この指とまれ

この指とまれ 10

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この指とまれ

第10話

 

 

深夜まで一人で飲んでたけど、次第に睡魔に襲われて俺はベッドに横になった。
先に寝てしまったニノは隣のベッドで寝苦しいのか、ゴロゴロ寝返りを打ってる。
そのうち、布団を蹴りやってベッドから掛け布団が落ちてしまい、身体も半分落ちかけてる。

「え・・・、マジか。寝相わりぃなぁ・・・」

俺は自分のベッドから身体を起こすと、彼の身体を抱えてベッドの中央に戻し
床に滑り落ちてる布団を掛けてやった。

「うぅーん・・・なんだよ・・・ざけんな・・・」
「えっ・・・」

自分に言われたかと思って振り返ると、完全に眠ってるニノは
夢でも見てるのか、寝言を言ったかと思ったら突然グズグズと泣き始めた。

「え?起きてんの?」

俺は驚いて彼の頬に伝う涙をそっと指先で拭ってみた。
すると、次の瞬間ニノが俺のその右腕を抱き枕でも抱き締めるかのように
ガッツリと両腕で捕まえて

「行かないで・・・」
「え?」

その後むにゃむにゃ言ってるから、恐らくこれも寝言だ。

「ええっ?何だよぉ・・・頼むから離してくれ・・・」

後で考えてみたら、この時無理矢理でも彼を起こして離して貰えば良かったんだけど
俺は俺で酒飲んで酔ってたし、相当眠かったもんだから
思考が働いて無いっていうか、もう起こすのは可哀想だとか
面倒だと思ってしまったものだから、自分でもどうしてそんなことしてるのか
後になると理解不能なんだけど、おそらく後で落ち着いてから
自分のベッドに戻ればいいやってなくらいの感覚だったんだろう。
だけど睡魔に勝てなかった俺は、そのまんまニノの隣に添い寝するような形で
結局朝まで眠ってしまったのだった。

それから完全に爆睡してしまった俺は、翌朝鳴り響くアラーム音で目を覚ました。

「んっ・・・うっ・・・」

勿論、夕べの事は覚えてる。でも、まさかそのまんまの状態で
男と二人でベッドに寝てるこの現状・・・
しかも、ニノは俺の腕をずっと抱き枕みたいに抱き締めている。

ど、どうしよう。
ここで離れてもニノが起きて驚くのは目に見えてる。
そうかと言って夕べの出来事を説明したところで信じて貰えるのか?
変に誤解を招いてセクハラで訴えられたりしないよな?
もう、最悪だ。
どうせ訴えられるんなら、もう変に言い訳とかするの辞めよう。
ここでジタバタしたって始まんねえし。
まさか俺とこんなことになってるなんて知りもしないで
スヤスヤ眠ってるニノの顔を覗き込むと、女みたいに愛らしい無防備な寝顔、
緩めのTシャツから覗く白くて柔らかそうな肌。
同じ男なのに、見てはいけない物をみてしまったような罪悪感が芽生える。
俺は何考えてんだって目を瞑って頭をブルブルと小刻みに揺すった。

「んんっ・・・」

すると、とうとうニノが目を覚ましてしまった。
どんな反応をするか・・・俺は恐る恐る彼の顔を観察する。

「あ・・・えっ・・・?」

流石に驚いてる?

「お、おはよう。」
「おはようございます・・・」

慌てて俺の腕を離し、ベッドから身体を起こした。
解放された俺は、即座にベッドから降りた。
ニノは寝起きだから事態が把握出来ていないのか、暫くベッドの上に腰掛けて放心状態。
左手でわしゃわしゃと髪の毛を掻き上げたり、目を擦ったりして寝惚け状態を解消してる。
俺は無言のまま洗面所に顔を洗いに行った。
それから部屋に戻ると、ニノはスーツ姿に着替えて仕事に出掛ける身支度をしてた。

「あ、あのさ・・・」
「俺も顔洗って来ますね。朝食行かなきゃですね。ちょっと待ってて下さい。」
「えっ?う、うん。」

さっきの事に一切触れず?
ええ?それってどういう事だろう?
無かった事にするつもりなのか・・・
いやいや・・・無かった事に出来るのか?
平然としたニノの態度見て、俺がかえって動揺してる。
でもまぁ、その話題に触れないでくれるのなら、それに超したことは無いが。

「お待たせしました。それじゃ、朝食行きましょうか?」
「あ、ああ・・・」

もう、それは逆に怖いだろうって思えるくらいの平常心で
ニノはルームキーを握って俺を朝食に誘った。

 

 

つづく

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蒼ミモザ

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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