバレでもしたら大変だ。

あ、勿論言わなきゃ分かんないことだとは思うけど・・・

「大野さん・・・どーしよう?俺何て言えばいい?」

「何も言わないでいいよ。変に色々話せばわざとらしく聞こえるから、ここは俺に任せて。」

「う、うん・・・」

「とにかく下に降りなきゃ顔も洗えないよね?挨拶だけしとくか?」

「う、うん・・・」

俺は大野さんに連れられてリビングに降りた。そこには確かにご両親らしき二人がソファーに座ってお茶を飲んでいた。

「お、おはようございます。」

見ず知らずの俺にいきなり声を掛けられたものだから、2人が驚いた顔して俺を振り返った。

「え?だ、誰?」

「母ちゃん、彼はうちの高校の後輩の二宮くんっていうの。昨日、家に泊まって貰ったんだ。」

「え?お、男の子?ビックリしたぁ、智が女の子を引っ張り込んでるのかと思った・・・」

「なんだよ?変な言い方すんなよ。」

「智もそろそろ18なんだから、彼女の一人や二人いてもおかしくないだろ?」

「もう、父ちゃんは黙っててよ。」

「朝ご飯は?」

「いらない。直ぐに出掛けるから・・・」

「何でよ?ご飯くらい食べてから行きなさいよ。あんたはいいけど、二宮くんがお腹空いてるでしょ。」

「あ、僕は大丈夫です。」

「か、カズ、顔洗って来なよ。」

「あ、うん・・・」

俺は急いで洗面所へ行くと顔を洗ってぐしゃぐしゃの寝癖を整えた。

そもそもご両親ってこんなに早く戻って来る予定じゃなかった筈だよな?

大野さんも慌ててたし・・・間違いなく予定外の急展開ってやつだろうけど。せっかく朝からもう少しイチャイチャ出来ると思ってたのに。計画が狂った。

俺は再びリビングに戻ると、何やら大野家が揉めていた。

「マジで?俺はこれからどうすんのさ?」

「卒業までまだまだ有るしね・・・出来れば智にも母さん達に着いて来て貰いたいんだけど・・・」

「嫌だよ!転校は絶対嫌だからね。」

「困ったわねぇ。」

「卒業まで俺ここに一人で残るよ。」

「でも、家は売りに出そうかって・・・」

「待ってよ。せめて俺が卒業するまでは売らないでよ。」

「智は今まで一人暮らしなんかしたこと無いんだから、無理よ。」

「俺はもう子供じゃ無いんだよ?一人でも大丈夫だよ。」

「あ、あの・・・大野さん?」

「あ、カズ。ゴメンな・・・荷物持った?そろそろ行こうか?」

「え?あ・・・うん。」

「智、ちょっと待ちなさい!」

「だから、俺は絶対転校なんかしないからね!」

「てっ、転校?」

「あ、いや・・・何でもない。行こう・・・」

「あ、お、お邪魔しましたっ。」

俺は大野さんに手を引かれて家を出た。何処に行くのか知らないけど、大野さんは足早に駅の方向に向かって歩いてく。

「あ、あの?大野さん・・・転校って?」

「あっ、ホントごめんな。あんなに早く帰るって知らなかったから・・・」

「いや、それはいいんだけどさ・・・転校って何なの?」

「婆ちゃんが倒れて入院したんだ。それで出掛けてたんだけどさ、婆ちゃんもう長くないらしくてね。爺ちゃんも一人で何も出来ないから同居することに決めたらしくて。」

「だから転校?お父さんの実家って何処なんですか?」

「新潟だよ・・・」

「お父さんだって仕事が有るから簡単に実家に戻るなんて出来ないでしょ?」

「父ちゃんの実家は商売やってるんだ。長男だし、爺ちゃんと婆ちゃんに何かあった時は戻るって約束してたらしいんだ。」

「そ、それじゃ、大野さんも着いてくの?」

「小学生じゃあるまいしさ・・・着いてくわけがないよ。」

「そ、そう?それならいいけど・・・」

俺が不安そうな顔をしたから、大野さんはフッと笑って俺の手を握った。

「大丈夫だよ。俺は何処にもいかないから。」

せっかく俺達は結ばれたばかりだっていうのに、離れ離れになんかなってたまるもんか。

だけど、今はとにかく大野さんの言葉を信じるしかない。子供の俺が色々考えても、こればかりは本当にどうする事も出来ないの分かってるから。

俺と大野さんは急展開に行き場を失くしたけど、気持ちを切り替えて映画を観たり、ボーリングしたりして

その後は2人だけのデートを楽しんだ。

 

 

 

つづく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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蒼ミモザ

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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