この指とまれ

この指とまれ 25

この指とまれ

第25話

 

 

その翌日、会社に出勤した俺は真っ先にニノに昨日の事を謝った。

「おはよう、ニノ。」
「おはようございます。」
「昨日はゴメンな。」
「え?あぁ・・・その後体調はいかがですか?」
「うん、もう何ともない。あんなに体力無かったとは自分でもビックリした。
それよりせっかくカズ君連れて来てたのに、全然相手出来なくて悪かったよ。」
「いえ。やっぱり仕事場に子供を連れて来るもんじゃないですよね。
色々ご迷惑お掛けしました。これからは気を付けます。」
「いや、おいらが言ったことだからさ・・・」
「えっと、今日は再来月のイベントについての内容説明でしたよね?」
「えっ?あ、ああ・・・」

気のせいか?ニノの様子が若干いつもと違って見える。
どことなしか口調が淡々としてて、あからさまに不機嫌なのが分かる。
一番分かり易いのは、さっきから全然俺の目を見ない。
なんでだ?
考えてる暇も無く会議が始まろうとしているから
俺達は資料を片手に会議室へと移動した。
会議室のドアを開けると、既に殆どのメンツが集まってて
俺とニノは一番後方の席に並んで腰かけた。
前列に座ってた風磨が俺達が来たことに気付いて
こちらに向かってやって来た。

「おはようございます。大野さん、昨日はお邪魔しました。」
「え?あ、おはよう。こっちこそ送って貰ってありがとうね。」
「あっ、代表が来ちゃった。会議始まるんで、また後で・・・」
「う、うん・・・」

風磨はそう言うと、自分の席に戻って行った。
そしてニノが資料に目を通しながら、ボソッと小声で呟いた。

「なんだ・・・困ってるとか言ってたくせ、何だかんだで上手い事やってるんですね?」
「えっ?」
「夕べあいつのこと、泊めたんですか?」
「は?」
「隠さなくても分かりますよ。あいつ昨日と同じ服装ですもんね。」
「あっ、本当だ・・・」
「フフッ・・・またまた、白々しいなぁ。」
「ええっ?」
「実は恥ずかしくて俺には言えなかったって事ですよね?
最初からあなたはあいつのこと受け入れるつもりだった・・・そうでしょ?」
「な、何言ってるの?」
「それで?どうでした?俺が言ってた事、本当でした?」
「え?」
「アレですよ。男同士の・・・」
「はっ?いや、待って!」

ニノは何か大きな勘違いをしてる事に気が付いた。
俺は思わず立ち上がってそう叫んだ。

「はい?え?大野さん?どうかしました?」

ホワイトボードの前で次の案件の説明を始めていた翔ちゃんが
俺の声に驚いてそう問い掛けてきた。

「ご、ゴメン。何でもないの、続けて・・・」

俺は慌てて席に着いて、小声でニノに『誤解だよ』と伝えたけど
勿論全く信じてはくれてない。

「何も隠すことは無いですよ。それはそれで良かったじゃないですか。
おめでとうございます。末永くお幸せに・・・」

なっ、何だ?その言い方・・・
めちゃめちゃ棘が有るように聞こえるけど。
完全に誤解されてるのは分かる。
だけど何でそれでそんなにニノはさっきから不機嫌なんだ?

「えっと、大野さん?」

翔ちゃんが俺に呼び掛けた。

「え?はい?俺?」
「うん、次回の式場の下見はまた大野さんと二宮くんにお願いしたいんだけど?」
「あ、うん。」
「代表、ちょっと良いですか?」
「何?二宮君・・・」
「僕、どうしても行かなきゃ駄目でしようか?」

え?どうして?
俺はニノの言葉に驚いてニノを二度見してしまった。

「ん?下見は無理?」
「無理じゃないんですけど、僕一度フロアコーディネイトがやってみたかったんで。」
「ええっと、そうか・・・どうしよう・・・」
「ハイッ!代表、僕が大野さんのお供します。」
「ええっ?風磨、ちょっと待ってくれ。」

マジでこの展開はマズいぞ。俺はひたすら焦った。

「二宮君はまだうちに来てから日も浅いからさ、
出来ればもう暫く大野さんに指導を受けて貰いたいんだけど。」
「代表、僕が大野さんのお供しますよ。フードは二宮さんに任せましょうよ。」
「無茶言うなよ。二宮君はフードコーデの経験はまだ全然ないんだぞ。
しかも彼はフロアーコーディネイトを希望してるのに・・・」

翔ちゃんと風磨の口論が暫く続く。

「よし、この件については個別で話を聞くとするよ。
二宮君、あとでこの会議が終わったら俺の部屋に来て。」
「あ、分かりました。」
「それじゃ、会議を進めます・・・」

風磨がこっちというか、ニノの事をめっちゃ睨んでる。
っていうか、風磨が昨日と同じ服とか着て来るもんだからニノに勘違いされたんじゃん。
確かに昨日は風磨が自宅まで送ってくれたから、そのまま追い帰す訳にはいかなくて
家の中に上がって貰ってコーヒーくらいは飲ませたけど、別にそれ以外は何もなかったし
ものの30分あるかないかの時間で風磨は帰って行ったんだから。
もしも泊ったとしても全然俺とは無関係の他の所なんだよな。
どうしてそんなややこしい事をするかな。
そしてニノは相変わらず頬杖ついて面白くなさそうに翔ちゃんの説明を聞いてた。

「あ、あのさ・・・ニノ?」
「・・・」
「どうして怒ってんの?おいらと会場の下見、やなの?」
「菊池君が俺の代わりに行ってくれるって言ってますよ。
 良かったですねぇ。楽しんで来てください。」
「はぁ?」

ニノはツンとソッポ向いて更に不機嫌な態度を露にした。
マジで、これってどういう事なんだよ。

 

 

つづく

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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