
第5章
君の中の真実⑤
奈緒ちゃんにあんな風に言われて、俺は新入りのバイトの彼をニノに紹介するのがなんだか不安になった。
「おーのさん、そろそろ夕飯だけど・・・」
「あ、うん・・・今行く。」
面接の時に買い物に出掛けてて何も知らないニノは、何だか何時もよりもご機嫌に見えた。
「今夜は鍋かぁ。美味そう。」
「寒くなって来たからね。お鍋が一番手っ取り早いし、何より温まるでしょ?」
「うん。頂きまーす。」
「ねえ?日曜日だけど、俺何着て行こう?」
「え?何処に?」
「あなたの実家ですよ。」
「あ、そうか・・・そんなの普段着で構わないよ。」
「そんなこと言ったって、初めて会うんだよ?第一印象って大事でしょ?」
「うちはそんな畏まって話するような人達じゃないよ。普段のまんまで十分。」
「ええっーそんな適当な言い方しないでよ。」
「電話しとかなきゃな。色々と忙しかったから忘れるところだった。」
「あ、ね?今日面接どうでした?いい人決まったの?」
「あ、う、うん・・・。」
「どんな人?」
「え・・・山下君っていって、年はニノよりいっこ下かな。」
「へえ。お仕事出来そうなの?」
「うん、美大出ててパソコンも詳しそうなんだ。」
「良かった。これで俺も安心して仕事に行けますね。」
「あ、あのさ・・・」
「ん?どうかした?」
「い、いや・・・やっぱいいや。」
奈緒ちゃんの言う事を真に受けなくていいよな。俺は何も彼を自分の好みで採用したというわけじゃないんだから。
ん?待てよ?・・・山下君は、確かに見た目でいうところのイケメンだった。
これってもしかして、例え俺が好みで採用したわけじゃないとか言っても、誤解されるパターンってこと?それを見越して奈緒ちゃんは俺に苦言したのか?
ちょっとマズい事になっちゃったかも。ここは、才能を買って採用したということをニノに念押ししといた方がいいのかも。
「山下君はね、将来はおいらみたいに独立したいらしいんんだ。なんか共感できたっていうかさ・・・」
「へえ・・・」
「それでも年齢も年齢だしさ、バイト程度で本当にいいのかって聞いてみたんだよ。うちのバイト代なんて大して金になんないだろ?そしたら、目の輝きが他の人と違うんだよね。なんつうんだろ?あれって・・・やる気っていうの?」
「あの、おーのさん?」
「えっ・・・」
「何かさ、俺に疚しい事でも有ります?」
「ええっ?な、何で?」
「さっきから機関銃みたいに喋り続けてるから・・・」
「や、疚しい事なんて有るわけないじゃない!」
「そうかなぁ?あなたにしては珍しいけど。」
ニノはなかなか鋭い・・・危なくバレるところだった。そうか・・・普段あまり飯の時に喋らない俺が仕事の話をペラペラ喋っちゃうのは逆に怪しまれるのか。
そして、そこを突っ込まれた俺は、次は何も喋んないで黙々と鍋を突く。
「・・・おーのさん?やっぱり変だよ。俺に何か隠してるよね?怒んないから正直に言いましょうよ。」
「えええっ?な、何も隠してやしないよ。」
「じゃあ、どうして今度は何も喋らないんだよ?」
「え?あ、しょ、焼酎飲もうっと・・・」
「おーのさん?」
「あ、そうそう、相葉君とバーベキューの話はどうなったんだろうね?後でそれも電話してみなくちゃ。」
何とか話を逸らしてその場を凌いだけど、そんなもの明日から何の効力も果たさない事は、薄々俺にも分かってはいた。
つづく
こんにちは
さすが、するどいですねニノちゃん
奈緒ちゃんが、なにも言わなければ、普通にできたのに。ライバルが増えて大変ですね!
この前のパスワードの件ですが、色々試し、娘にも聞いて、ショップにも行ったのですが、開けることができませんでした。
なんとかがんばって、パスワード見つけます
3240さん、こんばんは。
返信メール、届いてないでしょうか?
今しがた、パスワードにつきまして再度記事を投稿しましたが、もしもTwitterをなさってるならば、ダイレクトメッセージで簡易にお答えすること可能です。
アカウントお持ちならば是非、蒼ミモザ@yumimaloのアカウントをフォロー頂きまして、DMよりご連絡をお願いします。