この指とまれ

この指とまれ 24

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この指とまれ

第24話

 

 

side nino

ぬいぐるみショーのリハーサル直後に着ぐるみに入ってた一人のスタッフが
突然倒れるハプニングを受け、急遽大野さんが代役に指名された。
大野さんは戸惑いながらも何とか着ぐるみを着て音楽に合わせて
身体を揺らしていればいいからと、説明を受けて本番のステージに立った。
俺はちょろちょろと自由に動き回るかずゆきの事を気にしながら
裏方の手伝いをしていると、仕事が一段落した菊池が俺の目の前にやって来た。

「二宮さん、俺言いましたよね?」
「えっ?」
「大野さんに関わらないでって。」
「べつに関わってるつもりはないけど。」
「お子さんをダシに使ってズルいですよ。」
「はぁ?」
「大野さんは優しいから子供とか絶対弱いんです。」
「ま、まぁそれは否定しないかな・・・」
「大野さんは知ってるんですか?」
「何を?」
「二宮さんが離婚協議中だってこと。」
「あっ、お陰様でもうその話、俺は正式に離婚したから。」
「え?それ本当ですか?だったら余計駄目です。」
「だから何がよ?」
「もうこれ以上大野さんには拘わらないで下さい。」
「あのさ・・・」
「バツイチで子持ちのあなたが大野さんの事を幸せになんか出来るわけがない。
大野さんは勘違いしてるんですよ。同情と愛情を履き違えてるんだ。」
「ごめん、言いたいことはそれだけ?」
「あなたは自分の家庭すら守れなかったんでしょ?」
「そんな事おたくに関係ないでしょ。」
「俺はあなたに負ける気なんてこれっぽっちもありませんから。」
「ふうん。まぁせいぜい頑張りなさいよ。決めるのは大野さんなんだから、
そういうことを俺に言われてもさ・・・」

俺達がそんな話をしてるうちにイベント広場でのぬいぐるみショーが終了したようで
表から大きな拍手が聞こえて来て、ステージから演者たちが引き揚げてきた。

「あ、こら、かずゆき待ちなさい!」

かずゆきが大野さんが入ってる猫の着ぐるみを目指して一目散に走り出した。
大野さんはよたよたとテントの中にやって来て
着ぐるみの頭を外し、フウーッと大きく深呼吸した。

「お疲れ様です。」

菊池が汗だくの大野さんに駆け寄りタオルを渡すと
それを受け取るや否や、さっきのスタッフ同様に大野さんもその場に倒れ込んでしまった。

「お、大野さん?」

俺も慌ててその場に駆け込んだ。
大野さんは汗だくでぐったりしてて、息はしてるけど完全に意識を失ってる。

「ど、どうしよう。大野さん?大野さん!」
「菊池君、直ぐに上に連絡して。多分軽い酸欠起こしてるんだよ。」
「救急車が先ですよね?」
「ううん、医務室にとにかく運んであげて。」
「わ、分かりました。」

菊池は大野さんの着ぐるみを脱がせて軽々とその体を抱きかかえた。
そしてそのまま医務室へと運び、数分後には意識が戻った。
今日はとにかく気温も高くて軽い脱水症状を起こしたみたいだ。
思ったよりも症状は軽かったけど、二人も体調不良者が出てしまったものだから
午後からのイベントはやむなく中止となった。

あと片付けを終えて俺は医務室の大野さんの様子を見に行った。
そこにはまだ菊池がしっかり付き添っていた。

「大野さん、大丈夫ですか?」
「おっ、ニノ・・・カズ君。すまん、こんなみっともないとこ見せてしまって。」
「何言ってるんですか。大事に至らなくて良かったですよ。」
「うん、もう平気。」
「良かったら家まで送りますよ。」
「え?いいの?」

すると菊池が俺達の間に立ち割って入ってきた。

「ダメです。今日は僕が大野さんの事送ります。」
「え?」
「僕も今日は車なんで、僕に送らせて下さい。」
「あ、いや・・・でも、ニノの方が家近いから・・・」
「いいんじゃない?菊池君がそんなに送りたいって言ってるんだから
送って貰ったらどうですか?」
「に、ニノ・・・」
「それじゃ、俺はこれで。お疲れ様でした。」
「お疲れ様でした。」
「え?ニノ?」
「ほら、かずゆき、おいたんにバイバイは?」
「いやいや、おいたんがいい。」
「ダメだって」
「いやぁ・・・」
「カズ君ごめんね。今日はお兄ちゃんがおじさんを送ってくんだ。
また遊ぼうね。」

菊池がしゃがんでかずゆきを宥めるようにかずゆきの頭を撫でた。

「ふ、風磨・・・」
「ほら、帰るよ!かずゆき。」
「ニノ・・・」

何故だか分かんないけど、むちゃくちゃ気分が悪い。
かずゆきは泣くし、何よりもあの助けを求めるような大野さんの目・・・
腹が立った。
俺の協力の話を断ったくせに、今更何なの?
それよりもバツイチ子持ちの何が悪いって言うんだよ?
勝手にラブラブで帰ればいいじゃん。俺の知った事か!
自分でも何でこんなに、一体何にイライラしてるのか、
考えても全然その意味が分からなかった。

 

 

つづく

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蒼ミモザ

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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