この指とまれ

この指とまれ 12

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この指とまれ

第12話

 

 

 

俺達は一旦ホテルの部屋に戻り、スーツから私服に着替えて
ホテルの目の前のプライベートビーチを散歩した。

「どうせなら水着持って来るべきだったなぁ。」
「確かにこっちはもう夏日ですよね。」
「来月来るときは絶対泳いでやる。」
「そっか、依頼主の結婚式当日も当然来なきゃなんないんだ?」
「勿論そうだよ。スタッフチーム全員で出向いてプロデュースするのがうちらの仕事なんだ。
依頼者のカップルの幸せそうな顔見れる仕事ってのもなかなか良いよ。」
「へえ・・・そういうの見て、自分も結婚したいって気持ちにはなんないんですか?」
「ええっ?どうだろう?おいらはなんないかな。」
「やっぱ独身が気楽ですよね。」
「ニノは結婚して幸せでしょ?あんな可愛い子が居るんだし。」
「・・・あ、かずゆきもそのうち連れて来たいなぁ。」
「二日も顔見ないと寂しい?」
「そりゃあね・・・」
「明日は戻れるからもうちょっとの我慢だよ。」
「明日って、そう言えば俺の歓迎会じゃなかったですか?」
「歓迎会?あっ・・・そうだ、忘れてたわ。マジかぁ・・・
東京戻ってそのまま飲み会って結構ハードだな。」
「ウフフッ、あなたですよ?今週末にしようって決めてたの。」
「それはそうだけど、まさかこんな遠くまで出張入るとは思って無かったからさ。」
「こういう遠方の下見とか結構多いんですか?」
「うん、まぁ色々かな。何度か海外にも行ったよ。」
「へぇ。海外ですか・・・」
「パスポート持ってる?」
「あ、一応は・・・」
「今後またいつ海外出張命じられるかも分かんないから覚悟しといたがいいよ。」
「その時はまた大野さんと一緒?」
「え?・・・な、何で?」

夕べの事、何度も起きたら困るとか言われんじゃないのかって、
一瞬でもドキッとしてしまう。

「俺、誰とでも話出来るタイプとかじゃないんで。」
「そ、そうかなぁ。」

違う答えが返ってきてホッとする。

「あなたとは不思議と自然体で話せるんですよね。」
「おいらと一緒かどうかは分かんないけど、でも暫くはおいらがニノの事
任されてるから、そういう事になるとは思うけど・・・」

やっぱり夕べの事、何にも疑ってないのかな?
もう完全に無かった事のようになってるけど・・・
まぁこれから先も一緒に仕事しなきゃなんないのは事実だし
起きてしまった事は取り消せないし、何も素っ裸で抱き合ってた訳でもないんだから
俺もあんまり意識しない方がいいのかも。
しかし俺だったらどうしてああいう事になってたのか
理由くらいは絶対に聞いてると思うけど。

「ちょっと木陰で休まない?あっついわ・・・」
「あ、それならちょっと待ってて下さい。飲み物買って来ます。」
「あ、うん・・・」

ニノはそう言ってホテルの方へ走って飲み物を調達しに行った。
俺は木陰に設置されたビーチチェアに寝そべってボッーとエメラルドブルーの海を眺めた。
それから10分位経って、ニノが飲み物抱えて戻って来た。

「はい、ビールで良かったですか?」
「おおー、ありがとう。気が利くなぁ。」
「ウフフフ、昼間っからどうかとは思いましたけどね、こんなに暑いとね。」
「もう仕事終わったんだから、昼間だろうと関係無いよ。」

俺達は缶ビールで乾杯すると、ゴクゴクとそれを喉に流し込んだ。

「ぷはぁー、うんめっ」
「最高っすね。」
「はぁー、釣りしてぇなぁ。」
「あなた釣りするんだ?」
「うん。」
「流石に出張に釣り道具は無理が有りますよね。」
「出張先によってはさ、貸出ししてくれる宿泊先とかも有るんだよ。」
「なんか、それって釣りバカ日誌みたいですね。」
「んふふっ。あの主人公の気持ち分かる。」
「フフフフ、大野さんってやっぱり面白い人ですよね。」
「ニノは?趣味ってないの?」
「俺はゲームです。」
「あ、そういや移動中ずっとゲームしてたな。」
「俺、休みの日は1日中ゲームしてられます。」
「へえ・・・カズ君を何処か連れてったげたりしないの?」
「公園くらいかな。」
「今度一緒に釣りでも行くか?カズ君も連れて。」
「ホントですか?是非連れてって下さい。」
「んふふっ、いいよ。」
「あ、そうそう。夕べの事なんですけど・・・」
「えっ・・・」

急にその話になるものだから、俺は飲んでたビールが鼻に入って
ゲホゲホと咽んでしまった。

「え、大丈夫ですか?」
「す、すまん。大丈夫。ゆ、夕べって?」

ま、まだ、あの話だと決まった訳じゃないんだ。
落ち着け、落ち着け・・・
俺は自分に言い聞かせる。

「あの、俺・・・誰にも言いませんから。安心して下さい。」
「えっ・・・」

やっぱりその話だった。その言葉から、勘違いをしているのは明らかだった。
ニノはニヤリと口角を上げて不敵な笑みを見せた。

 

 

つづく

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蒼ミモザ

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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