君への想いを 第1章 潤君のお膳立て①

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君への想いを

第一章

潤くんのお膳立て①

 

 

潤「やっぱこっちにしなよ。」

智「ええ?マジかぁ・・・」

潤「これからお洒落に目覚めるって言ったのは何処の誰でしたっけ?」

智「そりゃ確かにそうは言ったけどさ・・・」

潤「絶対あなた似合うってば。いいから試着してきなよ」

智「うううっ・・・分かったよ・・・」

今日は松潤が俺にちょっと遅くなったけど誕生日のプレゼントに
洋服選んでくれるからって、お勧めの店とやらに連れて来られてた。
それは俺が最近雑誌の取材とかでお洒落に目覚めた、みたいな事言っちゃったから
そういう展開になっちゃったんだけど、普段地味な服しか着ない俺は
濃いエンジ色のニットのセーターに、ベージュのパンツとグレーの大判のストールのトータルコーディネートをされて、
俺は正直なところ戸惑ってた。
衣装には何の抵抗も無いけど、さすがに普段着にここまでやった事が無いからな。

潤「ちょっと、女子じゃないんだから何時まで時間掛かってるの?いい加減出てきなよ」

俺は渋々フィットルームから出た。

潤「おっ・・・いいじゃん。なかなか似合ってるよ。これに決まりだね!」

智「ええーっ、なんか恥ずかしいよ」

潤「いいから、このままこれから飲み行こう」

智「ええ?ま、待ってよ、このまま行くの?」

潤「すみません、この人そのまま着て帰るから値札切って貰えます?」

松潤はそう店員に頼むと、レジでさっさと支払いを済ませて俺を表に連れ出した。

智「何処行くの?」

潤「今日は誕生日祝いだから、俺が奢りますよ」

智「こんな服まで買って貰ったのに。いいよ。無理しなくても」

潤「俺がイイって言ってんだから、つべこべ言わないで行けばいいの!」

俺は半ば強引に松潤に引っ張られながら
雑誌から抜け出た、まるでモデルみたいな格好で東京の夜景が一望できる
お洒落なカフェバーに連れて来られた。

潤「実はちょっとこれから連れが来るんだけど、いいよね?」

智「えっ?まさか先輩とか芸能人?」

潤「来れば分かるよ。俺はもうこれで帰るけど、好きなだけ飲み食いしていいからさ。」

智「いや、ちょっと待ってよ。だったら俺も帰るよ」

潤「あなたは駄目だよ。主役が帰ってどうすんの?連れが来るまでここに居なきゃ。」

言ってる事が目茶目茶。

智「だって誰が来るかも教えてくれないんだもの。おいらそういうの苦手なの潤くんも知ってるでしょ?」

潤「大丈夫、リーダーも知ってる人だから」

智「ええ?誰だよぉ。」

潤「それは来てからのお楽しみですよ。サプライズゲストだよ。」

智「意味わかんねえな」

潤「じゃ、そういう事だからうまくやってよ。」

全く意味不明なことを言って松潤は店を出て行った。
それから一人で20分位俺は飲み続けた。
誰も来やしねえじゃねえか。
もう一杯だけ飲んで帰ろうかとしてたら

和「あれ?リーダー?こんな所で何してるの?」

智「えっ?あ・・・ニノ?」

和「随分おめかししちゃって、もしかして・・・デート中?」

智「ちっ、違うよ・・・何だよ、デート中って。お前こそどうしてここに?」

和「俺はJに呼ばれたから来たんだけど」

松潤の言ってたサプライズゲストって
ニノの事だったのか・・・。

智「やっぱりな・・・」

和「リーダーももしかしてJに呼ばれたの?」

智「松潤ならさっき帰ったよ」

和「ええ?人の事呼び出しといて?」

智「まぁ、いいから座れば」

和「ええ?大野さんと飲むの?」

智「俺じゃ不満か?」

和「別にそうは言ってませんけど(笑)」

智「今夜は俺の誕生祝だそうだから、好きなだけ飲み食いしていいらしいぞ。」

和「本当?ラッキーだな。でも俺関係ないし・・・」

智「いいじゃん。わざわざここまで来たんだから。一緒に飲もうよ。」

和「大野さんが迷惑じゃないなら・・・」

迷惑なわけないじゃん。
俺、それでなくてもずっとニノの事が好きで
恐らく松潤はその事を気付いてて
こんなわざとらしいセッティング考えてくれたんだろうからさ。
ニノは上着を脱いで俺の隣に座った。
なんかどちらも落ち着かなくて
俺は手のひらを太腿にゴシゴシと擦りつけ
ニノは俺と目を合わさないようにメニューをずっと見てる。

和「何飲んでたの?」

智「あ、俺?バーボンロック。」

和「また強いの飲んでるね(笑)俺はビールでいいや。」

そう言ってグラスビールを頼んで俺と乾杯した。

和「お誕生日おめでとうって、もう俺からはとっくにあげたよね?」

智「うん。あれ大事に使ってる。」

和「そう、気に入って貰えて良かった。ところでさぁ、その服・・・」

智「あ・・・これ、松潤が誕生日祝いに買ってくれたんだ。」

和「さすがJだね・・・。」

智「似合わないだろ?」

和「いや・・・。似合ってますよ。」

智「なんか嘘くさいな」

和「嘘じゃないよ。だってJが選んだんでしょう?間違いないよ。」

智「そうかなぁ・・・」

和「それにしても、どうしてJは帰ったりしたのかな?」

智「さっ・・・さあね。おいらにもわかんねえ。」

和「ふうん。ま、いいですけど」

ニノは勘がイイやつだから何かしら気付いたかもしれない。
だけど俺は二人っきりになるとどうしても素直に言えないんだ。
それはきっと素直に自分の気持ちを伝えたところで
本気になんてして貰えないと思ってたから・・・

つづく

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投稿者: 蒼ミモザ

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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