この指とまれ

この指とまれ 19

この指とまれ

第19話

 

 

「ニノ?・・・ニノ聞いてる?」
「えっ?あっ・・・すみません。何でしたっけ?」

午前中イベントの会議に出席していたんだけど、
ニノは何処か上の空といった感じで、ずっと様子が変だった。
仕事面では俺よりしっかりしてるイメージだったんで
何かよほどの心配事でもあるのかな?と受け取ってしまう。
会議が終わってデスクに戻っても、ニノはデスクに頬杖ついて
物憂げな表情でパソコンの画面をじっと見てる。

「大丈夫?」
「な、何がですか?」
「ううん、さっきからちょっと元気ないみたいだから。」
「そんなこと無いですよ。気のせいですよ。」
「そっか・・・それなら良いけど。」

奥さんの事だろうか?
よほど探られたくなさそうだし、俺もそこまで首を突っ込むつもりもないから
それ以上は詮索しないことしようと思った。

「あのさ、次の日曜なんだけどイベントの手伝いをしなきゃなんないんだ。
ニノはところで休日出勤とか出来る?」
「えっ?あ、それは仕事だから大丈夫です。」
「勿論どっかで代休入れて貰っても構わないから。」
「イベントって何ですか?結婚式?」
「ううん。スーパーのぬいぐるみショー。」
「ぬいぐるみ?」
「うちはイベントごとは基本何でも請け負う会社だから。
本当は俺らはブライダル企画専属のチームなんだけど
人手が足りない時は応援も行かなきゃなんないんだよ。
その代わりこっちの手が足りない時は手伝って貰えるんだけど。」
「そうなんだ。えっと、着ぐるみ着ないといけないんですか?」
「まさか。俺らは裏方の応援だけだよ。」
「ですよね。」
「そうだ、カズ君も連れて来る?」
「ええっ?いいですよ。仕事の現場になんか連れて来れませんって。」
「だけどぬいぐるみショーだよ?小さい子は絶対に喜ぶと思うんだけどなぁ。」
「そりゃ喜ぶとは思うけど、公私混同するのは・・・」
「んふふ。ニノは真面目なんだな。」
「息子の気遣いまでして下さってありがとうございます。」
「だってせっかくの休日なのにお父さんを引っ張り出したりして
さすがに知らなくもないからカズ君に申し訳なくてさぁ。」
「かずゆき、あなたに貰った色鉛筆であれからずっとお絵描きしてますよ。」
「マジで?可愛いよなぁ。」
「わたしに似たんですよ。」
「そういえば、ニノの面影有るよなぁ。遺伝子ってすげーなぁ。」
「大野さんも結婚して子供作れば良いのに。」
「いやぁ・・・おいらは父親になる器じゃないなぁ。」
「そうかなぁ。子供の扱い慣れてるように見えましたけど。」
「それは・・・精神年齢が子供と変わらないからでしょ。」
「それじゃ一生結婚しないつもりですか?」
「べつにそこまで頑なじゃないけどさ、とくべつといって結婚願望もあるってわけじゃ無いよ。」
「結婚が良いことばかりだとは限りませんけどね」
「えっ?」
「あ、いえ・・・何でもないです。あ、そうそう・・・
菊池君、まだあなたの事諦めてないみたいですよ。」
「えええっ?」
「さっきそう言ってました。」
「マジか・・・」
「付き合ってあげたらどうですか?どうせ結婚する気ないんでしょ?」
「だ、だからって何でおいらが風磨と?」
「お付き合いだけなら、かえって同性の方が良くないですか?
異性だと妊娠しちゃったり、色々責任が付き纏うものです。
あいつ結構本気みたいだったし・・・」
「うううっ・・・だっておいらそういうの経験が無いし・・・
付き合うってたって、何したらいいんだ?」
「ウフフッ・・・知りませんよ。俺だってそっちは経験ないですから。」
「そうだよな・・・」
「あ!でも聞いた話によると、結構悪くないらしいですよ。」

そこまで言って顔を真っ赤にし、俯いて堪えてる笑いを我慢出来ないといった感じで噴き出した。

「何だよ?何が悪くないの?」
「ええ?知りたいですか?」
「そ、そこまで聞いたら知りたいに決まってんじゃん。」
「しょうがないなぁ・・・それじゃちょっと耳貸して下さい。」

ニノが周りの様子を気にするようにキョロキョロと見回して
俺の耳元に顔を寄せて口元を両手で覆って囁くような小さな声で

「男同士のセックスです・・・」

そう言って上目遣いに俺の顔を見てニヤリと笑って見せた。

 

 

つづく

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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